幸せに生きる(笑顔のレシピ) & ロゴセラピー 

幸せに生きるには幸せな考え方をすること 笑顔のレシピは自分が創ることだと思います。笑顔が周りを幸せにし自分も幸せに!

「法然 イエスの面影をしのばせる人」井上洋治著 ”弱者へのまなざし”

2018-04-25 14:28:14 | 本の紹介
どこまでも続いている一筋の海岸線。 一陣の風で、海辺の白い一粒の砂が右から左へと動く。 そしてそのあと、海辺は再び以前と全く同じ深い静寂へとかえっていく。 人間の一生なぞ、この一粒の砂が右から左へ動くだけのことではないか。 海岸には何の変わりもありはしないのだ。

 この心象風景に徹底的に悩まされ続けた私の十代であった。  いかにして避けることのできない、そして乗り越えることもできない死。 その死によって終わらざるをえない、死刑囚同然の生のmなしさと悲しさ。 この思いに追いつめられていった私は、ある日、この思いから逃げようとすることをやめて、その死というものと向かい合って生きてみようと決意した。 それが大学一年の終わりのときのキリスト教入信、そしてフランスの修道院入会へとつながっていったような気がする。

 道をきわめたい。 そう願って渡仏した私であったが、年月がたつにつれて、次第に長い伝統を持つ西欧文化の重みに、耐えがたいような息苦しさを感じはじめていった。 そして、日本人としての私の血の中に流れているものを大切にしながらイエスの教えをとらえなおさなければ、決してイエスが伝えようとした真の自由とよろこびは湧きあがってはこないのだという確信を持った。  

 7年半の西欧の修道院生活を打ち切り、昭和32年の末、フランスから帰国した私は、自分の血の中に流れている「日本の心」を意識化してみようと思い時間をつくっては、奈良や飛鳥を散策し、和辻哲郎、鈴木大拙、小林秀雄などの著作に読みふけった。そんなある日のことである。働いていた学生センターの近くの、とある本屋で、ふと一冊の書物が私の目にとまった。「日本人の精神史研究」の第三巻で、「中世の生死と宗教観」と題された亀井勝一郎の著作であった。
 その夜、むさぶるように読みふけっていた私は、「宗教改革への道」という章に出会って、まさに棍棒で頭をなぐられたような衝撃をおぼえたのであった。
 これが私が法然と出会った最初である。
キリスト道にしろ、仏道にしろ、その道を歩むということは生きるということであって、思索するということではない。 人は二つの道を同時に考えることはできても、決して生きることはできないのである。

・法然が9歳の時、仲違いをしていた人物に夜襲をかけられ、父が非業の最後をとげる。その時、父が一人息子の法然に次のように語った。
「お前は決して敵をうらんではならない。これは先の世から定められている業(ごう)であって、私が受けなければならないものなのだ。もしお前が敵をうらんでこれを討てば、敵の子供はまたお前をうらんで討とうとするであろう。そうすれば、このうらみによる血の争いは絶えることなく続くこととなろう。お前は一日もはやくこの憎しみと争いの闇と修羅の巷を離れて、私の冥福を弔
い、ゆるしと光の境地に入ってくれ」。
イエス「難しいことかもしれないが、敵に対してもゆるしと思いやりの心を持つべきであり、あなたたちを迫害しているもののためにも祈るべきである(マタイによる福音書)」
 まさにイエスの言葉を想起させるような父時国の遺言ではないか。

・法然は、一切の所有物は寺に返し、無一文のまま、墨染の衣一枚で山を下りて民衆の中に入っていく法然の後ろ姿は、思いだすたびに深い感動をよびおこさずにはいられない。イエスが神ヤーウェの冒涜者、ユダヤ教の裏切り者として追及され殺害されていったように、法然もまたそのとき、南都北嶺の権力者たちから裏切者として追及され、場合によっては殺されることすら覚悟していたはずである。

・子を思う母のような法然の姿勢は、ここでもあざやかにイエスの面影をしのばせている。

・法然の答弁においてまず大切なことは、宗教とは考える次元の事柄ではなくて、行じられるべきものだということである。だから法然は「修行したいと思うなら、あれもこれもと試みることなく最もふさわしいものを一つ選んで酒豪せよ」といっているのである。

・法然は「七箇条制誡」の第戒において、と出来る限り敬う心をおこすようにせよ」とさとしているわけなのである。

・法然の短歌
 玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば 忍ぶることの 弱りもぞする
 花は散り その色となく ながむれば むなしき空に 春雨ぞふる
 ゆめのうちも うつろふは なにかぜふけば しづらく
 あはれあはれおもへばかなし つひのはて 忍ぶべき人たれとなきみを
 ながむれば 我が心さへ はてもなく 行くへもしらぬ 月のかげかな

・正如房(式子内親王)よ、ただただ、深く(阿弥陀仏を)信じください。この一事が大切です。たとえいかなる智者、身分高き人々が仰言ろうとも、どかそれに心を動かされたりなさらないでください。

・その(女性は仏に救われない)害を受け最も苦しむのは、他ならぬ庶民や女性たちであることを誰よりも一番よく知っていたのが、まさに法然自身に他ならなかったからである。

感想
法然は既存仏教界から睨まれて島流しになりました。
法然はその当時の仏教では救われない庶民や女性にも仏の救いがあることを、“南無阿弥陀仏”と阿弥陀仏にすがる念仏をとなえることで救われると説きました。
それは既存仏教界にとっては危険極まりない考え方でした。
法然の信者が増えることを良しとしない既存の仏教界は法然に罪を着せようとしました。

まさに、法然の生き方、弱者、女性へのまなざしは、イエスの行動、姿に重なっていました。
井上洋治神父ご自身が、まさに弱さを自覚されていました。


「優れたリーダーはみな小心者である」荒川詔四著 ”学ぶことの多い本です!”

2018-04-25 01:45:25 | 本の紹介
・周囲の人々に細やかに気を配り、常にリスペクトの気持ちを忘れない。心配性だからこそ細部まで徹底的に自分の頭で考え抜き、臆病だからこそあらゆるリスクに備えて万全の準備を怠らない。だからこそ、いざというときに決然とした意思決定を下すことができる。そして、その決断を指示する人たちの力を借りながら難局を乗り越えていくのです。
本の目次;
1.誰かを「指導」するなどという不遜な考えを捨てる。
2.「小心な楽観主義者」こそが、最強のリーダーである。
3.仕事の「所有権」を決して手放してはいけない。
4.「面白いこと」をするから、リーダーシップは育つ。
5.「言い出しっぺ」でなければ意味がない。
6.「人格者」をめざすな。
7.「自尊心」を傷つけることほど愚かなことはない。
8.優れたリーダーは「傾聴」する。
9.「格好いい言葉」を使ってはならない。
10.「原理原則」を死守する。
11.「臆病さ」を笑う者は必ず失敗する。
12.リーダーは「1円」も稼いでいない。
13.「現場」を知らない者は決断できない。
14.「理路整然」としたリポートを疑え。
15.「大河の流れ」のように考える。
16.心配性だから「先見の明」が育つ。
17.地位は「ダメな人」をつくる。
18.「負のメカニズム」を知り尽くす。
19.「部下の痛み」に敏感であれ。
20.戦略的な「ケチ」であれ。
21.「権力」はできるだけ隠す。
22.臆病な「理想主義者」であれ。
23.リーダーは「芸術家」であれ。
24.「目先の危機」ではなく、「危機の先」を見つめる。
25.次世代に「美田」を残す。

・「逃げ出したい」と思うような場面に遭遇したときがチャンスなのだ。
・与えられた仕事をこなすだけでは面白くない。自ら見出した課題にチャレンジするからこそ、仕事は面白くなるのだ。
・「重要な提案」をするときは、ひとりでトップに会いに行く。
・「報告」とは、「トラブルを報告すること」である。
・(人の)「好き嫌い」を表に出すこと自体がふさわしくない。それよりも、目的達成に集中すべきなのです。
・部下の「自尊心」を傷つけることほど愚かなことはない。
・「当たり前」のことを繰り返し語り続ける。
・「中途半端な小心者(原理原則を踏み外す)」が大きな過ちを犯す。
・原理原則は、相反する価値観の相克である企業運営において、ずっと変える必要がない「万能基準値」のようなものだ。
・「3現」を体感すれば、解決策は自然と導き出される。
・社長室に閉じこもって、現場を”遠隔操作“できると信じている社長のことが理解できない。
・「痛み」を伴う経験で人間は成長する。
・在任中に刈り取れるだけの「数字」を刈り取るようなことだけはしてはいけない。その結果、必ず次世代は“荒れ野”で苦労を強いられるからです。
・課長や部長になって、「自分に務まるだろうか・・・」と不安を覚えるくらいの人のほうが優れたリーダーになる可能性を秘めていると。そんな思いを抱えている現役世代の皆さんを勇気づけたいと思って、僭越ながら本書を書いた次第です。

・ミハエル・シューマッハは、明らかにマシンの不具合によって負けたときも、彼は一度もマシンのせいにしようとはしなかった。そして、最高のレースをして勝利を収めたあと、他のレーサーがレース場を去ったあとも、マシンについて100%納得できるまで技術スタッフと議論を重ねるとともに、レースでボロボロになったタイヤの状態を黙々とチェックし続けていました。彼は天才的なドライバーでしたが、その天才性を生んだのは努力であることを目の当たりにしたのです。

・「繊細さ」を束ねるのはプロフェッショナリズムだと思うのです。プロフェッショナリズムとは、「理想」を実現するために合目的的に必要なありとあらゆる努力をする精神。この精神が発揮されたとき、私たちのの心に備わっている「繊細さ」「小心さ」などが総動員されると思うのです。だから、「こんな仕事をしたい」「こんな会社にしたい」「こんな世の中にしたい」という心の底にある思いを何よりも大切にしてほしい。

感想
学ぶことの多い本でした。

何かリーダーをされることがある方にはとても参考になると思います。
多くの”リーダー本”がありますが、この本はそれらに比べ実践に即し、具体的にやることがわかりました。

自分はリーダーができるだろうか? と思う人ほど、よいリーダーになれるチャンスがあるようです。