「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

反省見極め 無期に -- 選択の重さ (2)

2009年05月17日 23時51分52秒 | 死刑制度と癒し
 
 「 自分は…… 死刑になった方が いいと思ってます 」

 2003年 札幌高裁。

 及川被告の言葉に、 仲宗根裁判長は 身を乗り出しました。

 及川被告は前年、 盗み目的で 家宅に侵入し、 二人の幼児を 包丁で刺殺。

 一審で死刑を 言い渡されました。

 控訴審で弁護士は、 死刑回避のため

 被告の更生意欲を 示す方針を決めました。

 1ヶ月前の公判で、 口数の少ない被告から

 「 一生償っていきたい 」という言葉を 引き出していました。

 裁判長が、 前回と今回の 言葉の関連を訪ねると、 被告は答えます。

 昨日弁護士から 被害者が刺されている写真を 見せてもらい、

 自分がやったことは 死刑だと思うと。

 裁判官は 量刑を判断する際、

 被告の 反省の態度を見極めるのは 非常に難しいと言います。

 法廷では 被告の表情や雰囲気、 言動の全てに 注意を払います。

 反省を装う 可能性もありますが、

 最初から演技と 決めつけないようにします。

 及川被告の姿は、 自責の念の 自然な流れに見えました。

 及川被告は遺族に 謝罪の手紙を送っていました。

 2000万円の損害賠償も 60年かけて分割払いすることに。

 仲宗根裁判長は、 及川被告が 反省の念を抱き、 矯正の余地も あると考え、

 一審判決を破棄して 無期懲役を言い渡しました。

 検察が 上告を断念したため 確定。

 及川受刑者は現在、 関東の刑務所にいます。

 無期懲役確定を堺に 遺族への手紙は途絶え、

 損害賠償の分割払いも 3年前から止まっています。

〔読売新聞より〕
 
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