ふせちゃんのブログ

布施隆宏 公式ブログ。 鉄道写真 風景写真 ジオラマ制作など 趣味の世界を紹介します。

けん引力測定

2018-08-09 22:09:01 | 鉄道模型 車両改造など
Nゲージ鉄道模型の 機関車の牽引力を測定しました。

 やってみないと分からない 意外な発見もありましたので、考察にまとめてみました。

『 牽引力    奥が深いです。




 ばねハカリを横置きし、フックを引いて 重量を読み取る方式にしました。 ここに表れてくる数値がどれだけ信頼性があるかは不明ですが、目安 としては有効です。
 身近にある物で測定するには、この方法がベストと考えます。




 使用したのは ( 株 ) 三光精衡所 製の 100g手秤 です。 金属製のフックが重いので、外して使います。




 ハカリの本体を水平に設置。 ばねとフックの重量を支えるため、レールと台車に載せました。
 ばねとフックの重量分を 0gに補正するので、補正つまみをいっぱいに回します。 それでも足りず、ばねを更に緩め、かろうじて本体とつながっている程度になっています。 許容範囲外の使い方なので、メーカーの人に知られたら 怒られそうです。
 2~300g用の秤が入手できれていれば、問題なかったのかも知れません。
 最初、500g用の秤を使ったら、針の動きが小さくて使えませんでした。 つまり、これが 2号器 です・・・。




 リード線で作った連結棒で フックと車両をつなぎました。




 測定するのは 水平状態2%勾配4%勾配 の3点です。
 市販の線路と橋脚を使って坂道を作った場合、4%程度の勾配になります。




 連結棒として使ったリード線の線径が太かったため、小さなナックルカプラーでは 着かない車両がありました。 アーノルドカプラー付きの貨車を挟んで計測しても、牽引力の数値に変動が無い事を確認しておきます。




 注記の EF58上越型ブルー の動輪の軸配置は C-C ですが、その内の2軸は遊輪なので B-1-1-B と表示しました。

 車両によって牽引力に大きな差があるのが分かります。
 EF65レインボーEF66 は自重も全長もほぼ同規模ですが、牽引力が2倍も違います。 その原因は トラクションタイヤ の位置にあります。
 下図で説明していきます。




 注記の DE10 の実車の軸配置は B-A-A-A ですが、模型では B-C になっています。 さらに、この内の1軸が遊輪なので B-1-B と表示しました。

 SD70ACe はアメリカ型のディーゼル機関車です。 多重連での運転を想定している為か、トラクションタイヤは着いていません。 そのため牽引力は極めて低いです。

 今回の試験で使用した車両は ここ数年の内に入手したものばかりです。 ですが、トラクションタイヤの劣化などにより、本来の実力を再現できなかった車両もあったかと思います。 ご了承ください。




 EF65EF66EF210 は共に 中間台車を持ったF級電機です。 自重も 90g程度で共通しています。 なのに、牽引力に大きな差が生じました。
 EF64-1000EF81 も同様です。

 表中で赤塗りした車両のトラクションタイヤは 車両の外側に装着されています。 そして、青塗りした車両のトラクションタイヤは内側にありました。

 トラクションタイヤの位置によって、牽引力が違うことが解ります。
 トラクションタイヤを増やすと 集電用の車輪が少なくなってしまいます。 中間台車が無集電なので 増やすことが出来ません。




トラクションタイヤが台車の外側に着いている場合 :
 一番後ろの動輪がトラクションタイヤのとき、グリップ力が高いです。 ただし、負荷が高くなると 台車がウイリーしようとします。 それを自重が押さえ付け、牽引力が生まれます。
 トラクションタイヤは左右にあるわけでは無いので、台車が横に向き、脱線しそうになります。





トラクションタイヤが台車の内側に着いている場合 :
 トラクションタイヤの位置が悪く、スリップします。 自重の軽い車両なら なおさらです。




 EF15EF57EF58EF62 は3軸台車です。 EF15EF57 は自重が少ないので、12輪すべてが駆動輪です。 トラクションタイヤは4輪もありますが、集電用の車輪は8個もあり、集電に問題ありません。

 トラクションタイヤが左右にあるので、台車は横に振れにくいです。
 また、3軸台車は浮き上がりしにくく、自重の軽い車両には理想的と言えます。




 EH500 は 1端側の車両にトラクションタイヤがあります。 2端側を前にすると 牽引力が上がります。
 負荷がかかると台車が横に振れ、浮き上がってきます。 牽引力の測定は 脱線するギリギリの状態で値を読んでいます。
 圧倒的な牽引力を誇りますが、過度な負荷は トラクションタイヤの破損につながります。

 DE10 はトラクションタイヤが微妙な位置にあり、自重も少ないので、牽引力に期待はできません。 ただ、数量の貨車や客車を牽くだけであれば、問題ないと思います。


 今回の実験で、トラクションタイヤの位置と自重が、牽引力に大きく影響することが分かりました。
 魚釣りで使う鉛板を天井に詰め込んで、重量を増やすのも有効な手立てです。
 過度な負荷を与えることは、硬質プラスチックのギアを破損させたり、モーターが焼けたりの原因になります。
 なので、トラクションタイヤが外れたり、ちぎれたりするのは、重大な損傷から保護しているとも考えられます。


 車両の取り扱いや改造等の参考にして頂ければと思います。。。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする