わがやどの いけのふぢなみ さきにけり やまほととぎす いつかきなかむ
わがやどの 池の藤波 咲きにけり 山ほととぎす いつか来鳴かむ
よみ人知らず
ある人のいはく、柿本人麿がなり
わが家の庭の池の端にある藤が咲いた。山ほととぎすはいつになったら来て鳴くのだろうか。
人麿(人麻呂)の歌との説もあるということですが、もしそうならかなり古い時代の歌ということになりますね。題材とされたのはほととぎす。古来、夏を代表するものとされ、ここから始まる巻第三「夏歌」は、ほとんどがほととぎすを詠んだ歌です。
「夏歌」は 0168 まで34首が採録されていますが、「春歌」が上下に分かれて計134首だったのと比較するとかなり少ないですね。このあと、「秋歌」は春と同じく上下に分かれて計145首、「冬歌」は夏より少なくて29首という構成になっています。やはり春・秋には、詩人(歌人)の情趣を一層かきたてるものがあるのでしょうね。^^