今回の衆議院選挙では民進党から自民党入りした長島昭久氏や無所属で勝って自民党入りをめざす細野豪志氏の選挙区が熱い。
東京18区、圧倒的な強さは衰えたとはいえ、しぶとく議席を確保する菅直人氏と「落下傘候補」の長島氏も熱いですが、今
回は静岡5区。朝日新聞社は23、24日、全国約38万人の有権者を対象に電話とインターネットによる調査を実施し、全国の取
材網の情報も加えて、選挙戦中盤の情勢を探った。現時点では、(1)自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいもの
の、単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い(2)立憲民主党は比例区で勢いがなく、公示前の109議席からほぼ横ばい
などの情勢になっている。 選挙区はインターネット調査で、比例区は電話調査で情勢を探った。調査時点で投票態度を明ら
かにしていない人が、選挙区は4割、比例区は3割おり、今後、情勢が大きく変わる可能性もある。 自民は、選挙区では公
示前の210議席に届かないものの、161の選挙区で優位に立ち、190議席に迫る勢いをみせている。比例区は堅調で、公示前の
66議席を上回り、70議席をうかがう。 自民は、政権を奪還した2012年の衆院選以降、国会を安定的に運営できる絶対安定
多数(261議席)を確保してきた。接戦となっている74の選挙区の勝敗次第では、今回もこれを獲得できる。 公明党は、公示
前の29議席は維持しそうな勢い。選挙区では、北海道10区と東京12区で接戦となっている。 立憲は、選挙区では公示前の48
議席を上回る公算が大きい。競り合っている65の選挙区が、議席を上積みできるかどうかの焦点。枝野幸男代表(埼玉5区)
も自民前職と接戦となっている。一方、比例区は勢いに欠け、公示前の61議席を10議席以上、下回りそうだ。 日本維新の会
は、公示前の11議席から3倍近くに増える勢い。選挙区は大阪府内を中心に10選挙区でリード。比例区は地盤の近畿以外でも
東京や南関東で複数議席獲得を視野に入れている。 共産党は、選挙区で議席を維持している沖縄1区で接戦。比例区で議席
を積み上げ、全体として公示前の12議席を上回る可能性がある。 国民民主党は、4選挙区で優勢で、比例区と合わせ、公
示前の8議席と同程度になる見込み。激戦の静岡5区の客観状況は下記です。
以下抜粋コピー
静岡5区では異例の「保守分裂選挙」が繰り広げられている。民主党→民進党→希望の党と渡り歩き、現在は自民党入りを目指す
無所属の細野豪志氏(50)=二階派=は「勝てなかったら政界を引退する」と不退転の覚悟。その細野氏に3回連続で敗れてい
る自民党の吉川赳氏(39)=岸田派=は、「自民党所属として負けることはできない」と、“本流”をアピールして支持を訴えて
いる。100人以上の聴衆が見守るJR三島駅前。21日の街頭演説で細野氏は語気を強めて訴えた。「あえて申します。かろう
じて小選挙区で勝ち残る結果は勝利ではない。得なければいけないのは、圧倒的な勝利。応援要請はせずに、自力でこの戦いを勝
ち抜く」2000年に旧静岡7区で民主党から初当選した細野氏。環境相や原子力防災担当相、党幹事長などを歴任した。党名変
更した民進党を17年8月に方針の違いから離党。小池百合子都知事らと「希望の党」を設立したが、同年10月の衆院選で惨敗
し、党は翌年に解党した。その後は自民党入りを模索。無所属で二階派(志帥会)特別会員となった。しかし、後ろ盾だった二階
俊博前幹事長が岸田体制で退いたことで、無所属での出馬を余儀なくされた。区割り変更後の静岡5区では6連勝中の細野氏。
これまでの選挙では全国を駆け巡り、他候補の応援を優先してきた。しかし、無所属候補が選挙事務所を置けるのは1か所のみ。
「今まではすべて三島の貯金での勝利」(細野氏)とこれまで有権者数約9万人の三島市を最重点地区にしてきたが、「勝負は
一番多い富士市」と有権者数約20万人の富士市に事務所を移した。民主党時代からの支援者に加え、自主投票を決めた公明支
持層にも手を広げている。「今回勝てなければ政界を引退する」(細野氏)。24日は富士市の中心街5か所を回るなど、徹底
した“どぶ板”選挙で背水の陣を戦っている。
◆静岡5区(富士市、三島市、御殿場市など)
細野 豪志50 無前〈7〉
小野 範和48 立民新
吉川 赳39 自民前〈2〉
千田 光43 諸新
※敬称略、届け出順。丸数字は当選回数。