「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

虚偽の自白

2009年05月14日 22時37分32秒 | 死刑制度と癒し
 
 やってもいない殺人を、 「私がやりました」 などと 言うはずがない。

 そう思うでしょうか? 

 アメリカでは 罪を自白した人が、 後にDNA鑑定や 真犯人の登場などで

 無実となった例が、 71~02年に 125件ありました。

 81%が殺人で、 有罪となった事件では 43%が死刑か終身刑でした。

 捜査官は まず 「犯行現場から お前の指紋が出た」 などと、

 見せかけの証拠で 動揺を誘います。

 次に 「家族に食べさせるために やったんだろう」 と、

 罪を認めやすくする シナリオを展開するのです。

 疑われた人は、

 「 この場から 一刻も早く逃れたい 」という 気持ちに駆られ、

 「 捜査官のシナリオを 受け入れるのが唯一の道 」と

 考えるようになります。

 身も心も 疲れ果てた末、

 「 覚えていないが 自分がやった 」と 思い込んでしまうこともあります。

 虚偽自白の62%は 24才以下の若者です。

 精神障害や知的障害の人も 陥りやすく、

 取り調べ時間が延び、 睡眠時間が短くなると 誰でも確率は高まります。

 自白した人は、 「 本当はやっていないのだから、

 陪審員は分かってくれるだろう 」と 法廷に希望を託します。

 ところが 虚偽自白が判明した 事件の8割で、

 陪審員が全員一致で 有罪判決を下しています。

 だからこそ 自白に至る 全過程を録画し、 法廷で見せることが大切です。

 また心理学者が、 被告の 誘導されやすい性格などの リスクを、

 陪審員に説明する州もあります。

 日本では こうした仕組みがない中で、 裁判員制度が始まります。

 自白は 捜査のきっかけに過ぎない ということを、

 かみしめておく必要があるでしょう。

〔朝日新聞より〕
 
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