女どもの滝見たるところ
いととさへ みえてながるる たきなれば たゆべくもあらず ぬけるしらたま
糸とさへ 見えて流るる 滝なれば たゆべくもあらず ぬける白玉
女たちが滝を見ているところ
糸のように見えて流れる滝なので、水しぶきは絶えることなくその糸に貫かれて、飛び散ることもない。
露や水しぶきを「玉」と見なして、それを貫く「糸」とともに詠むのは古典和歌の常套手段。「糸」はそのときどき、この歌のように滝の流れであったり、あるいは枝垂れる青柳であったりしますね。古今和歌集 0027 には、柳を糸と見立てた僧正遍昭の歌が収録されています。
あさみどり いとよりかけて しらつゆを たまにもぬける はるのやなぎか
あさみどり 糸よりかけて 白露を 玉にもぬける 春の柳か
僧正遍昭
(古今和歌集 巻第1「春歌上」 第27番)