
先日何気なく録画していたテレビの番組で、フランク・ペーター・ツィンマーマンがバッハのヴァイオリン・ソナタを演奏しているのを聴くことが出来ました。(ピアノはエンリコ・パーチェ。2008年5月にドイツのポリング修道院 図書館で収録されたもの。)
バッハのヴァイオリン・ソナタは私の大好きな曲のひとつですが、これまではリヒター(cemb)がシュナイダーハン(vn)と入れたCDしか持っていませんでした。それはそれで以って満足していたという証でもあるのですが、今回ツィンマーマンの演奏を聴いてこの曲がますます好きになると同時に、この曲の本当の姿に改めて気付くことが出来たような気がします。
ポイントとなったのはその伴奏。ツィンマーマンの演奏ではピアノのパーチェが伴奏していますが、そのタッチと音色が独特です。ペダルを殆ど使わないその演奏は、粒の細かい音の並びが残響の少ない音色と相俟って、とても硬質な印象を与えます。ここにツィンマーマンのあくまでも美しい、金属的とも言えるヴァイオリンの音色とキレの良い音の運びが加わって、この曲が単なるヴァイオリン・ソナタではなく「ヴァイオリンとピアノ(もしくはチェンバロ)のための」ソナタであることが明確に伝わってきます。ご存じの通りヴァイオリンは1声部、ピアノは右手と左手で2声部ありますが、ここでピアノは単なる伴奏楽器の域を超え、ヴァイオリンと合わせた3声部がそれぞれに独立し、時には対等に絡み合い、互いを支えあって、まるでトリオ・ソナタのように、ひとつの立体的な曲が成り立っています。
これに比べるとシュナイダーハン盤はヴァイオリンが(美しくはあるが)線が細い印象で、一方のリヒターのチェンバロは元気一杯ではあるもののヴァイオリンとの音量の差は歴然。格調は高いのだけれど少しバランスが悪い感じは否めませんし、丁々発止の掛け合いという点では、ツィンマーマン/パーチェ盤の方が聴いていて圧倒的に面白いと思います。
あまりにも気に入ったので、同じ組み合わせのCDを買いました。それが冒頭の写真です。CDでも基本的な印象はTVで観たのと変わりません。残響の関係でしょう、ピアノの音が少しソフトに聴こえますが、ヴァイオリンの透き通るような音色と、粒の揃った硬質なピアノががっぷり四つに組んだ、素晴らしい演奏だと思います。
因みに、ツィンマーマンの弾いている楽器は1711年製のストラディヴァリウス。かつてはフリッツ・クライスラーが所有していた楽器で、ドイツのWestLB(西部州立銀行)の好意により貸与されているものだそうです。
フランク・ペーター・ツィンマーマン(vn)
エンリコ・パーチェ(pf)
J.S.バッハ/ヴァイオリン・ソナタ集
私もその放送を観ておりましたが大変感銘を受けました。しかし途中からでしたので全部を聴くことは出来ませんでした。
貴方は録画されたそうですが、DVD等にコピーして譲っていただくことは出来ませんでしょうか?
失礼でしたら無視していただいて構いません。
何かご連絡を下さる折は
p_a_dallacosta1745@hotmail.com
までよろしくお願いいたします。
実は、我が家にはDVDレコーダーがなく、
録画したのはテレビに内臓のハードディスクです。
販売店やメーカーのサイトも確認したのですが、
今のところこれをDVDに焼くことは出来ないようです。
折角の名演を共有出来ず、とても残念ですが、あしからずご了承下さい。
NHKのことですから、また再放送があるかも知れません。
あるといいですね・・・。
http://www.hmv.co.jp/news/article/905120002/
ピアノだと2声が明確に分離して、旋律と和声がよくわかりますし、ツィンマーマンのヴァイオリンの音とピアノの音とが親和性があるので、掛け合いやユニゾンがとても美しく、生き生きとして聴こえます。
おっしゃる通り、この録音を聴いてこの曲がどんな曲かようやくわかったような気がします。
BSは観ていなかったので、Youtubeにあるライブ映像をいくつか見てみましたが、ツィンマーマンとパーチェの視線のやりとりや、パーチェのくるくる変わる表情が見れて、とても面白いですね。結局、全曲観てみたくなって、これもオーダーしました。
私はそれほどたくさんの演奏を聴いた訳ではないのですが、偶然録画したこのツィンマーマンとパーチェの演奏が蒙を啓いてくれたような気がします。
ツィンマーマンもそうですが、パーチェの表情はとてもいいですよね。二人が時に微笑み合いながら演奏しているのを見ていると、本当に楽しそうだなと思います。
今はテレビのハードディスクに録画したのを見ていますが、バックアップが取れないので、私もそのうちDVDを買おうと思っています。