ある人に「最近聖書の話を読んでいる」といったらよく勧誘に来るキリスト系宗派と間違えられて、「深みにはまるなよ」とアドバイスを頂いた。
で、読んでいたのは「旧約聖書を知ってますか」(阿刀田高)、軽妙なエッセイで、一応イスラエルの歴史が良く分かる。 因みに私は無心論者でキリスト教の神(=ユダヤ教の神)は好きだけどもインチキ臭いと思っている。
天地創造をした全知全能の神は、1000年も経ずにノアの洪水を起こしたり、2000年後にエジプトで疫病をはやらせたり、紅海を割ったり、さらに1000年後には救世主をはらませたり、時代が下がるに従って奇跡のスケールがせこくなっている。最初は子供みたいに失敗したから「ガラガラポン=ノアの洪水」、その後はバベルの塔を壊したり、イスラエル人を選択的にいじめたりとか。
それでも世界中で最も多い人々が信じているので一応の敬意を払わないと罰があたりそう。
旧約聖書関連の映画と言えば、「天地創造」「十戒」「サムソンとデリラ」、いずれもスペクタクル映画で面白い。
映画の題材としては、特撮の見せ所で、昔はそれだけでも集客できた。
さて前述のエッセイは10年前に読んでもう一回読み返したんだがともかく面白い。
アブラハムのエピソードから書き起こして「出エジプト記」、そして「創世記」を概説して、数人の預言者の話を紹介して終わる、ダイジェストとしても分かりやすい。このエッセイでの一番のお気に入りは「ヨブ記」の下りで、これを演劇に例えて、神(森繫久弥)と悪魔(細川俊之)で説明するところ。
話は、経済的にも家庭にも社会的地位にも人望にも恵まれその上信心深い男”ヨブ”に神が試練を与えて、試すと言う話。
悪魔が神にささやく「神様、ヨブがこれだけ恵まれていれば神を敬うのはあたり前、一度奈落の底に落としてはどうでしょうか?」「そうかのう、ま、じゃやってみっか」とあまりのも軽い神の御技でヨブは財産失う、家族は全員死亡、自身の体もできものだらけの病気になってしまう。それでも神を信じ続けたと言う自虐的な話。
旧約聖書全編を通して言えることは、自分以外はたとえ彫刻でも信じるなというやきもち焼きの全知全能の神(名はヤハウェイ)と、たまに浮気をして他の神様を信じるイスラエルの人々の係わり合いの話。
因みに吉村作治先生はその著作で、神に選ばれたので無く、神を選んだ民がイスラエル人と言っていた。確かに世界をみれば圧倒的に多神教が多い。
そういえば「出エジプト記」の様な大きな出来事にもかかわらず周辺の歴史書(エジプトや中東)に記載が無いそうで、このことからイスラエルの神学者が「事実無根」とばんざいをした言う記事を見た記憶がある。
長いこと「ラムセス二世」の時代と信じられてきた様であるが。
今日は県立「三池公園」に行った。韓国庭園まであってただで拝観できる。