きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ
君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪はふりつつ
仁和の帝
あなたのために春の野に出て若菜を摘んでいる私の袖に雪が降りかかっている。
詞書に「人に若菜賜ひける」とあり、相手の長寿を願って贈るべく若菜(=春の象徴)を摘んでいたところ、まだ早春の時期で、そこに雪が舞って袖に降り落ちるという情景。冬と春の季節の交錯。若菜の緑と雪の白の対比。
作者の「仁和の帝」は第58代光孝天皇。百人一首の中でもとりわけ有名な歌ですね。