漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

古今和歌集 0848

2022-02-24 06:36:46 | 古今和歌集

うちつけに さびしくもあるか もみぢばも ぬしなきやどは いろなかりけり

うちつけに さびしくもあるか もみぢ葉も 主なき宿は 色なかりけり

 

近院右大臣

 

 急に寂しくなったものだ。主を失ったこの家では、紅葉の葉も色づいていないのだなあ。

 詞書には「河原の大臣の身まかりての秋、かの家のほとりをまかりけるに、紅葉の色まだ深くもならざりけるを見て、かの家によみて入れたりける」とあります。「近院右大臣」は源能有(みなもと の よしあり)、「河原の大臣」は源融(みなもと の とおる)のこと。紅葉が秋になっても色づかないのは、紅葉にも心があって、主を失った悲しみを抱いているのであろうという想像ですね。源融の著名な歌も 0724 に採録されています。

 

みちのくの しのぶもぢずり たれゆゑに みだれむとおもふ われならなくに

陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れむと思ふ われならなくに

 

河原左大臣



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