(前の記事からの続き)
自己愛性パーソナリティ障害も
BPD (境界性パーソナリティ障害) と同じ、 自己愛の障害です。
BPDが 自己否定の泥沼で のたうち回っているのに対して、
自己愛性パーソナリティ障害は 自己否定を避けるために、
誇大な自信を身にまとう 「自己愛型防衛」 を行なっています。
どちらも根底に 自己愛の傷つきがあるのです。
( ただしBPDとNPDは 隣接したパーソナリティ障害であり、
心子もそうだったように、 BPDにも自己愛型防衛があるでしょう。
心子も 自己愛性パーソナリティ障害的な 面も持っており、
自分は優れた存在だと 賞賛を欲したり、
それが得られないと 極端に落ち込むときもありました。 )
自己愛性パーソナリティ障害は、
傲慢で尊大な特権意識を 振りかざしているとは限りません。
引きこもりやうつ, 対人恐怖, 心気症などの
陰に隠れていることが 少なくありません。
うつ病の2割に 自己愛性パーソナリティ障害が認められています。
自己愛性パーソナリティ障害における引きこもりは、
肥大した自己愛的理想と現実との 大きなギャップから生じます。
自分の小さな世界に 引きこもることで、
失望したり傷つくことから 身を守るのです。
自分の能力が 人からねたまれて、
迫害を受けているという 被害妄想を抱くこともあります。
ムシャクシャすると “気分転換に”、
犯罪的行為を犯してしまう というケースもあるようです。
虐待や攻撃に 手を染める場合、
反撃されにくい弱者に 対するのも特徴です。
「 やろうと思えば 自分は何でもできる 」との 思い込みもあります。
自己愛性パーソナリティ障害は 他への共感が 乏しいと同時に、
防衛による 自己正当化が強いため、
心からの 反省の念を抱くのには とても時間がかかります。
〔 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書) より 〕
(次の記事に続く)