京極の権中納言の屏風の料の歌、二十首
はるがすみ たちぬるときの けふみれば やどのむめさへ めづらしきかな
春霞 立ちぬるときの 今日見れば 宿の梅さへ めづらしきかな
京極の権中納言のための屏風歌、二十首
春霞が立って立春となった今日見ると、わが家の庭の梅さえも新鮮に見えるよ。
「京極の権中納言」は藤原兼輔(ふじわら の かねすけ)のこと。267 まで二十首収録されていますが、256 に「夏」とあり、そのあと「秋」「冬」と詞書が付されています。そうなると、本来この 248 には「春」の詞書があるべきと思われますが、欠落してしまったのかもしれません。
兼輔は「中納言兼輔」の名で百人一首(第27番)に採録された歌が著名ですね。新古今和歌集(巻第十一「恋一」 第996番)にも入集した名歌です。
みかのはら わきてながるる いづみがは いつみきとてか こひしかるらむ
みかの原 わきて流るる 泉川 いつ見きとてか 恋しかるらむ