やまたかみ ひともすさめぬ さくらばな いたくなわびそ われみはやさむ
山高み 人もすさめぬ 桜花 いたくなわびそ 我見はやさむ
よみ人知らず
高い山に咲いているので、人から称揚されることのない桜花よ、ひどく悲しむことはない。私が見て美しいと感じているのだから。
美しく咲き誇る桜も、人里離れた山中に咲いているのでは人からもてはやされることはない。その桜を一人見ている作者は、あるいは隠遁者なのでしょうか。自分が見ているのだから悲しく思うことはないという歌からは、桜に寄せた作者自身の孤独がにじみ出ているように感じます。