死刑判決に至るまでの 裁判官の心の動き、 その記事の続きです。
「 (被害者の女性とは) お互いに愛し合っていた 」
2000年浦和地裁で、 中国人のセッショウ被告は そう述べました。
「 夫のいる被害者に 求婚したが断られ、
被告は絶望のあまり 激しい興奮状態に陥り、 判断能力が著しく減退していた 」
弁護士は 犯行時の責任能力を 争点に据えました。
中国人夫妻が 殺害された事件。
二人ともサバイバルナイフで 首を大きく切り裂かれていました。
「 命を奪われた被害者は、 生きている被告の言うことに 何も反論できない。
客観的な証拠から 被害者の言い分を できるだけくみ取っていく 」
川上裁判長は そう心に決めました。
被害者は 被告から好意を持たれて 困っていたという、
知人の証言がありました。
「 被告と女性が交際関係にあったことを 示す証拠は何もない 」
被告は犯行前、 サバイバルナイフを2本購入。
女性と夫を 車ではねてから 刺すという計画を立て、 実行しました。
冷静な判断力を持ち、 目的を果たす 強い意思が感じられます。
「 被害者には 何の落ち度もない。
計画的犯行で 被告に責任能力もある。
ひとつひとつ 証拠を判断した積み重ねが、 極刑という結論になった 」
川上裁判長は、裁判長として 初めて言い渡した 死刑判決を、
そう振り返りました。
〔読売新聞より〕