「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

被害者の言い分 くみ取る -- 選択の重さ (3)

2009年05月24日 22時17分33秒 | 死刑制度と癒し
 
 死刑判決に至るまでの 裁判官の心の動き、 その記事の続きです。


「 (被害者の女性とは) お互いに愛し合っていた 」

 2000年浦和地裁で、 中国人のセッショウ被告は そう述べました。

「 夫のいる被害者に 求婚したが断られ、

 被告は絶望のあまり 激しい興奮状態に陥り、 判断能力が著しく減退していた 」

 弁護士は 犯行時の責任能力を 争点に据えました。

 中国人夫妻が 殺害された事件。

 二人ともサバイバルナイフで 首を大きく切り裂かれていました。

「 命を奪われた被害者は、 生きている被告の言うことに 何も反論できない。

 客観的な証拠から 被害者の言い分を できるだけくみ取っていく 」

 川上裁判長は そう心に決めました。

 被害者は 被告から好意を持たれて 困っていたという、

 知人の証言がありました。

「 被告と女性が交際関係にあったことを 示す証拠は何もない 」

 被告は犯行前、 サバイバルナイフを2本購入。

 女性と夫を 車ではねてから 刺すという計画を立て、 実行しました。

 冷静な判断力を持ち、 目的を果たす 強い意思が感じられます。

「 被害者には 何の落ち度もない。

 計画的犯行で 被告に責任能力もある。

 ひとつひとつ 証拠を判断した積み重ねが、 極刑という結論になった 」

 川上裁判長は、裁判長として 初めて言い渡した 死刑判決を、

 そう振り返りました。

〔読売新聞より〕
 
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