・「世の中の大人は夢に向かって一直線で行くことを勧めてくる」
「親に『まだやりたいことが見つからないの?』とか『お母さんはもう高校生のうちに決まっていたよ』とかよく言われている」
「『夢はまだ決まってません』と言ったら、『そんなのは、ロクな人生を送れない』と言われました」
「日頃から夢を持たないと強迫観念のようなものがありました」
「自分のなりたい夢を親に言ったらお前には無理だろうって言われた」
「中3のときの担任に『結婚して幸せになりたい』という夢はダメと言われた」
・2019年に自国開催となったラクビーW杯で日本代表選手の多くが口にしたのは「犠牲」という言葉でした。日当僅か10,000円と引き換えに、家族との時間はもちろん、自分の時間をも犠牲にし、年間240日も合宿に充てたのは、夢の祭典でベスト8入りという夢を果たすためでした。これほどまでの犠牲を伴うのが夢です。
・「就職指導・支援ハンドブック(2018年版)
「就職をとおして自己実現したいことを明確にしない限り就職活動はスタートも相談もできません」
「自分の理想像や将来身に付けたい資格などを具体的にまとめさせ、ビジョンを持たせます」
と手厳しいコメントが並びます。
・結論から申し上げれば、最初から夢があったというのは私たちの思い込みです。
・ジェームズ・アレン「『原因』と『結果』の法則」
・「第8回『高校生と保護者の進路に関する意識調査』(2017年報告書)」
9割以上の保護者が「夢や目標を大切にしなさい」と言っています。
「進路選択で保護者にやめてほしいこと」は、「望みを高く持ちすぎないでほしい」(30.7%)が最多で「プレッシャーばかりかけないでほしい」(24.6%)と続いています。
・ドリーム・ハラスメントによって個性がねじ曲げられた若者たちは、幾つかのタイプに反応が分かれます。
1) 夢に出会える日を待ち続ける待機型
2) 夢を慌てて拵える即席型
3) 「夢は重要」という命題を受け入れない
その場凌ぎのために大人が喜びそうな夢を出す
・「夢」に「死」と書いて、「群がる」ことを意味する「薨」(みまか)る
・「日本ドリーム白書2018」
20代で夢を持っている61.8%のうち、20代男性の1位は「希望する職業に就きたい」と職業的夢ですが、30代男性の1位は「一戸建てに住みたい」、女性は20代。30代ともに「一戸建てに住みたい」が1位です。
・京都市立堀川高校の「堀川の奇跡」
同校は身近なテーマへの疑問をそのまま放ったらかしにせず探求させる「探求科」を設立後、国公立大学への現役合格率が1期生(2002年)で前年より100名増、2004年には3年前と比べて20倍以上となり、「奇跡」と脚光を浴びました。
・社会心理学者のラドルフ・ネッセ氏によれば、「希望」という感情は、「努力が報われるという見通しがあるときに生じ」るものとされます。つまり、「希望」は感情の状態を指し、「夢」は実現する対象を指します。やる気は「希望」で、やりたいことが「夢」なのです。
・孫氏の定義はこうです「夢」は個人の欲望や願望であり、「志」は個々人の願望を超えて多くの人々の夢を叶えようとする気概(ソフトバンクキャリアLIVE2018)。
・ドリーム・ハラスメントの実行犯は先生と保護者の皆さんです。
・大人は「目の前のことに頑張らせたい」がために、夢をツールとして活用している、という事実です。
・児美川先生「キャリア教育のウソ」
・ドリーム・ハラスメントの傍らで、夢問題を免除された唯一の存在、それは、お勉強ができる学業優等生たちです。
・(中央教育審議会2016年)「キャリア教育の理念が浸透」してきている一方で、「将来の夢を描くことばかりに力点が置かれ、『働くこと』の現実や必要な資質・能力の育成につなげていく指導が軽視されていたりするのではないか、といった指摘もある」
今後の「基本的な方向性」として、「キャリア教育を実践し、学校生活と社会生活や職業生活を結び、関連付け、将来の夢と学業を結び付けることにより、児童生徒の学習意欲を喚起すること」が解決策として提示されているのです。
・先の答申では、結局のところ、「夢を持たない生き方」は想定すらされておらず、「夢を持つ生き方」が前提のままです。
・野中郁次郎先生は、昨今の日本の企業経営にみられる「三大疾病」に警鐘を鳴らしています。
「オーバーアナリシス」「オーバープランニング」「オーバーコンプライアンス」
・「職業指導運動の創始者」や「キャリア・カウンセリングの父」と呼ばれるフランク・パーソンズが提唱した「特性因子理論」も夢不在の個人を応援してくれます。これは、自分の特性と環境の因子によって相性や向き不向きがある、という考え方です。別名マッチング理論と呼ばれるこの理論は、人は夢など持たなくとも、個人の特徴に合った仕事が必ずある、というもの。
・心理学者のエドガー・シャイン氏は、次の3つの問いが自分のキャリアの拠り所を探る出発点であるとしています。
1) 自分は一体何が得意か
2) 自分は本当のところ何をやりたいのか
3) 何をやっている自分に意味や価値が感じられるのか
・本田宗一郎は、発明とは「せっぱつまった、苦しまぎれの知恵」だと形容し「何か発明しようと思って発明する馬鹿がいたらお目にかかりたい。自分が困ったときに、それを解決するために知恵を出すのが発明と言って差し支えない」と述べています。「定本本田宗一郎伝)
・夢を持つこと自体は素敵なことだと思いますが、夢を持ったらそれでおしまいではありません。夢の実現後に何が待ち受けるのか。そこから考えられる若者支援とは何なのか。
・夢が持てる社会には夢がありますが、夢を持たずして充実できる社会にも夢があります。夢を持つ生き方と持たない生き方。どちらも共存共栄できる多様な社会。そんな「夢のある」社会に改築することが、大人が汗水流して取り組むに値する仕事ではないでしょうか。
感想;
夢と希望の定義が独自のように思いました。
goo辞書より
ゆめ【夢】
1 睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。視覚像として現れることが多いが、聴覚・味覚・触覚・運動感覚を伴うこともある。「怖い夢を見る」「正 (まさ) 夢」
2 将来実現させたいと思っている事柄。「政治家になるのが夢だ」「少年のころの夢がかなう」
3 現実からはなれた空想や楽しい考え。「成功すれば億万長者も夢ではない」「夢多い少女」
4 心の迷い。「彼は母の死で夢からさめた」
5 はかないこと。たよりにならないこと。「夢の世の中」「人生は夢だ」→夢に →夢にも
・やりたいことと夢は違うとのことですが、
きぼう【希望】
1 あることの実現をのぞみ願うこと。また、その願い。「みんなの希望を入れる」「入社を希望する」
2 将来に対する期待。また、明るい見通し。「希望に燃える」「希望を見失う」
3 文法で、1の意を表す言い方。動詞に、文語では助動詞「たし」「まほし」、口語では助動詞「たい」などを付けて言い表す。
「夢」を押付けているから問題になるのでしょう。
就職の時に尋ねられる「夢」は就職対応の方便なので、それをハラスメントとするのはやりすぎのように感じました。
著者が言っている夢のハラスメントは周りの期待が大きいことの弊害と同じように感じました。「ドリーム・ハラスメント」というより、周りの期待の大きさがハラスメントになっているのではないでしょうか?
親の「期待」に適わないことに対してそれが重荷になってしまうことがあります。
「夢」や「やりたいこと」が直ぐに見つかるとはかぎりません。
見つかった人はそれで良いと思います。
見つからない人は、今の置かれている環境で精一杯やっていくことではないでしょうか?
多くの出会い(人、書物など)でそれが見つかるきっかけになるかもしれません。
一生かかって見つけて行くものだと思います。
「親に『まだやりたいことが見つからないの?』とか『お母さんはもう高校生のうちに決まっていたよ』とかよく言われている」
「『夢はまだ決まってません』と言ったら、『そんなのは、ロクな人生を送れない』と言われました」
「日頃から夢を持たないと強迫観念のようなものがありました」
「自分のなりたい夢を親に言ったらお前には無理だろうって言われた」
「中3のときの担任に『結婚して幸せになりたい』という夢はダメと言われた」
・2019年に自国開催となったラクビーW杯で日本代表選手の多くが口にしたのは「犠牲」という言葉でした。日当僅か10,000円と引き換えに、家族との時間はもちろん、自分の時間をも犠牲にし、年間240日も合宿に充てたのは、夢の祭典でベスト8入りという夢を果たすためでした。これほどまでの犠牲を伴うのが夢です。
・「就職指導・支援ハンドブック(2018年版)
「就職をとおして自己実現したいことを明確にしない限り就職活動はスタートも相談もできません」
「自分の理想像や将来身に付けたい資格などを具体的にまとめさせ、ビジョンを持たせます」
と手厳しいコメントが並びます。
・結論から申し上げれば、最初から夢があったというのは私たちの思い込みです。
・ジェームズ・アレン「『原因』と『結果』の法則」
・「第8回『高校生と保護者の進路に関する意識調査』(2017年報告書)」
9割以上の保護者が「夢や目標を大切にしなさい」と言っています。
「進路選択で保護者にやめてほしいこと」は、「望みを高く持ちすぎないでほしい」(30.7%)が最多で「プレッシャーばかりかけないでほしい」(24.6%)と続いています。
・ドリーム・ハラスメントによって個性がねじ曲げられた若者たちは、幾つかのタイプに反応が分かれます。
1) 夢に出会える日を待ち続ける待機型
2) 夢を慌てて拵える即席型
3) 「夢は重要」という命題を受け入れない
その場凌ぎのために大人が喜びそうな夢を出す
・「夢」に「死」と書いて、「群がる」ことを意味する「薨」(みまか)る
・「日本ドリーム白書2018」
20代で夢を持っている61.8%のうち、20代男性の1位は「希望する職業に就きたい」と職業的夢ですが、30代男性の1位は「一戸建てに住みたい」、女性は20代。30代ともに「一戸建てに住みたい」が1位です。
・京都市立堀川高校の「堀川の奇跡」
同校は身近なテーマへの疑問をそのまま放ったらかしにせず探求させる「探求科」を設立後、国公立大学への現役合格率が1期生(2002年)で前年より100名増、2004年には3年前と比べて20倍以上となり、「奇跡」と脚光を浴びました。
・社会心理学者のラドルフ・ネッセ氏によれば、「希望」という感情は、「努力が報われるという見通しがあるときに生じ」るものとされます。つまり、「希望」は感情の状態を指し、「夢」は実現する対象を指します。やる気は「希望」で、やりたいことが「夢」なのです。
・孫氏の定義はこうです「夢」は個人の欲望や願望であり、「志」は個々人の願望を超えて多くの人々の夢を叶えようとする気概(ソフトバンクキャリアLIVE2018)。
・ドリーム・ハラスメントの実行犯は先生と保護者の皆さんです。
・大人は「目の前のことに頑張らせたい」がために、夢をツールとして活用している、という事実です。
・児美川先生「キャリア教育のウソ」
・ドリーム・ハラスメントの傍らで、夢問題を免除された唯一の存在、それは、お勉強ができる学業優等生たちです。
・(中央教育審議会2016年)「キャリア教育の理念が浸透」してきている一方で、「将来の夢を描くことばかりに力点が置かれ、『働くこと』の現実や必要な資質・能力の育成につなげていく指導が軽視されていたりするのではないか、といった指摘もある」
今後の「基本的な方向性」として、「キャリア教育を実践し、学校生活と社会生活や職業生活を結び、関連付け、将来の夢と学業を結び付けることにより、児童生徒の学習意欲を喚起すること」が解決策として提示されているのです。
・先の答申では、結局のところ、「夢を持たない生き方」は想定すらされておらず、「夢を持つ生き方」が前提のままです。
・野中郁次郎先生は、昨今の日本の企業経営にみられる「三大疾病」に警鐘を鳴らしています。
「オーバーアナリシス」「オーバープランニング」「オーバーコンプライアンス」
・「職業指導運動の創始者」や「キャリア・カウンセリングの父」と呼ばれるフランク・パーソンズが提唱した「特性因子理論」も夢不在の個人を応援してくれます。これは、自分の特性と環境の因子によって相性や向き不向きがある、という考え方です。別名マッチング理論と呼ばれるこの理論は、人は夢など持たなくとも、個人の特徴に合った仕事が必ずある、というもの。
・心理学者のエドガー・シャイン氏は、次の3つの問いが自分のキャリアの拠り所を探る出発点であるとしています。
1) 自分は一体何が得意か
2) 自分は本当のところ何をやりたいのか
3) 何をやっている自分に意味や価値が感じられるのか
・本田宗一郎は、発明とは「せっぱつまった、苦しまぎれの知恵」だと形容し「何か発明しようと思って発明する馬鹿がいたらお目にかかりたい。自分が困ったときに、それを解決するために知恵を出すのが発明と言って差し支えない」と述べています。「定本本田宗一郎伝)
・夢を持つこと自体は素敵なことだと思いますが、夢を持ったらそれでおしまいではありません。夢の実現後に何が待ち受けるのか。そこから考えられる若者支援とは何なのか。
・夢が持てる社会には夢がありますが、夢を持たずして充実できる社会にも夢があります。夢を持つ生き方と持たない生き方。どちらも共存共栄できる多様な社会。そんな「夢のある」社会に改築することが、大人が汗水流して取り組むに値する仕事ではないでしょうか。
感想;
夢と希望の定義が独自のように思いました。
goo辞書より
ゆめ【夢】
1 睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。視覚像として現れることが多いが、聴覚・味覚・触覚・運動感覚を伴うこともある。「怖い夢を見る」「正 (まさ) 夢」
2 将来実現させたいと思っている事柄。「政治家になるのが夢だ」「少年のころの夢がかなう」
3 現実からはなれた空想や楽しい考え。「成功すれば億万長者も夢ではない」「夢多い少女」
4 心の迷い。「彼は母の死で夢からさめた」
5 はかないこと。たよりにならないこと。「夢の世の中」「人生は夢だ」→夢に →夢にも
・やりたいことと夢は違うとのことですが、
きぼう【希望】
1 あることの実現をのぞみ願うこと。また、その願い。「みんなの希望を入れる」「入社を希望する」
2 将来に対する期待。また、明るい見通し。「希望に燃える」「希望を見失う」
3 文法で、1の意を表す言い方。動詞に、文語では助動詞「たし」「まほし」、口語では助動詞「たい」などを付けて言い表す。
「夢」を押付けているから問題になるのでしょう。
就職の時に尋ねられる「夢」は就職対応の方便なので、それをハラスメントとするのはやりすぎのように感じました。
著者が言っている夢のハラスメントは周りの期待が大きいことの弊害と同じように感じました。「ドリーム・ハラスメント」というより、周りの期待の大きさがハラスメントになっているのではないでしょうか?
親の「期待」に適わないことに対してそれが重荷になってしまうことがあります。
「夢」や「やりたいこと」が直ぐに見つかるとはかぎりません。
見つかった人はそれで良いと思います。
見つからない人は、今の置かれている環境で精一杯やっていくことではないでしょうか?
多くの出会い(人、書物など)でそれが見つかるきっかけになるかもしれません。
一生かかって見つけて行くものだと思います。