「コレクター 暴かれたナチスの真実」、これもまたマイナーながら面白い映画だった。
ジャーナリストがナチスの犯罪を暴いて行くというパターンの物語は結構沢山あって、どれもがそこそこの傑作、この映画もその中の一つとして相応しい内容。
オランダの映画でオランダとポーランドが舞台、1970年代のオランダと第二次大戦中のナチス支配とソ連支配の複雑なポーランド(回想)を舞台に戦犯告発の捜査と裁判が見事に描かれている。
いつも洋画と言えばハリウッド製、イギリス製、フランス製、イタリア製としかお目に掛かれないが、欧州でもドイツとかオーストリアとかこのオランダの様に地味ながら面白いのが存在する。
(”地味”という表現はだいたい上記以外の製作国で使っている=個人の主観)
〔内容〕
1976年、アムステルダムの記者ハンス・クノープのもとに、彼の人生を大きく変える一本のタレコミ電話が入る。
電話の主が告げた驚きの内容は、億万長者のアート・コレクター、ピーター・メンテンは第二次世界大戦中ナチに肩入れをしており多くのユダヤ人を虐殺した、というものだった。
はじめは半信半疑のハンスだったが、当時の証人たちを探し出して取材を進めるにつれ確信を抱き、次第にメンテンを追い詰めていく。
戦後約30年、巨大な富と名声を手に入れ、「自分は多くのユダヤ人たちを救った」と語るメンテン。温厚そうなこの白髪の男がはたして、残忍な大虐殺を行ったその人物なのかー。
この大富豪が自分の無実を塗り固めるためにあらゆる手段を使うのだが、”お金”で無実が贖えるという実態も暴いていて、ここら辺も見どころ。
そしてナチスの残党物では「顔のないヒトラーたち」「オデッサ・ファイル」「アイヒマン・ショー」「マラソンマン」「将軍たちの夜」「ブラジルから来た少年」等々アクションから地味な捜査物までいろいろと存在していてどれもが面白くて好きだ。
それにしても一介のジャーナリストが国の権力側にいる大物を追い詰めてゆく様は結構痛快、これが現代の我が国でも起きればと節に願う。
映画『コレクター ―暴かれたナチスの真実―』予告編
あちらはワイラーの古典的名作でリメークされてまいたか。
こちらは絵画回収家がナチ戦犯だったという話です。