久々に1974年制作の「オリエント急行殺人事件」を見た、何しろこの当時の往年のスターが揃っている映画で、聴衆は物語の筋を先刻承知ながら結構楽しめてしまう。
こういう映画は「忠臣蔵」型で、筋なんかどうでも良くてどんな役者がどんな役を演じるのかという芝居を観る楽しみみたいなもの。
もちろん初めてこの物語に接した時には大どんでん返しを多いに楽しんだものだったが。
〔内容〕
1935年。イスタンブールからパリ経由でカレーに向かう大陸横断国際列車オリエント急行には様々な乗客が乗っていたが、その中には名探偵エルキュール・ポワロの姿もあった。
二日目の深夜、折りからの雪で線路が埋まり列車が立往生している中、ポワロの隣の客室にいたアメリカ人富豪ラチェットが身体中を刃物で刺されて死んでいるのが発見される。鉄道会社からの依頼で事件の究明に乗り出したポワロは、一等寝台の車掌と十二人の乗客たちの尋問を開始するのだが…。
さてこの映画の監督は”シドニー・ルメット”、あの名作「十二人の怒れる男」を撮った人。
この映画でもショーン・コネリーの台詞で「12人の陪審員にゆだねるべき」と言うのがありそれがポアロをしてトリックに気が付いたことにしている。
これはルメット監督が聴衆に自作品への連想をさせた物なのかなどとエンドロールの時に思いついた。
2018年1月には新作を観に映画館に足を運んでいる、アンゼンパイを掴む様な思いだったかもしれない。
なおこの物語では悪役は必ず名優が演じている、1973年版では”リチャード・ウィドマーク”、2017 年版では”ジョニー・デップ”等々、まさしく西洋の吉良上野介。
実はTVシリーズ「名探偵ポアロ」も大ファンで毎週欠かさず録画して観ていた。
これはあの熊倉一雄が吹替えをやってることもあり、時代を感じるなつかしさが半分位はある。
初期シリーズのミス・レモン、へースティング大尉、ジャッブ警視の脇役陣のでる45分物が軽くて良かったが、90分シリーズになってからは本格的な推理劇でちょっと重い。そして30年前に放映されてた時にはほとんど無視してたもんだったが。