Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルドや釣りに関する話題を中心に。クラシック音楽や本、美術館巡りに日本酒も。

青山ユニマット美術館

2009年03月06日 | 美術・芸術

青山にある「青山ユニマット美術館」に行ってきました。

以前から、シャガールとエコール・ド・パリの素晴らしいコレクションがあると聞いていたのですが、閉館時間が18時半(入館は18時まで)ということでなかなか行くことが出来ませんでした。先週、たまたま定時に会社を出ることが出来た日があったので、少し駆け足でしたが観てくることが出来ました。

美術館は割と小さなビルですが、展示スペースが3階に分かれていて、4階がシャガール、3階がエコール・ド・パリの作品、そして2階が企画展のスペースで、私が行った時は「ミレーとバルビゾン派の画家たち」と題された展示が行われていました。

残念ながらともかく時間がなかったので、文字通り概観することしか出来なかったのですが、その圧倒的な色彩で1フロアを飾るシャガール、細密な描写が冴えわたるレオナール・フジタ(藤田嗣治)、原色が生々しいキスリングの「ダリア」、他にもドランやユトリロ、デュフィにドンゲン、そこにはまるで夢のような世界が広がっています。展示室に居たのは正味40分くらいでしたが、出るのが本当に名残惜しい気持ちでした。

特に印象深かった作品を3点。

まずは企画展でのミレーから。ミレーは、農夫の生活を描いた作品で有名ですが、実は肖像画も多く残しているようです。特に子供の肖像画はたくさんは残っていないそうで、これはその中の1点。柔らかそうな頬っぺたがとても愛らしいです。実物を見るとタッチがとても繊細で、後のルノアールにも負けない、素晴らしい作品だと思いました。


(ジャン=フランソワ・ミレー「犬を抱いた少女」1844-1845年)

続いてはモディリアニ。去年今年と色々なところでモディリアニを観る機会がありましたが、これはその中でも何とも言えぬ虚無感が際立っていて、底知れない迫力を感じました。恐らく人物の背景と衣服の色、目の色が効いているのでしょう、この絵の前で文字通り動けなくなってしまいました。


(アメデオ・モディリアニ「褐色の髪の少女」1918年)

最後はフジタ。その特徴的な乳白色と、どことなく女性的な作風に、これまであまり真面目に観たことがなかったのですが、このバラの絵の前では足が止まってしまいました。フジタは面相筆を使った細密な線が特徴ですが、この萎れかかって疎らなバラの絵には、何とも言えぬ凄味を感じます。同じフロアの反対側にキスリングの生命感溢れたダリアの絵があり、好対照でした。


(レオナール・フジタ「バラ」1922年)

こんな素敵な美術館ですが、残念ながら今月末で閉館するそうです。この素晴らしいコレクションの行方が気になりますが、出来れば閉館までにもう一度くらい、出来ればもっとゆっくりと観ることが出来ればいいなと思っています。


ミレーとバルビゾン派の画家たち
青山ユニマット美術館
2009年1月16日~3月31日

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8 コメント

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コーヒー? (かりん)
2009-03-06 01:33:11
箱根にドライブに連れていって貰った時、ユニマット美術館を見たくて探したのですが見つからず、その後、東京に移ってしまいまだ、行った事がありません
(その日はポーラ美術館に行きました)
閉館してしまうのですか?何年か前、ユニマットの社長が島を買ってリゾート地を造るなんて言っているのを聞いたことがあり コーヒー屋さんは儲かるのかな美術品も買えるし、と思っていました…東京はなかなか行く機会(気遅れ?上野にはいけるのに)がないのですが是非観に行きたいですね!
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かりんさん (魚花@昼休み)
2009-03-06 12:03:53
この美術館がもともと箱根にあったとは知りませんでした。

私も随分前に友だちから教えて貰っていたのですが、
平日の18時までに美術館に入るのは至難の業なので、
なかなか行くことが出来ませんでした。

コレクションは、ぎゅっと一時代に凝縮された感じがあって、
とても見ごたえがありました。
閉館までにもう1回くらい行きたいと思っています。

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イイナー (文泉)
2009-03-06 19:45:44
イイナー イイナー この言葉 何回使ったことでしょう                                              魚花さんのおかげでミレーを再評価しました 繊細でほのぼのとした描写 感心いたしました 

P.S. Enter-Key使用 いかがですか

文泉拝






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文泉堂さん (魚花)
2009-03-06 19:56:12
このミレーはいいですよね。
農民を描いた絵はどちらかというと素朴、言い過ぎを覚悟で言えば
粗野な印象がありましたが、この少女像は極めて繊細なタッチで、
引き込まれるような魅力がありました。

改行キー、上のコメントではまだ1箇所減点ですね(笑)
メールの方はバッチリでした
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粗野だなんて!! (望月)
2009-03-06 21:45:34
私もミレーファンです
特に好きなのは「一日の終わり」
「晩鐘」に似た絵ですが
穏やかで実りある充実した一日の終わりを喜ぶ農夫の表情がそれは見事に描かれています。
「種蒔く人」も「晩鐘」も顔は黒く塗りつぶされているように見えますが実は詳細にその表情が描かれています
ミレーの絵は見れば見るほど新しい発見がありそのたびに引き込まれます
それとミレーは“手”の表情にこだわっていると思うんですよね、「ポリーヌ・オノの肖像」を見ればわかりますが身体の割に手が大きく描かれています
分何度も重ね書き(修正)してるウチに大きくなってしまったとも言われてます
ミレーの絵の神髄はこういった一見見落としがちなところに現れていると私は思いますね~

あ、甲府(山梨県立美術館)に行きたくなった(笑)
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望月さん (魚花)
2009-03-06 22:01:08
だから「言い過ぎを覚悟で」と申し上げたではありませんか(笑)
失言、取り消します。すみません
ミレーは本当に素晴らしい。再認識しました。

「一日の終り」も展示されていましたよ!勿論、夕闇をバックにした
農夫の穏やかな表情を、じっくり見てきましたとも。

実はつい先日NHKの日曜美術館で山梨県立美術館の特集があって、
今度時間が出来たらドライブがてらカミさんと行こうと話しているところです。
行ったら「手」に注目して、じっくり見てきますね!
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日本のミレー (かりん)
2009-03-06 22:33:07
前日、青森に単身赴任中の主人から青森美術館で開催中の小島一郎の絵葉書が届きました!
ミレーにそっくりで驚きました
素晴らしい写真です
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かりんさん (魚花)
2009-03-06 23:44:20
青森県立美術館のサイトを見てきました。
本当にミレーの絵にそっくりの写真ですね。
そんな絵葉書を送って下さるご主人も素敵です
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