「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自己愛性パーソナリティ障害に関して (1)

2009年05月07日 23時56分41秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
(前の記事からの続き)

 自己愛性パーソナリティ障害も

 BPD (境界性パーソナリティ障害) と同じ、 自己愛の障害です。

 BPDが 自己否定の泥沼で のたうち回っているのに対して、

 自己愛性パーソナリティ障害は 自己否定を避けるために、

 誇大な自信を身にまとう  「自己愛型防衛」 を行なっています。

 どちらも根底に 自己愛の傷つきがあるのです。

( ただしBPDとNPDは 隣接したパーソナリティ障害であり、

 心子もそうだったように、 BPDにも自己愛型防衛があるでしょう。

 心子も 自己愛性パーソナリティ障害的な 面も持っており、

 自分は優れた存在だと 賞賛を欲したり、

 それが得られないと 極端に落ち込むときもありました。 )

 自己愛性パーソナリティ障害は、

 傲慢で尊大な特権意識を 振りかざしているとは限りません。

 引きこもりやうつ, 対人恐怖, 心気症などの

 陰に隠れていることが 少なくありません。

 うつ病の2割に 自己愛性パーソナリティ障害が認められています。

 自己愛性パーソナリティ障害における引きこもりは、

 肥大した自己愛的理想と現実との 大きなギャップから生じます。

 自分の小さな世界に 引きこもることで、

 失望したり傷つくことから 身を守るのです。


 自分の能力が 人からねたまれて、

 迫害を受けているという 被害妄想を抱くこともあります。

 ムシャクシャすると “気分転換に”、

 犯罪的行為を犯してしまう というケースもあるようです。

 虐待や攻撃に 手を染める場合、

 反撃されにくい弱者に 対するのも特徴です。

 「 やろうと思えば 自分は何でもできる 」との 思い込みもあります。

 自己愛性パーソナリティ障害は 他への共感が 乏しいと同時に、

 防衛による 自己正当化が強いため、

 心からの 反省の念を抱くのには とても時間がかかります。

〔 「パーソナリティ障害」 岡田尊司 (PHP新書) より 〕

(次の記事に続く)
 
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