福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

妙法蓮華経秘略要妙・観世音菩薩普門品第二十五(浄厳)・・31

2024-01-31 | 諸経

妙法蓮華経秘略要妙・観世音菩薩普門品第二十五(浄厳)・・31

妙法蓮華経秘略要妙第九目録

観世音菩薩普門品第二十五之三

三  五類諸天       三  四種龍衆

四  諸龍住處       四  法非法龍

六  無鳥難龍       六  破壊堕龍 

六  権化龍王       九  夜叉三種

九  食鬘鬼相       十  血食鬼相

十  食香煙鬼       十  疾行夜叉

十一 伺便鬼相       十二 権化藥叉

十三 権乾闥婆       十四 修羅名義

十四 修羅種類       十八 修羅闘戦

二十 権化修羅       廿一 金翅食龍

廿二 大権金翅       廿二 迦楼密軌

廿三 権化緊那       廿四 謗法成蜹(ぼう・だに)

廿四 瞋施感蜹       廿五 大権摩睺(まご)

廿五 地蔵變身       廿七 執金剛縁

廿七 千佛探籌       廿九 現十界身

丗  秘密趣釈       丗三 三施義通

丗六 施瓔秘釈       丗七 施瓔顕機

丗八 不受三昧       卌三 塔即佛體

卌六 十體五例       五十四 二十五有

 

妙法蓮華経秘略樓要妙第九 普門品の三

七には八部身。

「應以天龍夜叉乾闥婆阿修羅迦樓羅緊那羅摩睺羅伽人非人等身得度者。即皆現之而爲説

法。」

「天」とは、梵には提婆、此には天と云。又素羅をも天と翻ず。光明の義、高顕の義なり。上(天龍夜叉乾闥婆阿修羅迦樓羅緊那羅摩睺羅伽人非人)には大威徳ある天のみを列ぬ。今の天とは欲界の六天、色界の十八天等なるべし。或は又星宿等の人の運命を掌て禍福を知る者を云なり。又理趣釈經には五類の諸天を列ぬ。一には上方天、謂く那羅延、俱摩羅、梵天、帝釈等なり。二には游空諸天、謂く日天月天諸星宿なり。三には住空諸天、謂く象頭・金剛摧砕・飲食衣服の四種の毘那夜迦を云。四には地居諸天、謂く主蔵天・風天・火天・羅刹天なり。五には地底諸天、謂く猪頭天・調伏天・炎魔天・水天等なり。是等の諸天なるべし。(理趣釋祕要鈔「一上界四天者。那羅延天爲初故云那羅延等四種。後三種如經説。是東方天。二遊虚空四天者。日天爲初故云日天等四種。經甘露軍荼利。密號金剛軍荼利者。是日天也。以何知者。日天眞言曰。嚩曰羅  二合    軍吒利  云云    可思之。是南方天也。三住虚空四天者。四方四門所安四種毘那夜迦也。大聖歡喜雙身毘那夜迦天形像品儀憬瑟撰集云。東方摧碎天亦名無憂大將。其形如天人。天冠之上安象頭。左手執傘蓋。右手持劍。南方飮食天亦名嚴髻大將。其形如天人。天冠之上安象頭。左手執索右手執花鬘。西方衣眼天亦名頂行大將。其形如天人。冠上安龍頭。左手執弓右手抱箭。北方象頭天亦名金色伽那鉢底。其形象頭人身。左手持白瑠璃珠右手執寶珠。或具足六臂       文                   依九會尊位等説。

摧碎。花髣・金剛衣・把刀如次爲東南西北四門毘那娜迦。憬瑟軌以金色伽那鉢底爲

北門主。是與抱刀同天歟。含光記出誐那鉢底六臂形像。左上手把刀    金剛智言

把劍云云           彼此符合也。金剛智所譯金色迦那鉢底陀羅尼經出六臂形像。象頭人身彼此同也。四地居四天者。一毘沙門天爲初故云住藏等四種天。經守藏密號母裟羅                   云云 母裟羅與吠室羅同梵語也。是西方天也。五地中四天者。猪頭天爲初故云猪頭等四神。猪頭天亦名金剛面天。經名金剛鉤。三名雖異其體是同。祕藏記尊位云。金剛面天       亦名猪頭天。赤黒色面猪身人持鉤云云  可知之。是北方天也

問。且上界四天中帝釋天地居天也。故疏第十九。地居中以帝釋爲上    云云    何攝上界

中乎 答。推之有三義。一於上界有帝釋天歟。守護經第二。佛於色究竟天爲天

帝釋説法   云云 可知之。二帝釋雖下界天。爲三十三天主歸佛法治惡邪。與修羅作戰之時。上界諸天皆下須彌頂爲帝釋伴侶防彼戰。是故賞之攝上界天中也。三上下界相望不定歟。今上界者欲界六天中第一爲下第二天以上爲上歟       此義無謂歟。違祕藏記等故也           從東北隅    等      者。那羅延天安東北隅。次第右旋布列之也」

「龍」とは梵には、那伽。此には龍と云。義疏に曰、龍に四種あり。一には天龍。天の宮殿を守り持して人間に落ざらしむ。人の屋上に龍を作るは是を像(かたど)るなり。二には雲を起こし雨を致して人間を益する者なり。三には地龍。江を決(さく)り涜(どく)を開く。四には伏蔵龍、轉輪王等の大福人の伏蔵を守るなりといへり。又正法念處經の第十八(畜生品)に曰、諸龍の住處は大海底万由旬にあり。戯樂城と名く。其の城、縦廣三千由旬なり。七寶を以て荘厳せり。七寶の光ある諸の池中の水に優鉢羅華等の衆の花具足せり。蘇陀味の食あって常に快楽を受く。花鬘・瓔珞・抹香・塗香等を以て其の身を荘厳し、神通意に随って自在なり。其の中に二種の龍王あり。

一には法行の龍王、是世界を護る龍なり。所謂七頭龍王・象面龍王・婆修吉龍王・得叉迦龍王・跋陀羅龍王・盧醯多龍王(ろけいた)・鉢摩梯龍王・雲鬘龍王・阿跋多龍王・一切道龍王・鉢婆呵龍王なり。此等の龍王は過去に人たりし時、外道の邪戒(牛狗等の戒)を受けて布施を行ずれども、心清浄ならず、瞋恚の故に龍と生れんことを願ふを以て此の中に生じ了って瞋恚薄らぎ福徳を憶念するが故に熱沙を雨(ふらす)苦なし。善心あるが故に時に順じて雨を降らし、五穀成熟せしめ、災雹(さいぼう)を降らすことなく、三寶を信敬し佛舎利を護る。

二には非行の龍王。此れは世間を壊する龍なり。所謂、波羅摩梯龍王(此には悩乱と云)・毗諶林婆龍王(此には奮迅と云う)・迦羅龍王(此には黒色と云う)・睺楼睺楼龍王(まろまろ・此には多聲と云う)なり。此等の龍王は先世に人中に在りし時、愚痴なるを以ての故に瞋恚を起こして、僧房・聚落・城邑を梵焼せるが故に地獄に堕して無量の苦を受け、地獄より出て此の龍と成れり。前世に屋宅等を焼きし罪に由て、今所住の處に常に熱沙を雨らして龍の頂上に著きて其の熱きこと熾んなる火の如くにして、宮殿眷属を焚きて皆悉く摩滅す。滅し已て復生ず。此の悪龍は閻浮提に於いて悪雲雨を起こして雨降る處には悪毒の樹を生じ、悪風樹を吹いて、毒気水に入るが故に、水をして毒ならしめ五穀悉く弊悪ならしむ。若し此の穀を食する者は病苦を得、穀の力薄きが故に人をして短命ならしむ。若し閻浮提の衆生、父母に不孝にし、沙門婆羅門を敬はざれば悪龍力を得て如上の悪風雨を起こす。若し父母に孝養し、沙門婆羅門を供養し、善法を行じ悪法を遠離すれば法行の善龍、大力を増長して風雨時に順じ五穀成熟して人民安楽なりといへり。又長阿含経には、胎卵湿化の四生の龍あって、六斎日(毎月の8日・14日・15日・23日・29日・30日)に八斎戒(不殺生、 不倫盗、 不淫、. 不妄語、 不飲酒、 不聴歌舞、 不坐広床戒、 非時食戒)を受く。金翅鳥取得て食せんとすれども其の尾を求むるに遂に得ず。時に鳥、此の故を聞きて慚愧して八戒を受けたりと云へり。又云く、金翅鳥の難を免るる龍王、十六あり。所謂、沙竭・難陀・跋難陀・伊那婆羅・提頭頼吨(だいずらた)・善見・阿盧迦拘羅(あろきゃくら)・迦毗羅・阿波羅迦兎(あはらきゃと)・瞿迦兎(くきゃど)・阿耨達(あのくだつ)・善住・優睒迦波頭(うせんきゃはど)・得叉迦なり(佛説長阿含第四分世記經龍鳥品第五「佛告比丘。有四種龍。何等爲四。一者卵生。二者胎生。三者濕生。四者化生。是爲四種・・・復有大龍。金翅鳥所不能得。何者是娑竭龍王難陀龍王跋難陀龍王伊那婆羅龍王提頭頼吒龍王善見龍王阿盧迦龍王伽拘羅龍王伽毗羅龍王阿波羅龍王伽毗龍王瞿伽兎龍王阿耨達龍王善住龍王。優睒伽波頭龍王得叉伽龍王。此諸大龍王。皆不爲金翅鳥之所搏食」)。龍趣には百味の飲食あれども、最後の一口必ず變じて蝦蟇と成ると云へり。又海龍王經二の十九には拘楼秦佛(俱留孫なり)の時九十八億の道俗拘那含牟尼佛の時の八十億の道俗、迦葉佛の時の六十四億の道俗、釈迦如来の時の九百九十億の道俗、戒を破し戒を謗る罪に由って龍趣に堕せりといへり。若し観音是等の類を救はんが為には五戒、八斎、十善戒、具足戒、十重四十八軽戒等乃至中道の妙戒を授けて救ひ玉ふべし。又大雲輪請雨經には三千界の諸龍の王を輪蓋龍王と名く。本は不退地に住すれども大願力を以て大龍王と成て、佛に白して諸龍をして安樂ならしめ、風雨時に応じて一切衆生をして安穏ならしめんことを請ふ。佛の言く、唯し一の行法のずべきあり。所謂慈心なり。此れを以て諸龍を安楽ならしめ、一切衆生を饒益すべしと。即ち施一切安楽陀羅尼を説て、若し此を誦持せば諸龍の苦悩を除き及び一切衆生をして安穏ならしむべしとの玉ふ。、又八十四億百千那由佗の龍王會座に集まれりといへり(大雲輪請雨經卷上「爾時有一龍王名無邊莊嚴海雲威徳輪蓋。三千大千世界主。・・無邊莊嚴海雲威徳輪蓋龍王即白佛言。唯然世尊云何能使諸龍王等滅一切苦得受安樂。受安樂已又令於此贍部洲時降甘雨。生長一切樹木叢林藥草苗稼皆生滋味。令贍部洲一切人等悉受快樂・・復次龍王。有陀羅尼名施一切衆生安樂。汝諸龍等常須讀誦繼念受持。能滅一切諸龍苦惱與其安樂」)。

又本朝神泉苑の池には、弘法大師無熱池の善女龍王を勧請し玉へり。此れは第七住の菩薩なりと云へり。又密教には水天を以て諸龍の上首とす。此水天は大日の等流身なり。此の故に「あ」字(梵字)或は「ば」字(梵字)を種子とす。請雨經の法に就いて東寺の長者相承の秘訣あり。龍に権実あること此等を以て知るべし。

「夜叉」とは此には捷疾鬼と云。海島に住すると、空中に住すると、天上に住するとの三類あり。佛成道及び説法の時、傳唱へて天に至る者なり。地夜叉は但し財を施せし報ひなるが故に虚空に能く飛ぶ。此れは四王忉利の二天に居て、天の城地門閣を守る者なり。又は勇健とも暴悪とも云。大日經の疏には天竺には藥叉を秘密と云。其の三業速疾隠秘にして了知すべきこと難きが故なりと云いへり(大毘盧遮那成佛經疏卷第一入眞言門住心品第一「西方謂夜叉爲祕密。以其身口意。速疾隱祕難可了知故。」)。又藥叉をば噉食(たんじき)と翻ず。正法念誦經の第十六巻餓鬼品に曰く、食鬘鬼とは前世に貪心を以て佛の花鬘を盗取りて自ら其身を荘厳せし罪に由て、或は佛塔の中に生じ、或は天祠の中に生じて神力あり。若し人忿諍て塔に詣て要誓すれば彼の鬼即ち便を得て能く悪夢を見せしめて人を怖す。若し人悪事に遇ふて彼の恩力を求め、此れ大威徳神通の夜叉なりと貴んで華鬘を供養すれば、此の鬘を食して暫く飢渇を離る。世の人讃嘆すれば鬼常に喜悦す。鬼の壽盡きて若し人中に生ずれば守園の人と作りて、花を賣りて自活す。又羅訖吨鬼(らきったき。世に血食といふ)あり。此れは前世に人中に在りて血肉を貪嗜して悪殺生し、生なる血を食ひ、慳嫉して妻子を施さざりしに因りて今此の鬼となれり。人皆名けて夜叉と云て供養奉事して、血を以て祭祀すれば血を噉已って、加(ますます)人を怖すを以て人又血を以て祀る。若し人間に生ずれば旋陀羅の家に生まれて人の肉を噉ふ。又蘇揵陀鬼(そげんだき。此には食香煙夜叉と云)あり。此は昔、香を賈人として人の香を買って三寶に供養ぜんとする者を誑かして悪香を與へて分に過ぎたる價を求め、心に浄心なく貪欲多くして悪報なしと思へる者、この鬼と成りて身に香鬘塗香抹香を著、妓楽を以て自ら娯しみ、或は神廟寺舎四交(よつつじ)巷の中、林の間、重閣楼櫓等の處に皆遍く遊行す。世の愚人、恭敬禮拝し種々の香を焼て供養ず。此の夜叉、神通力あって此の香を食して樂報を受く。若し人中に生じては貧窮の家に生まれて其の身に香気あり。又阿毗沙羅鬼(義翻じて疾行と云)あり、此は前世に沙門として破戒しながら法服を著し貪嫉の心の故に聚楽に遊行して、諂誑し財を求めん謀に衣服を厳って種種の城邑に歴て、廣く求め妄語して病者に供養すと云て竟に與へずして自用し、因縁の故に此の鬼と成て不浄處(大便處なり)に於いて不浄を噉ふて常に飢渇して自ら其の身を焼く。若し人不浄を行ずれば此の鬼其の人を悩まし怖(おど)し、或は悪夢を見せしめて恐す。若し世間に疫病流行して死する者多ければ心則ち喜悦す。若し又塚の間に行て死屍に近つ゛けば、其の身に火燃煙起る。若し人悪呪を以て是を呼ぶ時は一念の間に能く百千由旬に至る。神通を以て即来て能く衆生の為に種種の不饒益を為す。世の愚人競って共に供養して咸(ことごと)く皆号して大力神通夜叉とす。若し人中に生じては呪師の家に生まれて、諸の鬼神に属して鬼神の廟を守るといへり。又蚩陀羅鬼(しだら・此には伺便鬼と云)あり。此は前世に他の為に我が嬰児を害せられて心に大瞋を生じ願を發して當来に夜叉と成りて、彼が子を殺さんと誓ひし故に此の鬼と成て常に瞋恚を含んで諸の女人の産生の處に行きて嬰児の便を伺て其の命を奪ふ。此の鬼も又神通自在なり。若し血の気を聞(か)いでは須臾に百由旬に行き至る。若し児の母養育するに失あらば即ち其の便を得て児子等を害す。或は大小便處、不浄の水邊、或は門の中、高閣等の一切の處にして常に其の便を伺ふ。其の児、若しは過去の強善業あり若しは善神これを護れば殺害すること能はず。若し然らずして少しき便を得れば即ち害す。若し人中に生じては宿習の故に縁なき處にも怨敵の如くにして、常に人の短を求むといへり。此れ等は皆業報の夜叉なり。十巻楞伽経の第一には羅婆那夜叉、實の如く能く諸法の實相を見、能く佛地の内心の實智に住せりといへり(入楞伽經卷第一請佛品第一「爾時羅婆那十頭羅刹楞伽王。見分別心過。而不住於分別心中。以過去世善根力故。如實覺知一切諸論。如實能見諸法實相。不隨他教善自思惟覺知諸法。能離一切邪見覺知。善能修行如實行法。於自身中能現一切種種色像。而得究竟大方便解。善知一切諸地上上自體相貎。樂觀心意意識自體。見於三界相續身。斷離諸外道常見。因智如實善知如來之藏。善住佛地内心實智。」)。是は大権の夜叉王なり。又華厳経の列衆の中に無量の夜叉王あり。毘沙門、自在音、厳持器仗、大智慧、燄眼主、金剛眼、勇健臂、勇敵大軍、富資財、力壊高山の十大夜叉を以て其の王とす。皆勤めて一切衆生を守護すといへり。此等は皆大権の化現にして其の類を引んが為なれば、今の観音所現の夜叉に例すべし。若し秘密趣の釈ならば、夜叉王は即ち金剛手秘密主なり。又藥師の眷属の十二夜叉は十二時を守護す。一神将に各々七千の夜叉ありて眷属と成るが故に、八万四千の夜叉なり。此れは八万四千の塵労を即ち佛地の眷属とする義を表す。是又今の夜叉に例すべし。

「乾闥婆」とは新家の具なる梵語には、健蕩羅縛(けんとうらば)と云。健陀、唐には香と云。盎囉嚩(おうらば)唐には食と云。合して香食と云。義翻じて尋香行と云。又香陰とも云。香を食して陰、香を資くるが故に尒(しか)云なり。是則ち帝釈天の俗樂神にして幢竿に上る技を為者なり。須弥山の南の金剛窟に住す。帝釈若し樂を作んとなすときは心同ずるが故に即ち上て樂を奏するといへり。又華厳経の第一の列衆の中には持國、乾闥婆王(即ち持国天なり、是乾闥婆界の総官なるが故に)及び樹光、浄目、華冠、普音等の十を上首として無量の乾闥婆衆あり、皆大法に於いて深く信解を生ずといへり(大方廣佛華嚴經卷第一世主妙嚴品第一之一「復有無量乾闥婆王。所謂。持國乾闥婆王。樹光乾闥婆王。淨目乾闥婆王。華冠乾闥婆王。普音乾闥婆王。樂搖動妙目乾闥婆王。妙音師子幢乾闥婆王。普放寶光明乾闥婆王。金剛樹華幢乾闥婆王。樂普現莊嚴乾闥婆王。如是等而爲上首。其數無量。皆於大法。深生信解。歡喜愛重。勤修不倦」)。又護諸童子陀羅尼經には彌酬迦彌伽王(みしゅきゃみがよう)等の十五の鬼神あって常に人の小児を悩し、或は其の命を害するを、栴檀乾闥婆王其の上首として能く彼の害を除くといへり(佛説護諸童子陀羅尼經「男女交會時使其意迷亂 懷任不成就 或歌羅安浮 無子以傷胎 及生時奪命 皆是諸惡鬼 爲其作嬈害 我今説彼名 願佛聽我説 第一名彌酬迦・・・此十五鬼神。常遊行世間。爲嬰孩小兒。而作於恐怖・・・隨彼十五鬼神所住之處。與栴檀乾闥婆大鬼神王。令以五色線縛彼鬼神勿嬈衆生。」)此の鬼王は不動明王の變身なり。手に三股戟を持して十五鬼神の頭を貫連たり。此等皆大権の乾闥婆なり。今又例すべし。

「阿修羅」とは無端正と翻ず。男は醜し、女は端正なる故なり。又非天とも云。果報天に似て而も形醜して天に非ざる故なり。又無酒とも云(阿は無なり。窣羅を米酒と云が故に。)諸天の酒を飲むを見てこれを羨ましく思ひて四天下の諸花を採って大海に浸醸して酒と成んとすれども、海中の衆生の業力の故に酒とも成らず、甘露とも成らず、爰に於いて瞋恚し誓を起して酒を断ず。不飲酒の善に由りて大力を得たり。此の故に無酒神と云。又非善戯樂とも無善神とも云。闘戦を好むが故なり。正法念珠經十八十九に曰、阿修羅に二種あり。一に鬼道に摂せらるる者は謂く、魔身餓鬼なり。神通力あり。二に畜生に摂せらるる者は大海の底に住す。須弥山の側、大海に入ること二万一千由旬にして羅睺(此には覆障と云)阿修羅王の住處あり。名けて光明城と云。縦横八千由旬なり。無量の寶林流泉浴池蓮花荘厳せり。其の地は真金にして色は電光の如く金殿楼閣珊瑚の寶樹あり。衆の寶鈴を懸け妙なる音聲を出す。種種の音楽あって歓娯して樂を受け、四の婇女あり。憶念するに随て生ず。如影、諸香、妙林、勝徳と名く。十二那由他の侍女あて眷属として囲繞せり。羅睺阿修羅王(又師子児と名く)其の中に在て五欲に耽樂す。又第二の住處あり、縦横一万三千由旬、荘厳殊妙なり。所住の境界十三所あり。昔婆羅門あり、名けて婆利と云。聡慧にして技芸あり。喜で布施を行じて曠野の中にして根果等の種種の飲食清泉美水房舎敷具等を施し、又四交路の首(ほとり)に於いて、諸の病人・盲目・貧窮の旅客等に房舎幷に飲食を施して悉く満足せしむ。然れども正見ならず、尒時に弥梯羅林の中に無量百千の塔婆あり。尼彌王等の五百の大王の造れるところなり。中に一の塔あり。高さ二由旬(八十里)廣さ五十里あり。真金の瓔珞焔鬘あって荘厳し、七寶映飾し種種に荘校せり。諸佛の名を聞くに随って悉く其の形像を圖畫し又種々の流泉浴池に衆の妙なる蓮華あり。諸の鳥遊戯するを畫かいて無量に荘厳せること今の羅睺阿修羅王の所住の城の如し。時に彼の波利婆羅門(ばり)四千乗の車に衆の飲食を載せて大曠野の衆人の行路に出て、遍く施んと欲して、此処を過るに悪人あって火を放て彼の塔を焚焼す。時に婆羅門、是を見て思惟すらく、我今且く施福を息めて此の塔を救ふべし、若し救はずんば大王或は重罰を加ゆることあらんと。是實の信敬尊重の心には非ざれども即ち四千乗の車に水を載せて此の火滅し了りて笑を含んで曰、我今此の塔の火を救ふ、福徳あるべきや否や。福徳あらば、我願はくは後世に大身の相を得て、欲界の中に等しき者なからん、と。此の願を起こすと雖も、猶不信にして不正思惟なり。故に常に闘戦を愛して正業を信ぜざりき。福田力の故に此の光明城に生じて羅睺阿修羅王と成りて、壽命長遠にして五欲殊勝なり。凡そ阿修羅に生ずる業因は前世に漁猟する者の網を張って生を殺し、活命するを見て其の漁堰を破り、或は威勢を以て逼て殺生をやめしめ、此を以て自利の為にし、或は名誉を求め、或は國王大臣の為に屠殺を遮断す。此の如く先世より不殺の法を習行して餘善を行じざる者、此等の人、身壊し命終て阿修羅道に堕して五千歳の壽命を経て快楽を受く。人間の五百歳を以て一日一夜として五千歳なり。其の壽出(あま)ること少なく、減ずることは多し。亦中夭あり。

二には亦二万由旬を過ぎて月鬘と云地あり、陀摩睺(たまご、此には骨咽と云。又は勇健とも云。又華鬘とも名く。)阿修羅王の住處なり。雙遊戯大城あり。荘厳前に過ぎたり。其の縦廣八万由旬なり。民衆甚だ多くして皆富楽を受く。是は前世に大施會を設けて外道を供養し、種種の食を以て破戒雑行の人に施て心に正見なき者、或は他の物を盗竊して邪思を以て離欲の外道に施して飲食充足せしめたる者、此の中に生じて壽六千歳なり。人間の六百年を以て一晝夜とす(人間の百二十九億六百万年にあたる)。

三には復、二万一千由旬を過ぎて修那婆と云地あり。縦廣一万三千由旬なり。城を鈴毗羅と名く。縦廣八千由旬あり。華鬘阿修羅王其の中に住せり。其の民をば遊戯幻と名く。荘厳快楽前に倍せり。此は前世に節會の日に因で相撲・射戯・樗蒲(ちょぼ)・圍碁、種種の博戯不浄の施をなして佛法に信なき者、此の中に生じて壽七千歳なり(人間の七千歳を以て一晝夜とする)。

四には、復二万一千由旬を過ぎて地あり。不動と名く。廣さ六万由旬、城あり。又鋡毗羅(かんびら)と名く。縦廣一万三千由旬、荘厳先に倍せり。鉢呵婆(はつかさ)阿修羅王、其の中に住す。民衆を一切忍と名く。此の阿修羅王は一切の阿修羅の中に福徳最勝にして威徳光明自在無畏なり。尚帝釈天にすら畏るることなし。況や餘の天をや。此は人中に在りし時、邪見不信にして業果を識らず佛法僧を捨離せる者、一の第一に精進持戒なる人の辛苦して乞求するを見て、即ち一食を施し了て曰く、我愚痴に故に汝に食を施せり、汝に施して何の福徳かあらん。汝が如き下賤の人に施すは種子を以て沙鹵(しゃろ塩干潟)に投るが如し、と。斯の因縁を以て此の中に生じて果報最勝といへり(正法念誦經の意)。又観佛三昧經に依らば、劫初に光音天、大海に入りて澡浴するに四大の精気即ち身中に入りて身触れて楽しむが故に、精水中に流る。八風吹去て淤泥の中に堕ちて自然に卵と成りて八千歳を経て後、其の卵即ち開けて一人の女人を生む。其の形青黒にして淤泥の如し。九百九十九の頭あり。頭ごとに千の眼及び九百九十九の口あり。口ごとに四の牙あり。牙の上より火を出すこと霹靂(へきれき)の如し。二十四の手あり。手ごとに皆武器を捉る。其の身高大なること須弥山の如し。大海の中に入って水を拍て自樂しむに旋嵐風あって大海水を吹くに水の精、體中に入って即ち懐妊す。八千年の後に一の男を生む。其児身の大きさ母に四倍せり。児に九の頭あり。頭ごとに千の眼あり。口の中より火を出す。九百九十九の手、八の脚あり。海中より聲を出せば毗摩質多羅阿修羅王と名く。唯淤泥と蕖藕根(グウコン・蓮根)とを噉ふ。其の児長大にして諸天の婇女の囲繞せるを見て羨んで母に向って伉儷(こうれい。配偶者)を求む。其の母香山の乾闥婆が娘を娶る。其の女美して色白玉に超、身の毛の孔より妙なる音を出す。此の女久からずして懐孕して八千歳を経て後に一の女を生む。其の女顔容端正挺特(ぬきんでてすぐれたり)にして、天上天下に雙ぶ者なし。面上に姿媚(なまめかしさ)八万四千あり。前後左右に各々八万四千あり。帝釈これを求めて妻として名けて悦意と云(即ち舎脂なり)。後時に帝釈、歓喜園に至て諸の采女と共に池に入って遊戯す。尒時に悦意、即ち嫉妬を生じて五夜叉を遣して父の阿修羅王に告げて、帝釈復寵愛せられずと云。父即ち大に瞋恚して四兵(象・馬・車・歩)を興して帝釈天を攻。大海の底に立ち、須弥山に踞す。九百九十九の手同時に俱に作て喜見城を撼し、須弥山を揺す。四大海の水一時に波たち動く。尒時に帝釈。善法堂に坐して名香を焼て大誓願を發す。般若波羅蜜寶は是大神呪大明呪無上呪無等等呪なり。真実にして虚しからず。我般若を持して成佛すべくは阿修羅をして自然に退散せしむべし、と。此の語を作す時空中より刀輪自然に下りて修羅の上に當って耳鼻手足一時に盡く落て、海水をして赤きこと蚌珠(かいのたま)の如くならしむ。阿修羅恐怖して遁るる處なくして、藕絲の孔の中に入るといへり。已上。

又華厳経の第一には、羅睺・毗摩質多羅・巧幻術等の十の阿修羅王を上首として無量の阿修羅衆あり。悉く既に精勤して我慢及び種の煩悩を摧伏せりといへり(大方廣佛華嚴經卷第一世間淨眼品第一之一「復與無量阿修羅神倶。其名曰羅睺羅王。毘摩質多羅王。睒婆利王。明月王。金剛堅錦王。大智慧力王。勝集天女王。如是一切悉能降伏憍慢放逸。」)。又大日経の意に由れば、阿修羅は大日の等流法身なり。「阿」字(梵字)を以て名の始めとすることは阿修羅に即して本不生際に入ることをあらはす。次の「そ」字(梵字)は三諦不可得なり。終わりの「ら」字(梵字)は一切の煩悩塵垢不可得なり。此等は皆大権の阿修羅なり。

「迦楼羅」とは新には掲路荼と云。正翻には食吐悲苦聲と云。龍を噉に苦む聲を出すが故なり。𦾔には義を以て金翅と云。又妙翅と云。翅の頭金色にして其の色極妙なるが故なり。此鳥龍と共に約すらく、汝須弥を繞ひて断しめよ、我は大海を搏って底を見さん。我能はずは子を輸(いだ)して汝に給仕せしめん。汝如かずば子を輸して我に噉はしめよ、と。龍、須弥を繞て断たしめんとするに天の福力の故に断つこと能はず。龍即ち子を輸して噉はしむ。毎日に一万の大海に入りて五百の小龍、一の大龍を噉ふかの如く、四方を周る。終て復始む。卵生の鳥は、唯卵生の龍のみを噉ふ。湿生の鳥は湿卵二生の龍を噉ふ。胎生の鳥は胎卵湿の三生の龍を噉ふ。化生の鳥は能く四生の龍を噉ふ。又華厳経の第一には大速疾力等の十の迦楼羅王を始めて不可思議の金翅鳥あり。悉く已に大速疾力を成就して善く一切衆生を救ふなり、といへり(大方廣佛華嚴經卷第一世主妙嚴品第一之一「復有不可思議數迦樓羅王。所謂大速疾力迦樓羅王。無能壞寶髻迦樓羅王。清淨速疾迦樓羅王。心不退轉迦樓羅王。大海處攝持力迦樓羅王。堅固淨光迦樓羅王。巧嚴冠髻迦樓羅王。普捷示現迦樓羅王。普觀海迦樓羅王。普音廣目迦樓羅王。如是等而爲上首。不思議數。悉已成就大方便力。善能救攝一切衆生」)。又大日経の意は迦楼羅も大日の等流法身なり、定慧の両の翅を以て神通説法の大勢を奮って生死の大海に入りて煩悩の悪龍を噉食し盡すことを表す。故に「きし」字(梵字)を種子とす。「きしゃ」字は盡の義、食の義なり。「い」点は自在の義なり。噉食し盡すこと自在なる三昧地をあらはす。されば文殊根本大教王經金翅鳥品には迦楼羅の三密の法を以て外道悪人を服し、或は富樂を得、壽命を延す等の無量の成就の法を説けり。止風雨陀羅尼經には迦楼羅の印言を以て悪龍を対治し、疾風を息(やめ)、悪雨を散ずる法あり。是皆大権の金翅鳥なり。

「緊那羅」とは、此には疑神と云。其の形人に似て而も頭に角あり、見る者人か人に非ざるかと疑ふ。故に疑神と云。此に由りて亦、人非人とも云なり。華厳の音義には緊、此には疑と云。那羅をば人と云。或は緊をば猶豫と云。那羅をば丈夫と云。其の形人に似、口は牛に似たり。故に見る者の疑を生ずる故に名くといへり(新華嚴經論卷第二十六「緊那羅者此曰疑神。頭上有角人見生疑。爲人耶。爲非人耶。摩睺羅者。此云胸腹行此是諸畜。是同龍輩。古云大蟒神人及非人。非人是鬼類。」)。

此は帝釈の法樂神にして絲竹の調をする者なり。十寶山の間に住す。天王若し樂を奏せしめんと思ふ時は自然に其の腋の下より汗流る。其の時自ら天に上って樂を作すなり。大樹緊那羅王、瑠璃の琴の閻浮檀金を以て華葉荘厳せるを以て、佛前にして調べしに其の聲皆諸法実相を演て普く三千界に聞こゆ。欲界の諸天悉く隠蔽せられ須弥山等の大山、は峨(ゆるぐ)として定まらず。唯し不退転の菩薩を除いて、迦葉等の一切の賢聖皆覚へず、小児の如く舞戯るといへり(大樹緊那羅王所問經卷第一「是大樹緊那羅王。欲來見佛先現此相。語言未久。大樹緊那羅王。與無量緊那羅衆。無量乾闥婆衆。無量天衆。無量摩睺羅衆。大衆圍遶。作八萬四千伎樂。以淨妙歌善和衆樂。復有無量百千衆生皆悉隨從。菩薩神通大力所持。上昇虚空普雨衆花。來詣佛所到已。及諸侍從頂禮佛足。右遶七匝住世尊前。爾時大樹緊那羅王。以己所彈琉璃之琴。閻浮檀金花葉莊嚴。善淨業報之所造作。在如來前善自調琴。及餘八萬四千伎樂。是大樹緊那羅王當彈此琴。鼓衆樂時。其音普皆聞此三千大千世界。是琴音聲及妙歌聲。隱蔽欲界諸天音樂。爾時欲界所有諸天。皆捨音樂來詣佛所。是大樹緊那羅王當鼓琴時。三千大千世界所有叢林諸山。謂須彌山王。雪山。目眞隣陀山。摩訶目眞隣陀山。黒山。及衆藥草樹木叢林。悉皆涌沒。涌漸遍涌。等遍涌。動漸遍動。等遍動。震漸遍振。等遍震。猶如有人極爲醉酒。」)。又大日経の意は、此れ又大日の等流身なり。「き」字(梵字)を以て種子とす。「きゃ」字は作業不可得の義なり。是乃ち音楽の作業、即ち本不生なりと悟る義なり。「い」点は即ち自在三昧の義なり。是等は皆大権の緊那羅なり。又華厳の第一には善慧光明天、妙華憧等の十の緊那羅王を上首として無量の緊那羅王あり。皆勤めて精進して一切の法を観じて自在に遊化すといへり(大方廣佛華嚴經卷第一 世主妙嚴品第一之一「復有無量緊那羅王。所謂。善慧光明天緊那羅王。妙華幢緊那羅王。種種莊嚴緊那羅王。悦意吼聲緊那羅王。寶樹光明緊那羅王。見者欣樂緊那羅王。最勝光莊嚴緊那羅王。微妙華幢緊那羅王。動地力緊那羅王。攝伏惡衆緊那羅王。如是等而爲上首。其數無量。皆勤精進。觀一切法。心恒快樂。自在遊戲」)。是皆中道王三昧に住するなり。

「摩睺羅伽」とは此には大腹行と云。是大蟒蛇(やまかがし)なり。譬喩品には謗法の罪に因って此の中に堕す。其の形長大にして五百由旬なり。聾騃(ろうがい)にして足なく宛轉して腹行す。諸の小蟲にすい食はして晝夜に苦を受て休息あることなしといへり(妙法蓮華經卷第二譬喩品第三「死已更受蟒身 其形長大 五百由旬  聾騃無足 宛轉腹行 爲諸小蟲之所唼食 晝夜受苦 無有休息」)。浄名の疏には、破戒邪諂にして瞋多くして施少なく酒肉を食嗜する者、廟神となって人の酒肉を受けて後に蟒の中に堕すといへり(維摩經略疏卷第二 佛國品之二「摩睺羅伽此是蟒神。亦云地龍。無足腹行神。即世間廟神受人酒肉悉入蟒腹。毀戒邪諂多嗔。少施貪嗜酒肉戒緩墮鬼神。多嗔虫入其身而唼食之。」)

華厳の第一には、善慧・清浄・威音等の十の摩睺羅伽衆あり。皆勤めて廣大の方便を修習して諸の衆生をして癡の網を割しむといへり(大方廣佛華嚴經卷第一世主妙嚴品第一之一「復有無量摩睺羅伽王。所謂。善慧摩睺羅伽王。清淨威音摩睺羅伽王。勝慧莊嚴髻摩睺羅伽王。妙目主摩睺羅伽王。如燈幢爲衆所歸摩睺羅伽王。最勝光明幢摩睺羅伽王。師子臆摩睺羅伽王。衆妙莊嚴音摩睺羅伽王。須彌堅固摩睺羅伽王。可愛樂光明摩睺羅伽王。如是等而爲上首。其數無量。皆勤修習廣大方便。令諸衆生永割癡網」)。清涼の大疏に釈して曰、此れ大腹行なり、亦菩薩遍く一切を行じて而も無行なることを表す。又此の類は聾騃(ろうがい)なるが故に、方便して愚痴を捨てしむといへり(大方廣佛華嚴經疏卷第五「摩睺羅伽者此云大腹行。即蟒之類。亦表菩薩遍行一切而無所行也 徳中。此類聾騃故。令方便捨癡。」)。又大日経には、此の摩睺羅伽も亦是大日の等流身なれば大日如来無量乗を説き玉ふ中、摩睺羅伽に生ずる法を説玉ふといへり(大毘盧遮那成佛神變加持經卷第一入眞言門住心品第一「世尊云何如來應供正遍知。得一切智智。彼得一切智智。爲無量衆生。廣演分布。隨種種趣種種性欲。種種方便道。宣説一切智智。或聲聞乘道。或縁覺乘道。或大乘道。或五通智道。或願生天。或生人中及龍夜叉乾闥婆。乃至説生摩睺羅伽法。」)。又此の尊の種子には「ぎゃ」字を用ゆ。「ぎゃ」字は行不可得の義なり。諸行皆本有にして始めて行するには非ずと開悟する時は、行即ち無行なり。是即ち行不可得の實義なり。是等は皆大権の摩睺羅伽なり。

「人非人」とは、上の八部衆を総結す。此等の衆、佛の法會に来入するには皆人の形を現ずるといへども、而も人に非ざるが故に人非人と云なり。又十輪経には、地蔵菩薩、欲界の六天の身、健達縛・阿素洛・緊捺洛・莫呼洛伽・龍・藥叉・羅刹・鳩畔陀・畢舎遮・餓鬼・布怛那・羯吨布怛那(きゃたふたんな)・奥闍訶洛鬼(おうじゃからき)・閻魔王・獄卒等の身を現じて應の如く説法し、三乗の不退転位に住せしむといへり(大乘大集地藏十輪經「此善男子。成就如是如我所説不可思議諸功徳法。堅固誓願勇猛精進。爲欲成熟諸有情故。於十方界。或時現作大梵王身。爲諸有情如應説法。或復現作大自在天身。或作欲界他化自在天身。或作樂變化天身。或作覩史多天身。或作夜摩天身。或作帝釋天身。或作四大王天身。或作佛身。或作菩薩身。或作獨覺身。或作聲聞身。或作轉輪王身。或作刹帝利身。或作婆羅門身。或作茷舍身。或作戌達羅身。或作丈夫身。或作婦女身。或作童男身。或作童女身。或作健達縛身。或作阿素洛身。或作緊捺洛身。或作莫呼洛伽身。或作龍身。或作藥叉身。或作羅刹身。或作鳩畔荼身。或作畢舍遮身。或作餓鬼身。或作布怛那身。或作羯吒布怛那身。或作粤闍訶洛鬼身。或作師子身。或作香象身。或作馬身。或作牛身。或作種種禽獸之身。或作剡魔王身。或作地獄卒身。或作地獄諸有情身。現作如是等無量無數異類之身。爲諸有情如應説法。隨其所應安置三乘不退轉位」)。是又準ずべし。

 

 

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