お頭とベンケーがバイクから降り、白い人影に向かって歩き始めました。
エッチソンが言いました。
「 さすが、お頭、話が分かる。
白い奴も気になるけど、順番に行きまひょ。
わいは、この話は知りまへんにゃ。
ほな、続けてんか。」
エッチソンに言われて、たまちゃんの話が再開されました。
「 それで、部屋のドアがゆっくり開いて、看護婦さんが入って来たんです。
ワゴンは、廊下に置いたままです。
私、もう、怖くって・・。
でも、怖いもの見たさってあるでしょう。
布団を少しずらせて、そ~っと見たんですよ。
看護婦さんの顔は、暗くってよく見えないんです。
入って来て、空いている向かいのベッドを通過して、その隣のベッドの方に行っ
たんですよ。
そして、屈みこんで、寝ている子供の顔を見ているんです。
それで、聞き取れないくらい小さな声で、何かをその子に言いました。
子供は寝ているので、無反応でした。
次に、看護婦さんは隣のベッドに移動しました。
そして、また、屈みこんで、寝ている子供の顔を見ているんです。
それで、先程と同じように、聞き取れないくらい小さな声で、何かをその子に言
いました。
子供は寝ているので、やはり、無反応でした。
順番に時計と反対周りに、同じ事を繰り返すんです。
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