「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

確定21年 …… 「長すぎる」 -- かえらぬ命 (10)

2009年05月03日 10時34分01秒 | 死刑制度と癒し
 
 1975年、 日本連合赤軍は クアラルンプールの米国大使館を占拠し、

 50人以上の人質を取って、 日本政府に 要求を突きつけました。

 政府は超法規的措置で、 過激派5人を釈放します。

 1年前の三菱重工ビル爆破事件の 犯人の一人、

 佐々木規夫被告も 含まれていました。

 松田將希 (まさき) さんは、

 そのテレビ画面を 複雑な思いで見つめていました。

 松田さんは 妹のとし子さん (当時23才) を、

 爆破事件で亡くしています。

「 妹の無念を思うと 悔しかった。

 でも、 死んでしまった人より、 人質になった人の 命が大切だから……」

 爆破事件の主犯格・ 大道寺将司, 益永利明は、

 87年に最高裁で 死刑が確定しました。

 しかし、 それから 21年たった現在も、 刑は執行されていません。

 共犯が 海外に逃亡しているのが、 執行できない理由の ひとつだといいます。

 大道寺死刑囚は述べています。

「 死刑とは 人間の生命と人権を 奪うものであり、

 廃止すべきだと 考えるようになった 」

 いま両死刑囚は 第3次再審請求を行なっています。



 76年の北海道庁爆破事件の 被害者・ 内山武三さんは この32年間、

 仲間の被害者が 次々と亡くなっていくのを 見てきました。

「 事件が風化し、 知らない世代からは

 『死刑囚がかわいそうだ』 という声が あがるかもしれない。

 人の命を奪う刑だから 執行に慎重になるのは分かるが、

 このままでは 被害者だけが苦しむことになる 」

 死刑執行まで長すぎる …… 被害者はそう呟きます。

〔読売新聞より〕
 
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