「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

マグマ溜め込み、 爆発 -- 殺意の矛先 (4)

2009年05月13日 15時06分13秒 | 凶悪犯罪と心の問題
 
(前の記事からの続き)

 突発的に見える 一連の凶行の背後には、

 日頃から心の中に 溜め込んでしまったマグマが、

 ひょんなきっかけで爆発する、 そんな歪んだ心理が あるようです。

 写真館を営む男性を 殴り殺した少年は、

 異性関係で 自分を悩ます母親に、 鬱屈した思いを 溜め込んでいました。

 教師に注意されたのが 引き金になり、

 「 誰かを殴りたい 」と 爆発しました。

 自分は 大切にされていない存在だと、 思い続けていたのです。

 北海道で女性を刺殺した 佐藤受刑者は、

 職場のいじめを 法廷で強調しました。

 要領が悪く 無口な佐藤受刑者は いつも現場の3人に怒鳴られ、

 「 我慢して我慢して、 殺したいほど憎くなった 」と言います。

 しかし 直接3人に 対するのは恐く、 弱い女性に 矛先が向かいました。

 無関係の人を 標的にするのは、 どの事件にも共通しています。

 秋葉原事件の加藤容疑者は、 更衣室に 自分の更衣室がなかったことでキレ、

 職場や家族, 社会に対する 積年の怨みを 爆発させたのです。


 「誰でもよかった」 「むしゃくしゃしていた」

 人間関係が希薄になっている 世の中で、 孤立感を深める人が 増えています。

 日常生活で トラブルがあっても、

 相談する人さえいれば 犯行を思い止まることもできるでしょう。

 また、 不況下では 明るい未来像を抱きにくく、

 自暴自棄気に なりやすいかもしれません。

 少しでも安定した 社会が望まれます。

 そして、 刃物を向ける 相手の痛みに 想像力が及ぶような、

 命の大切さに対する 思いを育む 教育も必要でしょう。

 凶行が 次の事件の 引き金になる連鎖を、

 何としても 断ち切らなくてはなりません。

〔朝日新聞より〕
 
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