観音經功徳鈔 天台沙門 慧心(源信)・・1/27
観音經功徳鈔目録
一穆王霊山に至る事
二當品を讀誦して疫病を除く事
三法華彌陀観音一躰の事
四題の外品の内に妙法の言は之無き事
五別號の観音の事幷翻名の事
六盲人眼を開く事
七涅槃普門勝劣の事
八長劔火難を遁るる事
九事理一心称名の事
十劉澄水難を遁るる事幷風難の事。姫殺害を遁るる事。二鬼羅刹の事。亡魂の事。
十一月蓋の事。善光寺如来の事。諸観音經懺法の事
十二盖護鎖を解く事。一行の事。菅丞相の事。
十三盗人発心の事。眼清といふ佛師の事。丹波ゆるたの観音の事。摩藤迦女の事。
十四煩悩即菩提の事。無碍講衆の事。
十五女七苦三苦の事。乗仙僧都の事。
観音經功徳鈔目録
妙法蓮華經観世音菩薩普門品第二十五
来意の事。妙音品について、此の品の来たる事は妙音は東方より来るといへり。発心の初めなり。(大日經疏妙印鈔妙印鈔卷第十九釋入眞言門住心品第一之餘「所謂寶幢花開敷彌陀天鼓。發心修行菩提涅槃是也。於東方發心又有始心終心。其始心位普賢即大悲也。其終心位寶幢即大智也。於南方修行又有始心終心。其始心位文殊即大悲也。其終心位花開敷即大智也。於西方菩薩又有始心終心。其始心位觀音即大悲也。其終心位阿彌陀即大智也。於北方涅槃又有始心終心。其始心位彌勒即大悲也。其終心位天鼓雷音即大智也」)観音は西方に住したまふ菩薩なれば菩提の終わりなり。仍って東西と次第する事発心修行してついに菩提にいたる心なり。
四要品(法華経一部の肝要とされる四品。 すなわち、方便品・安楽行品・寿量品・普門品をさし、それぞれ教・行・体・用を示すものとして重んぜられる。)
の事。妙楽の釋に云く、その敗種を生ずるを心符と為す、といふは、方便品なり。顕本遠壽を其の命と為すといふは寿量品也。一條の妙行を眼目とすといふは安楽品なり。常住仏性を咽喉となすと云は普門品也。(法華文句記卷第十下唐天台沙門湛然(妙楽大師)述「然此經以常住佛性爲咽喉。以一乘妙行爲眼目。以再生敗種爲心腑。以顯本遠壽爲其命而却以唯識滅種死其心。以婆沙菩薩掩其眼。以壽量爲釋疑斷其命。以常住不遍割其喉。以三界八獄爲大科。形斯爲小。以一乘四徳爲小義。無可會歸。」此の經は常住仏性を喉元とし、佛種のない二乗の佛種もで再生することを心の腑とし、本来の遠い壽命を顕かにすることを命とし、・・・)人の身に心壽目咽喉とは共に肝要なりと雖も取り分け咽喉肝要なり。其の故は食事の通息のいでいりに依りて心壽等をも持つゆへなり。仍って四要品は法華の心壽目咽喉にしてともに肝要なりといへども取り分此の普門品は咽喉なれば肝要の中の肝要なり。されば此の品を肝要と思召すゆへ法華文句の外に別に両巻の抄と云て上下二巻此の品に疏を作り給へり。又観世音普門品の五字ばかりを釋し玉ふは観音玄義(天台智者大師説 門人灌頂記。観音經を名体相用教の五重玄義にもとずいて解釈した書)といふ也。