マンションの建設費が値上がりしている。デベロッパーの担当者に取材すると、この1年で2割は値上がりしているという。これは新築マンションの価格が上がる強力な要因になる。
その原因はおそらく建築資材費の高騰だろう。資源のない日本では、マンション建設に必要なほとんどの建築資材をはほぼ輸入した原料に依存している。円安によって輸入原料が値上がりすると、建築資材も高くなる。
ほぼ全量を輸入に頼っている小麦が値上がりしたことで、パンやスパゲティの価格が上がるのと同じ構造である。
人手不足も関係している。人手が足りなくて現場を毎日動かせない建築現場では喘いでいる。人手不足が深刻だということだ。
そのデベロッパーの担当者に聞いた建築費の坪単価は、20年ほど前の約3倍だった。これが新築マンションの販売価格に反映されないはずがない。今年後半から来年にかけて販売が始まる新築価格は、昨年よりも大幅に値上がりしているのは確実。ただし、それがスムーズに売れるかどうかは別の問題だ。
昨年の後半から、首都圏の中古マンションの動きが悪くなった。売り出された物件が成約するまでに、時間がかかるようになったのだ。データ上の「在庫」もジワジワと増えている。
そこに、この建築費の上昇である。新築マンションの価格は、不動産市場の潮流とは別個に表面的な上昇を続ける可能性がある。しかし、それは市場の大きな流れとは逆行する動きである。
ニューヨークダウの不安定や不動産市場の状況をあれこれ考えると、新築市場の行末には、「暴落」という断崖絶壁が待ち構えているのかもしれない。