「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自ら望む執行 反省なく (その1) -- かえらぬ命 (11)

2009年05月04日 10時22分02秒 | 死刑制度と癒し
 
< 今回の事件について 反省しているかと言えば、 答はNOです。

 後悔しているかと言えば、 その答もNOです >

 山地悠紀夫 (ゆきお) 死刑囚の供述調書には そんな言葉が並んでいます。

 2005年、 山地死刑囚は マンションに押し入り、

 上原明日香さん (当時27才),

 妹の千妃路 (ちひろ) さん (同19才) に 性的暴行を加え、

 ナイフで胸などを刺し 殺害したうえ、 部屋に火を放ちました。

 公判では、

「 当然、 死刑になると思います 」

「 死に対する恐怖はない 」

 などと、 表情を変えずに 語りました。

 明日香さん, 千妃路さんの父・ 和男さんは、

 意見陳述で 涙声を振り絞りました。

「 ナイフを刺される恐さ、 痛さ、

 意識がなくなっていくつらさを 分かってほしい 」

 しかし、 何を言っても 被告には届かない とも感じていました。

 山地の弁護士は、 こう考えます。

「 生きることに執着がなく、 他人の命にも 思いが至らない。

 心底反省するのは 無理だろう 」

 死刑判決が言い渡され、 弁護士は控訴しましたが、

 山地死刑囚は 自らそれを取り下げました。



 05年、 ネットの自殺サイトを使って 3人の男女を誘い出し、

 口や鼻をふさいで 窒息死させた 前上 (まえうえ) 博死刑囚。

 人が窒息するときの 表情を見て、 性的快感を得ようとした 犯行でした。

「 社会に戻っても、 再び人を襲うのではないかという 不安を抱えている 」

 自らそう明かし、 死刑判決を受けて 弁護士が控訴しても、

 それを取り下げました。

 被害者の母は、 次のように感じ始めています。

「 彼の場合、 死刑になることは 現実からの逃げでしかない。

 遺族だけが 苦しみを抱えて 生きていくことになる。

 死へ逃避するくらいなら、

 一生 悔やんでもらった方が いいのかもしれない 」

(次の記事に続く)
 
コメント
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