福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

此の膿血出る肉身に佛を顕す

2020-12-30 | 諸経

「真言宗安心」 慈雲尊者撰

「問、真言宗にて安心と云ふことを承る。真言宗には如何に安心仕るべきや。

師云く、今時先ず諸宗の中に禅宗と真言宗とを向上の宗旨とす。禅宗は即心即佛と云ひ、真言宗は即身成仏と云ふ。此の心の成仏と身の成仏との別を詳らかにすべし。即心即佛と云ふは我が心を悟りさへすれば是れそのまま佛と云ふ意也。それゆへ遥かに十万億土の外に佛を求めざる也。且らく餘家よりは超越せるに似たり。

真言宗に即身成仏と云ふは此の膿血出る肉身、飲食を輿へて養ふ肉血のかたまりに功徳具足無上尊の佛を顕す也。(玉城康四郎博士は「へどろもどろ、ちりあくたのような自分にダンマがあきらかになる不思議」(ダンマの顕現 仏道に学ぶ)と

故に大日如来を礼し釈迦如来を礼するも外に向て求めむるには非ず。この身このまま直に佛となるべし。萬善具足の法なり。即身成仏の宗なり。今日世間の相みな真言宗の法門となり来る也。父母に孝を盡し君に忠を盡すべし。是よりして一切の善事みな仏事ならざるといふことなし。病める身に薬師如来を念じ奉りて利益を得る、この病、真言宗の法門なり。貧窮なるに毘沙門天を供養してその利益を得る、この貧しき苦、法に入るべき門なり。(生老病死の苦しみはすべて密教に逢うための入口である)。

大凡祈誓するに心相深重なれば利益を得るなり。若し軽浮の心なれば其の利益なし。此の深重至誠を初めとして一印一明を受持するに一印一明みな法界を盡して其の功徳成満す(これには結縁灌頂や菩薩十善戒の受戒等が要件)。是れ成仏の正因なり。既に是れ萬善具足の法なれば他方の往生も妨げなし。西方も東方も我が郷里方域の内なり。又是れ神通乗なれば十萬億土も發意の間に即ち至るべし。此の如く病患貧苦も法門となれば其の餘の一切の事業みな仏道に入る門ならざるはなし(この世の一切の事象は真言宗に入る入口である)。家を造立して地を撰び時日を撰ぶ、この處に信を生ずれば大地是法門なり。時日是法門なり。人に生まれて人たる道に萬徳具足の門を知る。谷の深さに不生不滅の仏身を見る。我が耳鼻舌身の中に法の実相に達す。宿福の人、この法に入るべし。この法門に入るべし。凡そ真言宗は即身成仏の宗、萬善具足の法と知るべし。」

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