駒澤大の史上5校目の三冠達成、大八木弘明監督の大願成就で幕を閉じた2022年度の大学駅伝界。田澤廉(駒澤大)、近藤幸太郎(青山学院大)、イェゴン・ヴィンセント(東京国際大)らの“黄金世代”が今春に卒業することで、2023年度の勢力図も大きく変わる可能性がある。そこで注目したいのが、新たに大学駅伝界に足を踏み入れる各大学の新入生たち。果たして新たなスター候補はいるのか。まず最も注目されるランナーが、順天堂大に入学する吉岡大翔(佐久長聖高)である。長野県の川中島中学時代から全国の舞台で活躍していた才能が、高校入学後に一気に開花した。高校1年、高校2年と5000mの学年別の記録を更新すると、高校3年時には8月のU20世界選手権5000mで7位に入賞。11月には前年に佐藤圭汰(当時・洛南高、現在・駒澤大)が塗り替えたばかりの5000mの高校記録を8秒以上も更新する13分22秒99をマークした。
その後、12月の都大路(全国高校駅伝)では3区で日本人歴代最高記録、年明け1月の都道府県駅伝でも5区を区間新記録で駆け抜けるなど走る度に“驚き”を与えてきた。順天堂大進学後はトラックで世界舞台を目指すとともに、駅伝にも意欲満々。1年目からの活躍間違いなしの逸材だ。順天堂大には5000mで世代8位の13分56秒18の好タイムを持つ大野聖登(秋田工業高)も入学予定。エース・三浦龍司(3年)が最終学年となる2023年度は勝負のシーズンになるだろう。
多くの即戦力を揃えたのが“王者”駒澤大だ。5000m13分56秒45のタイムを持つ安原海晴(滋賀学園高)は、都大路では2年連続で3区8位の実績。今年の箱根7区を走った安原太陽(3年)の弟でもあり、1年と4年で兄弟が共闘できる最初で最後の年になる。また、5000m13秒59秒06の小山翔也(埼玉栄高)は都大路1区4位、同13分59秒70の工藤信太朗(一関学院高)も都大路1区7位と好走した。
この13秒台トリオに加えて、5000m14分00秒93の植阪嶺児(智辯カレッジ高)、同14分02秒73の島子公佑(伊賀白鳳高)、同14分03秒91の村上響(世羅高)の3人も都大路でエース区間の1区を走った実力者。今年度は佐藤圭汰(1年)が注目を集め、箱根では山川拓馬(1年)が5区4位、伊藤蒼唯(1年)が6区1位と1年生コンビの活躍が光ったが、来年度も新入生の走りに大いに期待できる。
今年の箱根で2位に入った中央大の新入生も強力な面子が揃った。5000mのベストタイム13分台が、13分57秒02の柴田大地(洛南高)、13分57秒51の鈴木耕太郎(國學院久我山高)、13分59秒95の本間颯(埼玉栄高)と駒澤大と同じ3人。さらに14分04秒51の藤田大智(西脇工業高)、14分05秒22の山崎草太(西京高)と続く。エースの吉居大和(3年)の入学以降、スカウトの成功が目立っており、今年の箱根でも溜池一太(1年)が1区4位、吉居駿恭(1年)が4区5位と好走した。これまで駒澤大、青山学院大と比べて選手層の薄さが否めなかったが、力のある新入生たちによってチーム力は確実に高まるはずだ。
箱根3位だった青山学院大の新入生は、5000m13秒台は1人だが、14分0秒台が3人、14分10秒が4人と粒揃い。持ちタイム順に、13分57秒45の熊井渓人(須磨学園高)、14分04秒47の西澤マハロ(洛南高)、14分07秒90の鳥井健太(清風高)、14分09秒89の浜川舜斗(仙台育英高)、14分11秒68の笹川洸成(学法石川高)、14分12秒78の中村海斗(世羅高)、14分13秒80の花本史龍(大牟田高)、14分16秒58の平松享祐(中部第一高)となる。駒澤大、中央大の面子に比べてタイム的にはやや物足りない部分はあるが、最強世代とも呼ばれた現4年生たちのように、同学年同士で良いライバル関係を持って切磋琢磨していけば充実の世代になる可能性は大いにある。むしろ成長しなければ、箱根奪還の目標は遠ざかることになる。
2023箱根駅伝
1駒沢大 10:47:11
(2年ぶり8回目 総合優勝)
2中央大 10:48:53
3青山学院大 10:54:25
4国学院大 10:55:01
5順天堂大 10:55:18
(2年ぶり8回目 総合優勝)
2中央大 10:48:53
3青山学院大 10:54:25
4国学院大 10:55:01
5順天堂大 10:55:18