いろもかも おなじむかしに さくらめど としふるひとぞ あらたまりける
色も香も おなじ昔に さくらめど 年ふる人ぞ あらたまりける
紀友則
桜の花は、その色も香りも昔と同じに咲いているのであろうが、それを見ている自分は年を取って変わってしまった。
詞書にも「桜の花のもとにて、年の老いぬることを嘆きてよめる」とあり、年老いてしまった自身の身を嘆く歌です。作者紀友則は生年が定かでないので没したときの年齢も正確にはわかりませんが、60歳そこそこだったものと思われています。それからすると、この歌を詠んだ時の年齢は50代くらいだったのだろうと思いますが、当時は50歳を超えてくればもはや「晩年」というイメージだったのでしょうね。