ほととぎす けさなくこゑに おどろけば きみをわかれし ときにぞありける
ほととぎす けさ鳴く声に 驚けば 君を別れし 時にぞありける
紀貫之
ほととぎすが鳴く声に驚いた今朝、ちょうど昨年、あなたとお別れした時分なのでした。
詞書には「藤原高経朝臣の身まかりてのまたの年の夏、ほととぎすの鳴きけるをききてよめる」とあります。藤原高経(ふじわら の たかつね)は、基経の弟。基経の死に際しての哀傷歌も 0831、0832 に採録されていますね。また、高経も後撰和歌集に一首が採録されている勅撰歌人です。
なつのよは あふなのみして しきたへの ちりはらふまに あけそしにける
夏の夜は あふ名のみして 敷妙の ちりはらふまに あけそしにける
藤原高経
(後撰和歌集 巻第四「夏歌」 第169番)