『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

❝インフレと戦う修羅場の米国掲載❞3月FOMC前に発表される雇用統計とCPIが重要

2023-02-19 01:13:37 | 日記
 2023年2月現在、米株式市場で最も注目されているのは、「金融引き締めの出口」についてです。そもそも株式市場が好調に推移するきっかけとなったのは昨年12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げ幅が前回会合(11月)の0.75%から0.5%に縮小されたこと。それによって、「2023年には利上げを停止するのではないか?」との期待が生まれた。一部報道には「2023年後半の利下げ」を報じるものもあり、それらが期待となって株式市場に先行して織り込まれた結果が、1月の株高の原因だと思われる。
 そして、今年2月におこなわれたFOMCではさらに利上げ幅が縮小。FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が「ディスインフレ(インフレ沈静化)」に繰り返し言及し、利上げ停止への期待感がより高まった。
 市場の関心事は、「あと何回利上げが必要なのか?」「何%まで利上げを行うのか?」ということ。これらがいつも議論の的となっており、「金融引き締めの出口」を探る報道が目立つようになった。
予想を大きく超えた雇用統計
 毎月第1金曜日に発表される雇用統計は、FRBによる金融政策の方向性を探る上で大きな意味を持ってる。その中で今月3日に発表された雇用統計は、サプライズとなる結果。1月の非農業部門雇用者数が市場予想(18.5万人増)を大きく上回る、51.7万人増という結果。
 これまで金融引き締めを続けてきたにもかかわらず、堅調な雇用増加が確認されたことで、意表をつかれた結果となった。米国株式市場は2月2日の高値から下落局面に入っており、雇用統計後に利上げ停止の期待が後退し、警戒が強まった。
ただし、雇用統計は非常にブレの大きい指標であり単月では判断することができない。次回以降の結果も踏まえて、状況を見極める必要がある。仮に、来月以降も強い雇用が確認された場合には、賃金インフレ懸念が再燃し、利上げ停止への期待感はますます後退する恐れがある。
CPIも市場予想を超える
 今月14日には、CPI(消費者物価指数)の発表が行われた。結果は前年同月比+6.4%と前回の+6.5%から見ればインフレが落ち着いてきていることが確認できた。一方で、市場予想(+6.2%)を超える結果となったことや、インフレ率の下落幅が緩やかになったことから、インフレが高止まりするリスクが意識された。
 また、市場予想を大きく超える結果となった雇用統計の後だっただけに、CPIも市場予想を超えてしまったことで、利上げ停止の期待が後退した可能性も否めません。
次回の雇用統計とCPIに注目
 次回のFOMCの開催日時は、3月21日、22日の2日間。日本時間23日午前4時に政策金利発表やドットチャートの発表を、午前4時30分ごろからは、パウエル議長の記者会見の内容が伝わってきます。
 現時点では、FOMCの3月会合にて0.25%の利上げが予想されています。仮に予想通りの利上げ幅となれば、政策金利の上限がついに5%台に入る。
 5%台に入っても、労働市場の需給逼迫懸念やインフレ懸念が収まらないという状況になれば、さらなる利上げも視野に入ってくる。そして、高いインフレ率と継続的な利上げの影響から、市場の意識が景気後退へと変わっていく可能性も出てくる。
 そういった意味から、3月のFOMC前に発表される雇用統計とCPIの重要さが増してくる。
 金融引き締め政策の出口は見えているのでしょうか。それともまだ先なのでしょうか。3月の雇用統計とCPIは、今後の金融政策や株式市場の方向性を決める大きな鍵を握っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする