ふせちゃんのブログ

布施隆宏 公式ブログ。 鉄道写真 風景写真 ジオラマ制作など 趣味の世界を紹介します。

フォトエッセイ 第20話

2008-09-20 22:19:11 | 伝えたいもの
                       利権に群がるイラク戦争 

 8月31日(日)。 わたしは今、新前橋駅を見下ろす福祉総合センターに来ています。 8Fのロビーからは、北に群馬県庁と赤城山を間近に 眺望が楽しめます。

 日本全国をまわり、戦争の悲惨さを訴えているアメリカ人がいます。 アッシュ・ウールソンさん(26歳)。
 私たちは、イラク戦争から帰還した元兵士、ウールソンさんの講演会を開くため、ここに集まりました。
 垂れ幕、案内板、カンパ箱、書籍、チラシ、アンケート箱など、今日のために準備した 手作りの品々がテーブルに山盛りです。


                           まずは 気合い入れ!


                         試行錯誤のステージ作り

 ウールソンさんは大学進学を考え、学費のくめんに苦慮します。 高校在学中に軍のリクルーターが訪れ、ウールソンさんに軍隊(州兵)に入ることを勧めました。
 ベトナム戦争以来、徴兵制度が廃止されたアメリカでは、軍に入隊すると学費を国防総省が負担するという制度が始まりました。 ウールソンさんはこれを利用することにしたのです。
 軍隊といっても、ウイスコンシン州の州兵ですから、訓練は一年間に30日だけ。 災害が発生した時に派遣される程度ですから、戦地に行って鉄砲を持つことなど無いはずです。
 2003年、ウールソンさんに極秘任務が与えられました。 何も知らされないまま、たどり着いたのは開戦直後のイラクでした。


   オープニング企画は、高校生と専門学校生の担当。 パワーポイントを使って イラク戦争の経緯を紹介。

 ウールソンさんらは、常に M16ライフルの銃口を 子供たちに向けていました。 「 イラクの子供は手榴弾を隠し持っているから気をつけろ! 」 と、上官に繰り返し言われていたからです。 けれど、そんな話は他では聞かないし、イラクの子供たちは天使のように純心だったと言います。
 ある日、アメリカの軍用車がイラクの少女とヤギ2頭を ひき殺す事故が起きました。 その補償金を少女の家族に届ける任務が、ウールソンさんたちに与えられました。
 ヤギは1頭あたり200ドルの値が付きました。 少女の命には100ドルの値が付きました。 アメリカ軍は少女の人権を無視し、「 少女は 一生かかってどれくらい稼げるか 」 で、金額が決められました。
 交渉のため、上官と通訳の護衛に十数名の武装兵がその家を囲みます。 沢山の銃口が向けられる中、前日に娘を殺された父親が、たった一人で家から出てきました・・・。
 何という悲しい光景でしょう !
 「 この人たちを苦しめているのは、自分たちなのではないのか? 」 ウールソンさんは次第にそう思うようになったと語ります。

                 
           講演会を盛り上げようと集まってくれた、群馬子供の人権宣言合唱団のみなさん

 私は今回の講演をきっかけに、ブッシュ政権について調べる機会が増えました。 そして、未だかつてこれほど私利私欲の、利権の絡んだ戦争は無かったことを知りました。
 その幾つかを、キーワードに沿って紹介します。

ハリバートン社・・・ 国防総省を相手に、燃料の供給と建設会社として契約している会社。 チェイニー副大統領がかつて社長を務めていた。 共和党議員に献金し、政府から利率の良い契約を多く請けています。
イラク戦争では、世界中から貧困労働者を集め、イラク駐留軍の後方支援の人材派遣をおこない、政府から高額な契約金を得ています。

ブラックウオーター社・・・ 戦争請負い会社。 自社の訓練施設で養成した兵士をイラクに派遣して、政府から高額な契約金を得ています。
軍人ではなく民間人なので、軍法会議にかけられる事も無く、強盗も殺人も、やりたい放題。

PTSD (心的外傷後ストレス障害)・・・ イラク、アフガニスタンから帰還した米兵の60万人が うつ病だといわれています。 社会復帰が難しく、自殺者が後を絶ちません。 また、ホームレスの 1/3は 帰還兵です。

                   
                  全国を講演してまわっている アッシュ ウールソンさん。

 世界のどこかで紛争が起こると、アメリカが軍事介入してきます。 高額な武器を買わせ、内戦を激化させます。 軍隊と一緒に、上掲した商人たちが現地に入り、私利私欲をむさぼるのです。
 同時に、アメリカは イラクの油田を狙っています。 ブッシュ大統領がイラクに戦争を仕掛けた本当の理由は、「 イラク油田の経営権を フセイン大統領から奪い取ろう 」 というのが狙いでした。 そのために100万人ものイラクの一般人を殺し、4000人のアメリカ兵士を失いました。 戦争はまだ続いています!

                 
                 静まりかえる場内、ウールソンさんの声だけが 響きます。

 ブッシュ政権は日本に対して、軍事援助を求めています。 その邪魔者が、日本の 「 憲法9条 」。
 これを改正させ、自衛隊を米軍と一緒に戦争させようとするアメリカ。 けれどそうなった時、日本とアジアの平和は失われてしまいます。
 日本人の税金は、死の商人を潤わせる事になるだけ。 「 聖なる戦争 」、「 正しい戦争 」 なんて、ただの飾り言葉です !

 「 こんな醜い現実を、知らないままでいた恐ろしさ。 知ってしまった恐ろしさ。 そして、知ってしまったのに、何もしないでいる恐ろしさ 」。 ここ数日、心の整理をつける糸口を探している。

 ウールソンさんたちの全国講演ツアーは、9月中旬まで続きます。。。


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フォトエッセイ 第19話

2008-09-14 15:35:00 | 伝えたいもの
     「 毎日暑いねぇ。 穴もぐりに行かない? きっと涼しいよ~ぉ!」 

 「 うわっ、狭い道! 対向車来たら、すれ違いできないじゃん 」。
 案内役の、埋蔵文化財なんたらかんたらの人の運転するクルマを見失わないよう、夏草の茂る急な坂道を下っていく。 たどり着いたのは、沼田市郊外にある利根川べりの河岸段丘だった。

 ある夏の日、卒業生らで作るサークル活動の顧問から、電話があった。
 「 毎日暑いねぇ。 どうしてる~ぅ? ところで、穴に潜りに行かない? きっと涼しいよ~ぉ! 」。
 唐突な電話でまるで要領を得なかった私は、この時期 「 涼しいよ~ 」 なんて言われたら、断れるはずがない。 私は二つ返事で了解した。 すると、「 じゃあ、クルマ出してくれる~ぅ? 」って・・・。 なるほど! 彼女が私を誘った理由って、それが目的だったのかぁ・・・。
 


 当日、集合したのは10名。 私ともう一人の男の子を除けば、皆さん歴史関連の名立たる有識者のようでした。
 案内されたのは、沼田市上川田地区。 畑に沿った崖に横穴がいくつも掘ってあって、深く続いている。 第二次世界大戦の末期、地下の火薬工場として掘削工事が進められ、完成しないまま終戦を迎えた、戦争遺跡である。

          

穴の中でありながら天井が高く、圧迫感はあまりない。 火薬の爆発事故に備えたらしく、一部に広い空間が作ってある。



 この日、私たちが2ヶ所目に訪れたのは、月夜野町後閑(ごかん)地区でした。 JR上越線と関越道に挟まれた山あいに 「 旧 中島飛行機 地下工場跡 」 というものがあります。
 1945(昭和20)年3月に着工。 面積14900平方メートルの地下工場を突貫工事で作り、終戦直前の 8月10日に完成させています。 工事には、中国から拉致してきた中国人約600名と、朝鮮人約1500名、動員学徒らが従事していたとされています。

 地下軍需工場はこの他に、群馬県内に2ヶ所あった事が分かっています。
  ・ 太田市西長岡地区の、旧 中島飛行機 地下工場。 面積9900平方メートル。
  ・ 吉井町馬庭(まにわ)地区の、火薬製造所。 面積17000平方メートル。

 現在、こういった「 戦争の遺跡 」を「 負の遺産 」として、保存しようという動きが出ています。 戦争の記憶は決して消してはならず、私たちはそれを語り継ぐ必要があると思うのです。



  今回の現地調査に参加した10名。 案内してくれたのは、埋蔵文化材調査事業団の菊池実氏( 左上 )。



調査結果や関連記事が掲載されている「 季刊 群馬評論 」( 群馬評論社 刊 )と、2007年8月に出版された、群馬県内の戦争遺跡を紹介した「 フィールドワーク・群馬の戦争遺跡 」( 平和文化 刊 )。

          < 写真および文章の無断転載を 固くお断りします >

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フォトエッセイ 第16話

2008-05-04 00:15:16 | 伝えたいもの
                 ちいさな春など 探しに行ってみたいです



 あるとき私は、中野駅にいました。 中野駅は、JR足尾線から わたらせ渓谷鉄道に移行するさいに誕生した、小さな無人駅です。
 私が始めてこの地を訪れた頃、周囲には田んぼが広がり、あぜ道には季節の草花が咲いていました。
 ゆり、サルビア、曼珠沙華。 稲の色づきと共に咲く花の種類も変わり、のどかな田園風景の中を 小さな列車がトコトコ走る、思い出深い場所なのでした。



 久しぶりに訪れた中野駅周辺は、私の記憶にある風景とは雰囲気が違っていました。 線路に沿って、桜並木が出来上がっていたのです。
 わたらせ渓谷鉄道の開業当時から、ボランティアの方々の手によって少しずつ、沿線に桜が植えられていきました。 細く頼りなげに見えた桜の苗木は、今では見違えるように成長し、大きく枝を伸ばしています。
 さっきから、ウグイスたちの鳴き声がとてもにぎやかです。 それにまざって、突然、キジのかん高い声が響きました。 振り向くと、20mほど離れた草むらに2羽のキジが居るではないですか!  こうなると、のんきに鉄道の写真なんて撮ってる場合じゃありません ( 笑 )。 初めて見る光景に戸惑い、カメラもブレぎみです。



 「 こないだ、○○ちゃん家の畑に、イノシシが出てね、だいぶ荒らされてたいねー 」。
 農作業の手を休めて、おじいちゃんが話しかけてきました。 聞けば、以前、国鉄に勤めていて、この足尾線で保線の仕事をしていたと言います。
 「 最近は畑を耕す人が居なくなったから、昼間でもイノシシが出るんだよ 」。
 そう言われてみると、誰も耕さなくなった畑に、イノシシが土を掘り返した跡があちこちにありました。



 カメラをビデオカメラに持ち替えて一年半。 今まで気付かなかった ( 関心を持たなかった ) ものが、気に留まるようになりました。 川のせせらぎ、小鳥のさえずり、風の音など、周囲のあらゆるものに目が向く様になると、自然にシャッターチャンスも増えていきました。 サルやタヌキや鹿、サギのエサの捕獲。 渡り鳥の姿など。
 風景との出会い、人との出会い、気象現象との出会い、動物との出会いなど。 じっとしていたら何も始まらない。 動けば動くほど、いろいろなものに出会えるのだと、今さらにして思うのでした。。。

 < 今回使用した写真はすべて、ビデオカメラで動画として撮影し、静止画として切り出したものです >


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プライド という名の 罪

2008-01-06 00:00:00 | 伝えたいもの
 プライド という言葉を 自尊心 と訳す人が多いようですが、本来の意味は ごう慢 。 「 人を蹴落としてでも、自分だけがいい思いをすればいい 」 という意味です。

 企業を永く繁栄させるための鉄則は 2つあると思います。 勿論 ほかに、人とか技術が あるわけですが・・・。
  ・ 「 足るを知る 」
  ・ 「 共存 共栄 」

 「 足るを知る 」 とは・・・ ある所に池があったとします。 その池には たくさんの魚が棲んでいました。 その池の魚を獲って生活する漁師がいました。 漁師は 1日に10匹の魚を獲れば、1日 生活する事ができました。 ある日、漁師は 20匹の魚を獲りました。 ふだんの二倍の利益を得ることができました。 次の日、漁師は 50匹の魚を獲りました。 ふだんの五倍の利益を得ることができました。 1年後、その池には 1匹の魚もいなくなりました。 漁師は仕事を失ってしまいました。 そして、その漁師が獲った魚を食べて生活していた人々は、困ってしまいました。 たった一人の欲張り者のために、多くの人が 迷惑を受けてしまったのです。

 「 共存 共栄 」 とは・・・ かつて、「 餅は 餅屋 」 という言葉がありました。 同業他社の中でも、それぞれ得意分野が分かれていました。 「 この仕事はウチよりも A社の方が得意だから、A社に任せよう 」 と、同業者同士で仕事を回し合っていた時代があります。 ところが、「 我が社に任せてくれれば、どんな仕事でも出来ますよ! 」 と言い出す会社が一社でも出現すると、その業界は つぶし合いの、下等競争に陥っていくのです。

 「 自由競争社会 」 と言えども、それなりの 「 節度 」 というものがありました。 それが失われたのは、20年ほど前と 私は判断しています。 パソコンが普及し出した頃です。
 計算ソフトによって 経理の管理が容易に出来るようになりました。 A社とB社の仕入れ価格が 簡単に比較できる様になったのです。 そのパソコンの画面には、「 A社は価格は安いが 不良品が多い 」 とか、「 B社は仕事が丁寧で、納期を守る 」 とか、 「 C社は価格は高いが 急ぎの仕事を任せられる 」 といった項目までは 表示されません。 ただ単に、「 どっちが安いか 」。 それだけの判断基準 で、1円でも安い金額を示した社会に、仕事が流れるようになっていったのです。

 「 金もうけして 何が悪い? 」 「 よその会社がつぶれ、その家庭が崩壊してしまおうが、そんなもん 知るか!「 競争に負けるヤツが悪いんだ! 」。 以前、そんなセリフをテレビで言って、本まで出した人が 何人かいます。 金もうけして 有名になることが、その人の生きがいなのでしょう。 心の冷え切った人が 企業のトップに立つと、社会が不幸になります。

 「 足るを知る 」 「 共存 共栄 」 といった言葉を忘れ、際限なく利益を追求したがる、やたらと プライド の高い人 が、企業のトップに立ってしまうと、その業界だけではなく、社会全体に 大きな迷惑をかけてしまう ものなのです。



            なーんてね。 ちょっと 偉そーな事を言ってみたい 年頃なのです。 ただ それだけです。。。

          < 文中に 不適切な表現がありました事を お詫び致します >




 ある ダンスパーティに 居合わせたときの写真です。 ふわふわたまごのような、ゆばのような、やわらかなドレスをまとった 優雅な舞に、300人ほどの観衆が魅了されていました。 世の中は 銭カネでは無いんですね。 心から感動できるもの。 そして、その心を 大切にしたいです。。。



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「 楽しい 」 と 「 楽 」

2008-01-05 00:18:40 | 伝えたいもの
 「 楽 」 という字と 「 楽しい 」 という字は、同じ 「 楽 」 と書きますが、人生の分岐点に立ったとき、「 楽 」 な方ではなく、「 楽しい 」 と思える方を選んでください。  ( 太川 陽介 )

 この言葉は、ある ラジオ番組でパーソナリティをしていた氏が、最終回の放送のときに 若いリスナーに向けて発した台詞です。

 物ごとの判断基準が、「 損か 得か 」 「 どっちが楽か 」 という物差しでしか 評価できない時代になっている。 そんな時代だからこそ、「 楽しい 」 と思える方を選んでほしいものです。 それは何も、人に言っているというよりも、自分自身に伝えなければいけないのかも知れませんが。。。



 「 暈 ( かさ ) 」 とも 「 幻日 ( げんじつ ) 」 ともとれる 虹が、朝日の方向に出ていました ( 画面 左側 ) 。 本来 虹は、太陽を背にした方向にしか現れないのですが、虹のかけらが 思わぬ方向に出ていました。
 「 風景を楽しもう 」 と思うと、暈 ( かさ ) とか 幻日 ( げんじつ ) とか、虹とかのメカニズムを勉強しなければなりません。 勉強なんて言うと きゅうくつになりますが、楽しい事なので、私でも すぐ 覚えてしまいます。。。


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「 楽しむ 」 とは・・・

2008-01-04 01:40:10 | 伝えたいもの

      「 楽しむ 」 とは、本気で取り組む という事なのです。  ( 荒川静香 )

 この言葉は、昨年 使っていた手帳の 1ページ目に書いておいた言葉です。 昨年の初め、少々 気合を入れないとできない仕事がありました。 「 仕事だから しょうがない 」 とか、いやいや やっていたのでは進まない作業でした。
 ところが、本気で取り組もうとすると、変な気の迷いが無くなって、逆に 気分が楽になっていました。
 一つの事にのめり込む充実感、心地良さ を感じることが出来たのです。

 今年の手帳の1ページ目には、何を書こうか まだ決めていませんが、行動力だけは、大切にしようかと。 ・・・ってか、まだ 手帳 買ってないし・・・。 それじゃ 駄目じゃん! 



 軽井沢の駅前にある、矢ヶ崎公園の イルミネーションです。

 上の写真は、ストロボを使って写したもの。 下の写真は、ストロボを使わずに写したものです。 三脚を使っていないので 少々 ブレていますが、同じものを写したとは思えないくらい、印象が違うものですね。
 雪に埋もれかけたイルミネーションが ほのかに灯っていて、素敵でしたー。。。



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フォトエッセイ 第11話②

2007-11-20 21:36:03 | 伝えたいもの
          星まつりの夜


 < 史上最大級の ヘールボップ彗星。 晴れた日は、残業もしないで 撮影ポイントに直行です。 ヘールボップ彗星が見えていた頃、連日の晴天でした >

 ある冬の夜、いつものように 星空にカメラを向けていると、一台の乗用車が 通りかかりました。 軽く会釈を交わすと、「 この先にログハウスがあるから、暖まっていきなよ。 コーヒーくらいご馳走するよ 」。
そう言って、去っていきました。
 山あいの畑の奥に そのような建物があるとは 想像もできませんでしたが、撮影を一段落させて、出掛けてみました。 建物には、世代に何の脈絡も感じさせない数人が つどっています。
 「 この辺は何も楽しむ所が無いからね、せめて週末くらいは、日常から離れて ここで過ごしてるんだよ 」。
 見よう見まねで作ったという本格的なログハウス。 水道はあるけど、電気は無い。 そのかわり、ランプの明かりが 雰囲気たっぷりです。
 コーヒーを戴いて、ストーブで暖まって、おしゃべりに耳を傾けて、ゆったりとした時間が 流れていきました。

 帰り道、私は星を見上げながら、ふと 「 こういう楽しみ方、こういう生き方も アリなんだなー 」 と、改めて 感じさせられました。 そして、彼らの心の豊かさに、ちょっぴり羨ましく思ったりして。
 なんだかさっきより、星のきらめきが 強くなったように感じるのは、気のせいでしょうか。
 いつしか頭上には、しし座が高く駆け昇り、やがて新しい朝が 訪れようとしています。
 平凡な日常が、にわかに ざわめき立つ想いでした。


 < しし座流星群。 露出時間1分半。 この中に、少なくとも 7つの流れ星が見えています。 願い事が いくらでも叶えられそうな、星まつりの夜 >


          < 写真 および本文の 無断転載を 堅くお断りいたします >



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フォトエッセイ 第11話①

2007-11-19 22:17:04 | 伝えたいもの
          星まつりの夜

 西の空には 夕焼けのカケラが残り、上空に、人工衛星の光が 2つ見えています。
 地上はすでに夜になっていますが、人工衛星の飛ぶ軌道には、まだ、太陽の光が届いているのでしょう。 機体に反射した光は 小さな星になって、ゆっくりゆっくり、頭の上を通り過ぎていきます。


 < 大黒岩のすぐ上に木星。 スバルの右には、土星が見えています。 1分間の長時間露出。 低空には、飛行機の光跡が写り込みました >

 軽井沢インターにほど近い、旧松井田町の下平 ( しもだいら ) 地区。  
 ペルセウス座流星群 ( 8月12日 ) や、しし座流星群 ( 11月18日前後 )、ふたご座流星群 ( 12月23日前後 )、そして 月食など、夜空のイベントのたびに、私はここを訪れています。
 あるとき私は、夕暮れ時の下平地区にいました。 東側の小高い丘に、優雅なシルエットを見せる大黒岩。 その背後には、おうし座のスバルと土星が 姿を見せています。 夕闇がせまるにつれ 星々は輝きを増し、気が付けば頭上を、はくちょう座が 高く舞い飛んでいました。
 山の斜面に沿って 大きな星が顔を出して、すぐに木星と分かりました。 星空のガイドブック 「 天文年鑑 」 ( 誠文堂新光社刊 ) に、丁寧に紹介されているので参考になります。
 おうし座に 木星と土星が入り込み、ゴージャスな天体ショーの開幕です。 オリオン座やシリウス、しし座など、大黒岩の空には次々と、冬の星座が昇っていきます。 名立たる星たちは、澄んだ冬の夜空を 一晩中いろどり続けるのです。


 < 高岩と北極星。 星の名前も知らなかった頃、夜空を見上げ、どれが北極星だかも判らずに写した写真。
 道路地図と方位磁石を持って、真夜中の集落を歩きまわっていたのを、今でも覚えています >



          < 写真 および本文の 無断転載を 堅くお断りいたします >


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フォトエッセイ 第十話 ③

2007-10-28 19:10:23 | 伝えたいもの
                 西上州 ・ 立岩 ( たついわ ) 紙上ハイキング


 ⑧ 山頂の北側より   

 ひっそりとした 西上州の山歩きも、シーズンによっては 人出の多い時もある。

山頂よりもこちらの方が、のんびりと お弁当を広げることができる。

 私はこの場所を、勝手に 「 観月楼 」 などと呼んでいる。





 ⑨ 『 秋色の風景 』 ( 立岩山頂 より )

 秋の日の午後、日だまりの丘を 無口な風が 通り過ぎていく。 落ち葉たちは 乾いた

音をたてて、足元を 転げまわる。

 ふわりと舞い上がる木の葉。 秋のやさしい日差しは、それらを アメ色に輝かせた。

 見上げれば 空は どこまでも高く、さわやかな青空が 広がっていた。



 ⑩ 山頂の南側より  

 立岩山頂を見上げる。 南面登山道は ここから30分、長い階段を 下ることになる。



 < 写真 および本文の 無断転載を 堅くお断りいたします >


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フォトエッセイ 第十話 ②

2007-10-27 01:17:01 | 伝えたいもの
                 西上州 ・ 立岩 ( たついわ ) 紙上ハイキング




 ⑥ 北面登山道 より 立岩を望む

 朝モヤの流れる尾根を歩いて行くと、北に 毛無岩。 南に 立岩山頂が現れた。
 




 ⑦ 『 秋天的情景 』 ( 立岩北面登山道 より )

 日の光が木の葉を透かし、天井から黄緑色の光が差してくるのが、まるで教会のステンドグラスのような、

吹き抜けになった美術館の広場のような、開放感のある空気に包まれる。

 山水画のモチーフになるのは、中国の 「 黄山 ( こうざん )」 と 「 桂林 ( けいりん )」 の風景。

 西上州の山々は、中国 ・ 黄山の風景に良く似ている。




 < 写真 および本文の 無断転載を 堅くお断りいたします >

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