みずのうへに うかべるふねの きみならば ここぞとまりと いはましものを
水の上に 浮かべる舟の 君ならば ここぞとまりと 言はましものを
伊勢
水の上に浮かんでいる舟があなたであったなら、ここが停泊するところですと申し上げるでしょうに。
詞書には、敦慶親王(=宇多天皇の第四皇子で伊勢の夫)の家の池で建造した舟の進水式をした日、それを見に来た法皇が夕方お帰りになるに際して詠んで奉ったとあります。0919 と同じく、「法皇」は第59代天皇であった宇多法皇のこと。「とまり」は舟の停泊所と法皇の宿泊所の両義ですね。