妙法蓮華経秘略要妙・観世音菩薩普門品第二十五(浄厳)・・27
二は長者身。
「應以長者身得度者。即現長者身而爲説法。」
諸人に長る徳、十種ある故に長者と云。文句の第五に曰、一には姓貴し。二には位高し。三には大に富めり。四には威猛し。五には智深し。六には年耆ひたり。七には行清し。八には禮備はる。九には上(かみ)歎ず。十には下帰す。浄名經(維摩経の別名)の序品の寶積等の五百の長者子(維摩詰所説經佛國品第一「爾時毘耶離城有長者子。名曰寶積。與五百長者子俱。持七寶蓋來詣佛所」)、又摩訶迦葉の内秘外現なるが如き、初めは大長者なりき(佛本行集經)。此等皆準例すべし。財寶多きが故に財施等を以て貧賤孤獨を誘進して後に善巧を以て説法して終に菩提に向はしむべし。故に此の所説の法も局(かぎる)ところあるべからず。