漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0918

2022-05-05 05:26:29 | 古今和歌集

あめにより たみののしまを けふいけど なにはかくれぬ ものにぞありける

雨により 田蓑の島を けふ行けど 名にはかくれぬ ものにぞありける

 

紀貫之

 

 雨が降ったので、濡れないように田蓑の島に今日行ったけれども、蓑という名がついているというだけでは、雨から身を隠してはくれないものであったよ。

 詞書には「難波にまかりける時、田蓑の島にて雨にあひてよめる」とあり、第四句の「名には」には地名の「難波」も詠み込まれていることがわかります。雨が降ったので「蓑(=雨を防げるはず)」の名を持つ田蓑の島に行ったが、その名だけでは雨は防げずに濡れてしまった、という諧謔味のある歌ですね。



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