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セファリゾンナトリウム注射用製剤、品切れの経緯と医療現場の対応 "品質保証の不備!”

2019-04-08 09:50:00 | 社会
https://ptj.jiho.jp/article/134275 PTJ ONLINE2019/04/08より引用
 日医工が製造販売する『セファゾリンナトリウム注射用 0.25g/0.5g/1g/2g「日医工」』が品切れとなっている。これまでの経緯と医療現場の対応についてまとめる。

 同社は2月28日付で医療機関に向けて、原薬入荷および製造等の問題について昨年来協議を重ねたが完全な課題解決に至らずに安定供給に支障が出る可能性を報告している。

 3月25日には同社から安定供給に関する質問に対する回答が公表され、この時点で在庫切れであるという。ここに至るまでの経緯については、2018年末ごろから入手した原薬に不溶性異物が混入したロットが増加し、1月以降に急増したことで品切れとなったと説明している。原薬の供給源は2ソースで、いずれもイタリアであることを明かしている。供給再開のめどについては「原薬メーカーとあらゆるシナリオで対応」と回答。市場に出荷されている製品は規格試験に合致した製品であるため、品質上の問題はないとしている。

 医療現場の対応としては、3月26日に日本感染症学会は会員に向けて、AMR(薬剤耐性)に注意して、ガイドラインに従った代替薬を使用するよう通知している。

 また、厚生労働省は3月29日付で事務連絡『セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について』を発出し、代替薬候補を示している。このなかで同社に供給再開へ努めること、同種同効品の製造販売業者に対して生産増強等を求めているが、この時点で供給再開の時期について具体的な見通しは立っていないとしている。

参照:
・セファゾリンナトリウム注射用 0.25g/0.5g/1g/2g製品供給に関するご案内
https://www.nichiiko.co.jp/medicine/files/o-cefazoli_01.pdfより引用
・セファゾリンナトリウム注射⽤「⽇医⼯」の安定供給に関するご質問に対する回答(2019年3⽉25⽇現在の状況)

Q2︓本剤が安定供給に⽀障をきたした理由は何ですか︖
A2︓昨年末ごろより⼊⼿した原薬に不溶性異物が混⼊した原薬ロットが増加し、1⽉以降使⽤できない原薬ロット が急激に増えました。そのため本剤を製造することができず品切れをきたしました。

Q3︓原薬への不溶性異物混⼊の原因は特定できているのか︖
A3︓原薬を製造する製造設備由来および資材の⼀部と考えています。

Q4︓現在市場に出荷されている本剤は品質上問題ないのか︖
A4︓本剤は⽇本薬局⽅に準じて不溶性異物試験、また本剤の「規格及び試験⽅法」に準じて、合致した製品のみ を出荷していますので、品質上問題ありません。


・セファゾリンナトリウム注射用製剤の供給に支障が出る可能性についての学会対応

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000498133.pdfより引用
・事務連絡 セファゾリンナトリウム注射用「日医工」が安定供給されるまでの対応について(周知依頼)

このことについて、厚生労働省においては、日医工に対して早急な供給再開へ 努めるよう求めるとともに、同種同効品の製造販売業者に対して上記を伝え、同 製品の供給再開までの間の同種同効品の生産増強等について配慮を求めていると ころですが、供給再開の具体的な時期は未だ見通せておらず、また今後、同製品 の代替品と考えられる製品についても一時的に供給が不足する可能性があること がわかっています。

感想
Q2︓本剤が安定供給に⽀障をきたした理由は何ですか︖
A2︓昨年末ごろより⼊⼿した原薬に不溶性異物が混⼊した原薬ロットが増加し、1⽉以降使⽤できない原薬ロット が急激に増えました。そのため本剤を製造することができず品切れをきたしました。

不溶性異物とは溶液に溶けていない異物のことで、この言葉”不溶性異物”は日本薬局方注射剤の不溶性異物試験から引用されています。
注射剤の異物には2つあり、”不溶性異物(目に見える異物)”と”不溶性微粒子(目に見えない小さな微粒子)”です。

日本薬局方より
6.06 注射剤の不溶性異物検査法
注射剤の不溶性異物検査法は,注射剤中の不溶性異物の有無を調べる検査法である.
1. 第1法
溶液,懸濁液又は乳濁液である注射剤,及び用時溶解又は用時懸濁して用いる注射剤の溶解液などはこの方法による.
容器の外部を清浄にし,白色光源の直下,2000 ~ 3750 lxの明るさの位置で,肉眼で白黒それぞれの色の背景において約5秒ずつ観察するとき,たやすく検出される不溶性異物を認めてはならない.ただし,プラスチック製水性注射剤容器を用いた注射剤にあっては,上部及び下部に白色光源を用いて8000~ 10000 lxの明るさの位置で,肉眼で観察するものとする.
なお,観察しにくい場合は適宜観察時間を延長するものとする.
2. 第2法(該当品は第2法が適用される)
用時溶解又は用時懸濁して用いる注射剤はこの方法による.
容器の外部を清浄にし,異物が混入しないよう十分に注意して,添付された溶解液など若しくは注射用水を用いて溶解又は懸濁し,白色光源の直下,2000 ~ 3750 lxの明るさの位置で,肉眼で白黒それぞれの色の背景において約5秒ずつ観察するとき,明らかに認められる不溶性異物を含んではならない.なお,観察しにくい場合は適宜観察時間を延長するものとする.

6.07 注射剤の不溶性微粒子試験法
目に見えない小さな微粒子の大きさと数を規定しています。

注射剤は一般にポアサイズ(異物や微生物を除去できる大きさ)0.22μmのフィルターでろ過して製造しており、ろ過後は目視で確認される異物もなく、微生物も除去されています。

ろ過後または経年で不溶性異物が析出しているのではないでしょうか?
ろ過後の場合は、原薬を溶解時に室温より温度が上がっている場合があり、液が室温に戻ると異物が析出し不溶性異物になります。
ただし、この場合は溶解時の温度を下げれば解決しまうので、これが原因ではないと思われます。
多分、原薬の不純物が反応して溶解性が悪い化学物質が析出し、不溶性異物として認められたのだと推定します。

”原薬に不溶性異物が混⼊した原薬ロット”

よって、上記の言葉の使い方は適切ではありません。
正しく説明するなら、
「ろ過後に析出する不純物または不純物が反応して不溶性異物になる不純物が含まれている原薬ロット」
となります。

注射剤に析出した不溶性異物を集めて、同定すれば化学式と構造式が分かります。
その物質が原薬にあれば、製造工程で原薬を除くことができます。
一方、不純物が反応して不溶性異物になる場合は、化学式と構造式からその原因の不純物がわかります。

不純物がわかれば、その不純物を除くための検討を行います。

4つ疑問があります。

1つ目
Q4︓現在市場に出荷されている本剤は品質上問題ないのか︖
A4︓本剤は⽇本薬局⽅に準じて不溶性異物試験、また本剤の「規格及び試験⽅法」に準じて、合致した製品のみ を出荷していますので、品質上問題ありません。

フィルターでろ過しており、ろ過した時点では、A4と同じです。
ではなぜ出荷できないロットとできるロットがあるのか?の疑問が生じます。

一般論ですが、該当する不純物がまったく含まれていないロットはないと思われます。

もしまったく含まれていないロットがあれば、不純物が含まれているロットと含まれていないロットの違いを見れば(粗原料など)、原因がわかり対応がそれほど難しくありません。
欠品を来しているのであるので、そのような違いはなく、100%不純物が含まれていないロットはないのではないかと想像します。
目で見て”明らかに認められる不溶性異物を含んではならない”の判断でされているのではないでしょうか?
つまり、100%異物なしと100%異物ありではなく、0~100%の範疇でどこかで線をきられているのではないかと想像します。

2つ目
該当品は製品回収されていません。
「2018年末ごろから入手した原薬に不溶性異物が混入したロットが増加し、」
このことに気付くのは
・不溶性異物の苦情
・安定性モニタリングで不溶性異物を認める
のどちらかです。
つまり既に出荷している製品があり、そこに異物が認められているのではないでしょうか?
回収されていないとすると欠品を回避するためにであり、今後出荷するものは不溶性異物が発生する可能性の低いロットを出荷されているのではないでしょうか?

3つ目
経年で反応して不溶性異物なる不純物なら、これまではなかった不純物になるので、それが不純物ガイドラインの新規不純物に該当しないかどうか。
2016年3月9日(水)PMDA 品質管理部
不適合となった事例  国内原薬製造所(化成品)[承認前調査]
・出発物質のメーカーを変更していたが、バリデーションの必要性について検証していなかった。
また、変更の前後の不純物プロファイルの変化などの品質に対する影響を確認してなかった。

4つ目
日医工さんの製品はジェネリックです。
先発や他社のジェネリックがあるので、日医工さんのが欠品になっても困らないのではないでしょうか?
なのになぜ当局までが関わっているのでしょうか?
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/compare/592f3ca6f8e6c335c3c4ec19f503e473.html
セファゾリンナトリウム注射用薬一覧


注射剤の異物対策はハードルが高いですが、欠品を来したことは品質保証の取り組みが不十分だと言われても仕方がありません。
品質保証は結果が求められます。努力は評価になりません。
・品質問題で健康被害を来さないこと
・欠品を来さないこと
・製品回収を来さないこと
の実践です。

どこまで検討が進んでいるのでしょうか?
・不溶性異物の同定(化学式、構造式)ができている。
・原薬の不純物のどのピークかわかっている。
・不純物の多いロットと少ないロットの違いが分かっている。
・多い少ないが粗原料か製造条件かわかっている。
 (粗原料からの由来と思われる)
・この問題が起きたときに何かが変更されているかの調査を行っている。
・粗原料由来の確認がされている。
・不純物を減らす方法が製造工程で行えるか検討をしている。
 粗原料だと思われるので、その粗原料を精製することになる。

・注射剤の不溶性異物試験に関する知識と経験
・化学物質の構造と反応
・HPLCの分析
などの知識を持っていないと対策は難しい。

それにしても、
”原薬に不溶性異物が混⼊した原薬ロット”
の文言の矛盾に気づかれていないのでは、解決に時間を要するのも仕方ないのかなとも思ってしまいました。
この矛盾に会社、当局は誰も気付かれないのでしょうか?
公開されている情報だけの判断なので、想像と違っていることがあるかと思います。
こういう問題があると、自分も関わってみたいと思います。
過去にこのような問題を多く解決して来ましたので・・・。

「治療のための精神分析ノート」神田橋條治著 ”50年の臨床体験の真髄!”

2019-04-08 01:48:00 | 本の紹介
・病弱で神経質な子でしたから、「心身相関」は体験としての事実でした。

・到達したのは「心身一如」正確には「心身不二こそいのち」との結論です。

・精神分析に限らずすべての治療は、あらかじめ準備されている資質に添うときに効果が上がる。「人を見て法を説く」

・精神分析治療も他の精神療法と同じく、個体の内部にいのちを支える学習成果を新たに築いたり、時代錯誤に陥っている学習成果・いのちのパターン、をリフォームすることを目指しています。ただし、方法として専らコトバを用います。そして、コトバで表現可能な「認識」の育成を希求します。

・心理治療者集団内の愛着障害者の比率は当然、他の職業集団をはるかに超えている。

・「悪魔は日の光に耐えられない」が精神分析の治療の標語である。その最高の方法が自由連想法である。自由連想とは無意識の覆いが取れて意識野に導かれることである。日の光にさらされるとはそれであり、治療者へ告白することを意味しない。

・「勇気が必要な気分になったら、知りたいと知りたくないとの分岐点が来たのだ、チャンスだと思ってください」

・治療規制が生じるのはアナログ水準での「出会い」である。出会いの場は「生身の身体内」である。

・精神分析療法の治療目標
1)正常な葛藤の作成能力
2)身体感覚の能力
3)退行と再生を往来する能力
4)適切なコトバを選ぶ能力
5)それらすべてを統括する自由連想と実験⇔思考実験の習慣
6)自分と異なるデジタル文化に住み人と付き合う能力

・語られる過去の治療現場での役割
1)身体に刻み込まれているシステムやイメージを推測する手づる
2)被分析者の「いま・ここ」で語られる意義があるしるし
3)「いま・ここ」が変化して、記憶群への新たな意味づけが生じたこと、のサインである。

・精神分析治療における他の治療手続きはすべて、退行(原点復帰)への奉仕・補助である、あるべきである。

・「自我の成熟度」の簡単な指標は日常生活での退行の自在性である。滑らかに「赤子のように」なれる柔軟性である。治療者に限らず、あらゆる技芸会の優れた到達者には赤子の雰囲気がある。

・わたしたちはいろいろな人生の悩みや困難に出くわしたとき、多くは、森林浴や海辺などの自然に触れたり、祭りやその他の三昧の活動に没頭したりしてそこでの退行により自ら癒されます。あるいは豊かな人格の先達に接することで癒されます。

・精神療法とは、端的に定義すると「学習の修正と新学習」である。

・治療に資するための「物語」
1)遺伝素質と環界との折り合いで作られた「資質」がある。
2)次に資質と環界との折り合いで作られた学習の成果がある
3)ヒトにあっては文字言語に由来する文字文化がある。

・「素の体験」「事実直視」が出会いによる治療の必須条件であるが、難事である。

・聴き方
1)下坂幸三先生の創案になる「なぞる」という聴き方である。相手の語りコトバをその間合いまで正確に心のうちで反芻しながら聴き続け、コトバの背後に流れている話し手の心身を察知する技法であり。「共感」を生起せしめる効果がある。これが用いられるのは、対面法での面接である。この技法を用いる斎は、目は話し手の様子を観察し、察知したイメージの中にその観察を参入して察知の濃さと正確さを増すのに役立てる。
2)寝椅子の背後で自由連想を聞くときの聴き方である。こちらも自由連想をしながら相手の語る連想に心身を預け、それがこちらの自由連想にどのように影響するかを認知する聴き方である。

・「子どもは親の教えるようにはならず、親のようになる」

・「鬼手仏心」

・「答えは問処にあり」

・「精神とはなにか、精神分析とはなにか、治るとはどういうことか」と自問自答し続けたボクの50年を超える自由連想がこのノートを生んだのです。

・「いま・ここ」における認知が最も現実に近く、それ以外は想起された過去する「浮世は夢」と位置づけるのが有効な解釈法である。

・沈黙している被分析者の内側で豊かな連想が流れているか否かはこちらの逆転移で察知できる。いずれにしても待つのがよい。そして当人が沈黙を話題にして発語したとき、あるいはそうでない問題であっても、沈黙に関連づけて次のように介入する。「自由連想はすべてをコトバで発言できませんし無理にコトバにすると正確でなくなることがあり、失われた内容はしばしば大切なのです。むしろ、沈黙のままで連想を観察し・感じ続ける方が深い気づきに近づけます。そのためには、連想がときどきコトバのの形になるだけで、大部分は気分やイメージや記憶の流れである方が豊かです」と伝える。そしてこれが「終わることなく続く精神分析」の究極姿であり、山村道雄先生が体現しておられた境地である。

・「初心忘るべからず」&「初志忘るべからず」

・利休道歌
「稽古とは一より習い十を知り、十より変えるもとのその一」

・「出会った関係に別れはない」「体験は永遠に生き続ける」

感想
神田橋氏の臨床方法の真髄がこの本にまとめられたとのこと。
自由連想を主体にされていますが、独自の工夫された結果なのでしょう。
なかなか他の人が真似をしようと思ってもできないのではないかと思いました。