「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

検察審査会

2009年05月29日 20時44分46秒 | 死刑制度と癒し
 
(前の記事からの続き)

 市民が司法に 参加する制度が、 裁判員制度の他に もうひとつあります。

 それが検察審査会。

 検察が不起訴にした事件で、 不起訴が妥当かどうかを、

 国民からくじで選ばれた 11人の検察審査員が 審査するものです。

 昭和23年に設置され、 これまで54万人が 審査員を経験してきたそうです。

 任期は6ヶ月です。


 02年、 斎藤猛さんは 

 自分が店長を勤める 焼肉店の 売上を横領したとして、

 業務上横領で 逮捕・起訴されました。

 状況証拠の積み重ねで、 一審は 1年6ヶ月の有罪判決。

 1年3ヶ月の 勾留生活の後、 売上金と共に なくなっていた書類が、

 店員の女の 家から見つかり、 斎藤さんは控訴審で 逆転無罪になりました。

 その間に 斎藤さんの母親は亡くなり、 釈放直後に 父親も亡くなりました。

 斎藤さんは 店員の女を告発しましたが、 検察は不起訴処分に。

 そこで斎藤さんは、 検察審査会に不 服申し立てをしました。

 そして審査会は、 女を起訴するべきだと  「起訴相当」 の議決をしたのです。

 これに基づき、 検察は女を起訴しました。

 その斎藤さんに、 裁判所から 封書が届きました。

 それは何と、 斎藤さん自身が 検察審査員に選ばれたという 通知でした。

 斎藤さんは、 検察の判断を覆す 市民の目の重要性を 強く感じています。

 国の機関である検察を 裁判官が否定するのは 難しいが、

 市民ならば それが期待できると思うのです。

 市民の常識があれば、 自分のような冤罪を 生み出すことはなかったと。

〔 「報道特集NEXT」 より 〕


 これまで、 検察審査会は 検察に対して 法的拘束力は持ちませんでした。

 しかし 裁判員制度を含む 司法改革により、

 検察審査会が 不起訴不当 (または起訴相当) と

 2度 決議した案件は、 検察は起訴する義務があると 改められました。

 つまり、 検察が不起訴にした事件を 検察審査会が不当とすると、

 検察は捜査をしなおし、 再び 起訴か不起訴かを決めます。

 それに対して、 検察審査会がもう一度 不当と判断すれば、

 検察は無条件に 起訴しなければなりまん。

 検察官の上に、 国民の良識を 反映させるものなのです。
 
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