
最近、休みの日に弾くピアノの曲が、バッハばかりになってきました。
但し、バッハが生きた時代にピアノはまだありませんでしたから、チェンバロ用の曲を弾くか、或いはピアノ用に編曲されたものを弾くかどちらかです。
これまではあまりにメジャー過ぎて手を出していなかったのですが、この曲も元は教会で演奏されるカンタータの一部が独立したもの。しかもそれを、20世紀前半に活躍したイギリスのピアニスト、マイラ・ヘス(1890-1965)がピアノ用に編曲しています。
私が買ったのはピアノを習う人にはお馴染み、全音のピアノピース(\500)。その扉に、マイラ・ヘスのこの編曲の生い立ちが書かれています。
彼女がこの曲を初めて聴いたのは1920年。バッハフェスティバルのためにロンドン・バッハ合唱団がリハーサルを行っている時でした。曲の美しさに打たれた彼女は、帰宅してから即興で編曲してピアノで演奏するようになり、それを親友たちに聞かせたり演奏会のアンコールで弾くようになったそうです。その編曲が楽譜になって出版されたのは1926年。以来、世界中で愛好されるようになったとの由(ハワード・ファーガソンの解説による)。
さてさて、届いた楽譜を見てみると、見た目はそれほど難しくなさそうです。

実際に弾いてみても、楽譜通りに鍵盤を押さえるのは比較的容易です。しかし、右手と左手で複数の声部を受け渡しながら、主旋律を綺麗に響かせるのは、実は結構大変です。
バッハの他のピアノ編曲版もそうですが、元になった曲がパイプオルガンだったり声楽曲だったりすることから、この複数の声部をきっちり響かせ分けるのが、実は一番難しいところです。小さい頃からもっときっちり訓練をしていれば話は別なのでしょうが、私のようにピアノの先生に習っていた年数を遥かに超えて我流で好き勝手にやっている素人としては、まるで眼前に聳える巨大な壁。
ですが、だからこそ繰り返し練習する意味があるのでして、5本ずつの指を(心のなかでは)独立させて鍵盤を押す力を加減したり、澄んだ響きを得るためにペダルを細かく踏み替えたりと、試行錯誤の連続。あっという間に時間が過ぎていきます。
子供の頃は、間違えずに上手に弾こう、先生に叱られまい、とそればかりを考えてピアノに向かっていたと思いますが、今はまず人前で弾くことを全く想定していないこともあって、純粋に自分で弾くために、ピアノを弾く(ちょっと日本語が変ですが)。それは何だか人生そのもののようでもあり、その瞬間の精神的な高揚~平静~充足のプロセスは、他に替え難いものがあるような気がします。
とは言え、あくまでも素人の手慰み。これからもマイペースで弾いていきたいと思います。
全音ピアノピースNo.278
バッハ=ヘス/主よ、人の望みの喜びよ
教会の尖塔にある薄暗い螺旋階段をゆっくりと登っていくと、所々にある明かり取りの窓から柔らかい光が漏れていて、最後に360度の光景が広がる。
ピアノオチこぼれの自分が持っている、この曲のイメージです。ところで、お誘いを受けていた件
連絡方法等、別途指示お願いします。
ずっと気になっていました。
折しも手元にあるワイセンベルクやリパッティのCDにも収録されていて、
何度も聴いているうちに自分でも弾いてみようと思った次第です。
なかなか自分でイメージする通りの音の響きにはならないのですが、
それだけ練習のし甲斐があります。地道に頑張ります。
それではお手数ですが、このブログの左の下の方にある MY PROFILE の欄にある
goo ID の後ろに @mail.goo.ne.jp と付けて、メールをお送り下さい。
折り返しこちらの本アドから、メールを送らせて頂きます