< 今回の事件について 反省しているかと言えば、 答はNOです。
後悔しているかと言えば、 その答もNOです >
山地悠紀夫 (ゆきお) 死刑囚の供述調書には そんな言葉が並んでいます。
2005年、 山地死刑囚は マンションに押し入り、
上原明日香さん (当時27才),
妹の千妃路 (ちひろ) さん (同19才) に 性的暴行を加え、
ナイフで胸などを刺し 殺害したうえ、 部屋に火を放ちました。
公判では、
「 当然、 死刑になると思います 」
「 死に対する恐怖はない 」
などと、 表情を変えずに 語りました。
明日香さん, 千妃路さんの父・ 和男さんは、
意見陳述で 涙声を振り絞りました。
「 ナイフを刺される恐さ、 痛さ、
意識がなくなっていくつらさを 分かってほしい 」
しかし、 何を言っても 被告には届かない とも感じていました。
山地の弁護士は、 こう考えます。
「 生きることに執着がなく、 他人の命にも 思いが至らない。
心底反省するのは 無理だろう 」
死刑判決が言い渡され、 弁護士は控訴しましたが、
山地死刑囚は 自らそれを取り下げました。
05年、 ネットの自殺サイトを使って 3人の男女を誘い出し、
口や鼻をふさいで 窒息死させた 前上 (まえうえ) 博死刑囚。
人が窒息するときの 表情を見て、 性的快感を得ようとした 犯行でした。
「 社会に戻っても、 再び人を襲うのではないかという 不安を抱えている 」
自らそう明かし、 死刑判決を受けて 弁護士が控訴しても、
それを取り下げました。
被害者の母は、 次のように感じ始めています。
「 彼の場合、 死刑になることは 現実からの逃げでしかない。
遺族だけが 苦しみを抱えて 生きていくことになる。
死へ逃避するくらいなら、
一生 悔やんでもらった方が いいのかもしれない 」
(次の記事に続く)