漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0006

2019-11-05 07:00:23 | 古今和歌集

はるたてば はなとやみらむ しらゆきの かかれるえだに うぐひすのなく

春立てば 花とや見らむ 白雪の かかれる枝に 鶯の鳴く


素性法師




 もう立春になったので、花だと見ているのだろうか。白雪のかかっている枝で鶯が鳴いているよ。

 春がまだ浅く、実際は花は咲いていないのに鶯が枝で鳴いているのは、枝の白雪が花に見えているのだろうかという雅な想像を詠んだ歌。歌人(詩人)の持つ豊かな感受性の発露という感じがします。

 作者の素性法師は、桓武天皇の曽孫、僧正遍昭の子にして、三十六歌仙の一人。僧正遍昭も三十六歌仙の一人(六歌仙の一人でもありますね)ですから、親子して三十六歌仙に名を連ねていることになります。それぞれ百人一首にも採られている、


いまこむと いひしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな    素性法師

あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ    僧正遍昭



がつとに有名ですね。両歌とも、古今和歌集にも採録されています。(06910872