ロートル世代の繰り言なのだが、つくづく、オーストラリア戦とかクロアチア戦を振り返ってみて、今の日本代表にゴン中山がいたら、と思ってしまった。
技術の巧拙はともかく、最後まであきらめずにファイトするゴン中山と「きーちゃん」こと北沢豪は、「ドーハの悲劇」をリアルタイムで味わったサッカーファンとしては、今の日本代表にない泥臭いファイターだったと思う。あとひとり名を挙げるなら、「野人」岡野も同じタイプだった。
私は基本的に技術的に洗練されていて戦術眼に優れたプレイヤーが好きなのだが、押し込まれた時に「何かやってくれるんじゃないか」という期待を持たせてくれるのは、得てして私が普段は好きではない泥臭いファイターなのだ。
今の代表のプレイヤーについては余り知らないので大層なことは言えないが、少なくともオーストラリア戦とクロアチア戦におけるフォワード陣に、ゴン中山のように逆境でも食い下がって得点を狙うハングリー精神が感じられなかった。
ハングリーにゴールを求める泥臭いファイターが欲しい……。
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6/20追記。
小松成美の「ジーコ・ジャパン 評決のとき」最新記事に登場してくるフランス人ジャーナリストのコメントが、とても共感できた。
第4回
戦いの地で聞いた「2010年への忠告」
「日本代表は、ワールドカップに出場する力をつけた。アジアではチャンピオンになる実力を持ったわけだ。しかし、残念ながら、ワールドカップに出場する32か国のうち突出した力を持っているわけではない。まさにアベレージ(平均値)のチームだよ」
32チームのうち、16チームは予選敗退する。日本代表は、「現時点ではその16チームのうちのひとつ」なのだ、と彼は言う。
「予選3試合のうち、1勝はできる可能性はあった。けれど、予選で勝ち点6以上を上げ、決勝トーナメントで勝ちあがっていくことは、アベレージの力では不可能なんだ。強いチームには個性がある。その個性が日本には見られない」
個性とはすなわち、その国のサッカーを体現していくものの形だ。イングランドにはベッカムやルーニーが、ブラジルにはロナウジーニョやカカが、アルゼンチンにはクレスポやリケルメやメッシが、ポルトガルにはフィーゴやクリスチアーナ・ロナウドがいる。勝つために必要なプレーを究極の状況で披露する選手がいる。マシュノーは「今回の日本にはその選手が見当たらない」と呟いた。
「中田英寿のリーダーシップや際立ったキャラクターは、もちろん欧州でも広く知られているよ。だがこのチームでは、彼の個性を殺されているように見える。彼のゴールへの執念が、空回りして見えるのはなぜかな。しかし、これは日本だけの問題ではない。私の国、フランスでも同じ問題が起きている。ジダンが引退したら、フランスのサッカーは『らしさ』を失うだろう。彼が15年以上にわたって作り上げたフランスサッカーを踏襲する者は、今は皆無だよ」
1993年10月、カタールのドーハで行われたアジア地区最終予選を取材して以来、日本サッカーに興味を持ったマシュノーは、創成期のJリーグや2002年日韓大会もリポートしている。欧州に移籍した日本人選手もつぶさに取材している彼が、日本の“最大の問題点”にも言及した。
「日本にもっとも必要な『個性』は、ゴールを奪う選手だね。サッカーは、どんなに守っても、99%は勝つことができないゲームだよ。攻めて攻めて攻めることが、戦いのすべてなんだ。誤解を恐れずに言えば、守備はサッカーにおいて二次的な要素だね。極端なことを言うが、素晴らしいゴールキーパーが一人いれば『守る』ことはできるだろう」
日本は攻めて攻めて攻め抜けるフォワードを育てなければならない。そうしなければ、アベレージのチームであることから決して抜け出せない。彼は、そう断言する。
「調子が悪い、選手のコンディションが万全でない。そう言われても、なぜブラジルが強さを発揮できるか分かるかな。それは、わずか5秒で事態を逆転する攻撃者がいるからだよ。ロナウジーニョやアドリアーノ、カカ、ロベルト・カルロス、不調だと言われるロナウドでさえ、5秒もあれば形成を逆転し、ゴールを決め、チームに勝利を導くことができる」
決定力の絶対的な不足―――。その事実が、ワールドカップドイツ大会でも日本代表に重くのしかかっていた。
今大会における日本代表の力を「平均的」というのはかなり無理に持ち上げてくれている感があるが、「予選3試合のうち、1勝はできる可能性はあった」というのは至極まっとうな評価だと思う。
最終戦ももちろん応援する。でも、マスコミが「奇跡」の可能性を煽り、吹く可能性の少ない「神風」に頼って期待を膨らませてしまう持ち上げ方が嫌だ。
最有力な優勝候補に挙がっていながら調子の出ていないブラジルチームに、日本との試合を手抜きの消化試合扱いするほどの余裕はないと思う。しかし、決勝ラウンドを見据えた調整のために使うことは明白だ。一方、優勝候補の名にかけて、格下の日本に対して勝負を落とすつもりはないだろう。
そういう現実に立った上での冷静な勝負を日本代表に期待したい。それが、修羅場で経験を積む意味になると思う。