拘置所にいる 一人息子の死刑囚に、 80才代の両親は、
2ヶ月に一度 3万円を送り続けます。
わずかな年金収入を 切り詰めて工面しています。
事件後、 父は 検察官に訴えました。
「 すぐにでも死刑にして、 殺してください 」
謝っても 謝りきれないことをした。
「 生かしてほしいとは 絶対に言えない 」
今も そう思っています。
「 毎日毎日、 自分たちの体は 弱っていく。
こっちが死ぬのが先か、 息子が執行されるのが先か 」
別の死刑囚の母は 70才を超えても、
毎月1回 2時間かけて 拘置所に足を運びます。
息子が起こした事件で いかに多くの人が 苦しんだか、
痛いほど分かります。
本心は 再審請求をしてでも、 生き延びてほしい。
でも そんなことを願う自分は ずるい、 とも感じます。
< 食べるものも 着るものもあるところで、 あなたが今、
生かしてもらっていることに、 私は感謝しています。 >
先日、 息子に そんな手紙を書きました。
息子にとっても 死刑はつらいと思う。
でも、 それが起こした事件の 責任を取ることなのだ。
母は自分に そう言い聞かせています。
〔読売新聞より〕