JR下関駅に レンタカーで突っ込み、
刃物で無差別殺傷事件を起こした 上部 (うわべ) 康昭被告 (44)。
周りの人から拒絶されたり 悪口を言われたりしていると、
妄想様観念にとらわれていました。
直接嫌がらせをされたと 思う人ではなく、
何故 相手は “誰でもよかった” のか?
「 人類に対する 恨みつらみが募っていた 」
上部被告は 鑑定医にそう答えました。
周囲に 希薄な人間関係しかないと、 気持ちが爆発したとき、
そのぶつけ先が 「社会」 や 「不特定の相手」 になるのは、
ひとつの必然です。
( その情動は僕自身も 体験したことがあるわけです。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/56791340.html )
周囲との関係が 築けないケースには、
何らかの障害が 絡む例が少なくありません。
上部被告も、 「極端な考え方や行動で 社会的に適応できない 人格の障害」
などと指摘されました。
先天的な脳の障害と 診断されるケースもあります。
記憶力, 抽象能力など 10項目を調べると、
普通の人は どの項目も 似たようなレベルになります。
05年、大阪の公園で 男児の頭を ハンマーで殴打した少年(17才)は、
ある項目は20才レベル, 別の項目は 3才レベルであり、
大きな山と谷が できました。
しかし、 障害自体が凶行に 繋がるわけではありません。
他者の感情を 読むのが苦手で 人間関係を作れず、
集団生活が苦手な人もいます。
それが障害だとしても、 周りが理解し、
支えてくれる人や 希望があれば、 問題にはなりません。
上記17才の少年の 弁護士もこう言います。
「 障害を知らなければ、 “わけの分からない奴の犯行” になってしまう。
障害を理解して、 ある程度、 少年の思考プロセスが分かった 」
ただ、 「病気だから」 で片づけるのは危うい、 とも危惧しています。
ある人の障害が分かったら、 その人が不適応を起こさないために
周囲は何をできるのか、 それを考える必要があるでしょう。
〔朝日新聞より〕
(次の記事に続く)