九月つごもり
もみぢばは わかれををしみ あきかぜは けふやみむろの やまをこゆらむ
もみぢ葉は 別れを惜しみ 秋風は 今日や三室の 山を越ゆらむ
9月末日
紅葉は秋との別れを惜しんでいるが、秋風は三室の山を越えて去っていくのであるよ。
散って少なくなっているけれども散り切らずに枝に残っている紅葉の葉の情景(屏風絵)でしょうか。その紅葉の葉を擬人化して秋との別れを惜しんでいるととらえ、一方で「秋風が三室山を越えて行く」との表現で、着実に冬が近づいていることを詠み込んでいます。
4月から毎日一首ずつご紹介してきた貫之集の歌。本日で第一巻が終了して明日からは「第二」の名歌たちのご紹介。変わらずおつきあいください。