「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

冤罪主張 苦悩の遺族 -- かえらぬ命 (9)

2009年05月02日 21時46分36秒 | 死刑制度と癒し
 
 高橋和利死刑囚 (74) は、 法廷で一貫して 無実を訴えています。

 老いた妻が テレビに出演し、 「夫を信じている」 と話していました。

 それを見て、 高松節子さん (61) の心は揺れました。

「 刑が執行されれば、 私の悲しい気持ちは 変わるんだろうか。

 逆に、 事件に何の責任もない あの奥さんは、

 すごく苦しむんじゃないか…… 」

 節子さんの 父・ユン=インヒョンさんと 母・小林ハツさんは、

 事務所で 遺体となって発見されました。

 バールのような凶器で めった打ちにされ、

 1200万円が 盗まれていました。

 高橋死刑囚は事件当日、 事務所から 1200万円を持ち去り、

 別の借金を返済していました。

 警察で 殺害を自供しましたが、 物証や目撃者はありません。

 公判では転じて 無罪を主張。

「 事務所に入ったとき、 二人は すでに殺されていた。

 その場にあった 札束を欲しくなり、 取って逃げた。

 自白は強要された 」

 節子さんは、 冤罪ではないかと疑ったことは 一度もありません。

 ただ、 犯行を否認したままの 死刑囚を憎もうとして、

 憎みきれない思いも残ります。

 死刑を望んだ気持ちが 薄れつつあるようにも感じます。

「 両親、 中でも父は 凶悪犯罪を絶対に 許さない人でした。

 遺族である私が ためらいを見せるのは、 やはり社会にとってよくない。

 『 悪いことをしたら 報いを受ける 』

 というルールは きちんと守ってほしい。

 そう求めることが 遺族の責任だと思っています 」

〔読売新聞より〕
 
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