昨年の11月の終わり頃、こんなこと を書いていました。
『調べてみるともう3年も前の記事ですが、バッハの平均律クラヴィーア曲集で、自分で弾けるようになりたい曲が2曲ある、と書いています。』
この3年も前というは今からだと4年前ということになり甚だややこしいのですが、2曲とも(全2巻のうちの)第1巻で、1曲は 以前書いた 第12番 ヘ短調 (BWV857)。
そしてもう1曲が掲題の第24番のロ短調で、目下この曲の後半、長大なフーガの練習をしています。
前半のプレリュード(前奏曲)は楽譜にすると見開き2ページしかありませんし、楽譜だけ見ると単音の並びで非常にシンプルに見えるのですが、いざこれを弾いてみると「うん・・・」となります。
ほぼ全体にわたって右手で2声部、左手で1声部。シンプルにして、けれど深い響き。特にこれをリヒテルのピアノで聴いていると、「一体このままどこへ行ってしまうんだろうか・・・」という気持ちになります。因みにリヒテルは、楽譜(私の持っているのはヘンレ原典版)に書かれてある通り、前半も後半も繰り返しを入れています。
後半のフーガは、3小節の短い、けれどとても印象的な旋律から始まります(上の動画では7分50秒辺りから)。
楽譜ではたっぷり6ページ。長大です。その中に冒頭のテーマが常に見え隠れし、しかもそれが半音階的かつ複雑な進行のなかで練り上げられます。
それはまさに「練り上げられる」としか表現できないのですが、そんななかに、私がこの曲で一番好きな旋律が出てきます。
それはわずか6拍。しかも、同じ音型が音程を変えて3回繰り返されるのですが、その音型というのが音程のつながった3つの音を上って下るだけ。例えば、レ→ミ→ファ→→ミ→レ、ド→レ→ミ→→レ→ド、シ→ド→レ→→ド→シ、という風にです。
この旋律はフーガのなかで都合3回出てきます(上の動画では、9分23秒、10分14秒、14分00秒辺り)。
それを天上的な音楽と言ったら語弊があるかもしれませんが、今のところちょっと他に適当な表現が見つかりません。こういう曲を少しずつ楽譜を紐解くようにして弾いていると、あっという間に2時間、3時間と経ってしまいます。
まだまだ道半ばではありますが、こういう曲に出会えたことに改めて感謝しつつ、引き続き少しずつ練習していきたいと思います。
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