「大誘拐 RAINBOW KIDS」、ともかく面白かった、岡本喜八監督で未見だったので万難を排して映画館へ。
この映画は1991年制作だから多分監督晩年の作品だと思うが、昔ながらの映画俳優達が総出で筋立て良し顔ぶれ良し終わり良しで、この監督の名人芸みたいなのが満載の作品。
〔内容〕
ある若い男が出所する、迎えた二人と示し合わせて大富豪の老女の誘拐をたくらむ、身代金は5000万円。そして見事に誘拐に成功する。
その誘拐の報に警察が大動員を掛けて、指揮を執るのはその老女を生涯最大の恩人と慕う凄腕の警部、仰々しい捜査陣vs間抜けな三人組+誘拐された老女との対峙が続く。
そして老女は次第に三人を手玉に取り、自ら事件のシナリオを描く様になってゆく、、、、、、、
この映画の一番の見どころは仰々しい捜査陣と間抜けな三人組の対比、それが時々刻々と描かれていて、最後にはあっと驚く様などんでん返しも用意されている。
また登場人物も全員が善人で、今でも誰が見ても楽しめる内容となっているし、少しだけ社会を皮肉ってもいる。
この監督は自身が戦争を経験しているから老女を通してさりげなく戦争風刺の香りを出している、それもかなり上品に。
”RAIBOW KIDS”の副題は犯人たちのニックネームが『虹の童子』、これを外国特派員が本国に出稿する時に訳した名称、ここら辺もなかなか粋。
「日本の一番ながい日」でその魅力に取りつかれたこの監督は、これからも是非追っかけようかと。