臨時の祭
みやひとの すれるころもに ゆふだすき かけてこころを たれによすらむ
宮人の 摺れる衣に ゆふだすき かけて心を たれに寄すらむ
臨時の祭
神に仕える人たちの小忌衣(おみごろも)に木綿の襷をかけた姿は、一体誰に特に心を寄せているのだろうか。
「臨時の祭」とは、賀茂神社で十一月に行われる臨時の祭事を指します。また、Weblio古語辞典によれば「小忌衣(歴史的仮名遣いでは『をみごろも』)」とは「大嘗会や新嘗会などの大祭に奉仕する人々が、けがれに触れないように装束の上に着る衣服。白布に草や小鳥などの模様を青摺りし、右肩に赤い紐を二本垂らした。」とのこと。まあ平たく言えば「羽織」ですね。第四句の「かけて」は襷を掛けることと心を掛ける(心を寄せる)ことの両義になっています。
この歌は、019 と2つ並んで新古今和歌集(巻第十九「神祇歌」 第1870番)にも採録されています。