「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

謝罪への一歩 老親に重く -- かえらぬ命 (8)

2009年05月01日 08時51分29秒 | 死刑制度と癒し
 
 拘置所にいる 一人息子の死刑囚に、 80才代の両親は、

 2ヶ月に一度 3万円を送り続けます。

 わずかな年金収入を 切り詰めて工面しています。

 事件後、 父は 検察官に訴えました。

「 すぐにでも死刑にして、 殺してください 」

 謝っても 謝りきれないことをした。

「 生かしてほしいとは 絶対に言えない 」

 今も そう思っています。

「 毎日毎日、 自分たちの体は 弱っていく。

 こっちが死ぬのが先か、 息子が執行されるのが先か 」


 別の死刑囚の母は 70才を超えても、

 毎月1回 2時間かけて 拘置所に足を運びます。

 息子が起こした事件で いかに多くの人が 苦しんだか、

 痛いほど分かります。

 本心は 再審請求をしてでも、 生き延びてほしい。

 でも そんなことを願う自分は ずるい、 とも感じます。

< 食べるものも 着るものもあるところで、 あなたが今、

 生かしてもらっていることに、 私は感謝しています。 >

 先日、 息子に そんな手紙を書きました。

 息子にとっても 死刑はつらいと思う。

 でも、 それが起こした事件の 責任を取ることなのだ。

 母は自分に そう言い聞かせています。

〔読売新聞より〕
 
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