大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 12月5日 足が見える

2014-12-05 19:33:02 | B,日々の恐怖



  日々の恐怖 12月5日 足が見える



 パン屋の息子のM君に話を聞きました。

 うちは創業50年ぐらいになるパン屋をやっている。
今は俺が跡継ぎ候補。
父親にケツ叩かれながら、修行している。

“ パン屋は朝が早い。”

なんて言うけど、既に朝じゃない、まだ夜。
午前2時くらいに起きて用意をする。
最近は生地の用意任されているから、俺ひとりだけがキッチンに立っている。

 これ、一ヶ月前くらい前のこと。
午前3時頃、ふと気が付くとドアの外に誰かが立っている。
上半分だけシャッター閉めて、下は俺が潜り抜けられるぐらいだけ開けているんだけれど、足だけ見える。
 気にはなったが、こっちも商売だし、営業外の時間に構ってる暇は無い。
まあ、何かあれば声を掛けるだろうし、放置することにした。
しかし、そいつ何をするでもなく、気付くといなくなってる。

 そんなことが、頻繁ではないが今までに何回かあった。
それが繰り返されると、最近はコッチも、

“ アイツ来てるかな?”

って気になって来る。
それで、ついついふっとドアの方を見てしまう。
 見たときに足があると、

“ 今日もか~。”

なんて習慣みたいになって来る。
 だからと言って、何かあるかと言えば、何も無い。
家族も元気だし、大した事故も無いし、店もいつもと同じで変化は無い。
 それで、それを、たまたま気が向いたときに父親に、

「 なんか、足が店に来てるんだけど・・・。」

って話してみた。
 すると、父親は、

「 寝ぼけてるのか?」

って、それだけ言って終ってしまった。
 数日前に、また生地の仕込みをしているときだった。

“ 足、いるかな・・・?”

って、パッと見た。
 そしたら、いた。
シャッターの下に足が見えた。
でも、ちょっと違っていたのは、髪の毛が少し垂れ下がっているのも見えた。
 それで、次の日から出入りには面倒なんだけれど、俺はシャッターを下まで閉めることにした。









童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------