土浦殺傷事件の金川真大 (かながわまさひろ) 被告は、
精神鑑定で 自己愛性パーソナリティ障害 (NPD) と判断されたそうです。
自己愛性パーソナリティ障害の人は、
自分は特別な存在だという 誇大な思い込みを持ち、
それに相応しい成功を 夢見ています。
人から批判されることを 全く受け付けませんが、 その裏返しで、
小さな悪評で 酷く傷つき、 わずかな挫折で 自殺してしまうこともあります。
金川被告は 高校生のときから、
努力しても 報われずに傷つくことを 怖がっていたそうです。
「 負ける前に引く 」
それが スタイルだったといいます。
金川被告は 犯行に向かう前、 こんなメッセージを 残していました。
< 私こそ、 最も優れた存在だ!!
全てを終わらせる。
もう この世界には飽きた。
だから、 お終いだ >
また自己愛性パーソナリティ障害は、
人から賞賛を受けるのが 当然と思っていますが、
人への共感は 著しく欠如しています。
他人は 自分の利益のために 利用する存在でしかなく、
非常に冷酷で 搾取的な構造があります。
逆に 自分が受ける 苦痛に対しては、 どんな些細なことも 我慢できません。
死にたかったが 自殺は痛いから嫌だ、
死刑になるために 人を殺したという 金川被告の動機は、
そんな特徴を 現しているのかも知れません。
金川被告は まるで対戦ゲームに 興じるかのように、
被害者一人一人への 切り付け方を克明に覚えています。
しかし 刺された人が どれだけ恐怖に怯え、
苦しんでいたかは 全く見ていませんでした。
自己愛性パーソナリティ障害は 何かのきっかけで 犯罪行為に走ったり、
反社会性パーソナリティ障害に 変貌してしまうことがあるのは、
他者への共感の乏しさが 一因していると考えられます。
〔 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書), 朝日新聞 より 〕
金川被告は 今回の初公判でも 薄笑いを浮かべたり、
何も感じていない 様子だったといいます。
ところが、 検察側が 被害者が受けた傷の状態を 詳細に述べたとき、
金川被告は失神しました。
一時 休廷されましたが、 なぜ被告は 気を失ったのか?
自分が 被害者に与えた傷が 生々しく再現され、
彼は初めて 自分がやってしまったことの残酷さに 現実的に気付いた……
希望的観測で、 そうではなかったかと思いたいものです。
(次の記事に続く)