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日々の恐怖 3月15日 2010年の話

2015-03-15 20:38:25 | B,日々の恐怖


    日々の恐怖 3月15日 2010年の話


 自分は田舎の町役場職員なんだけれど、以前勤めてた職場での話です。
当時配属されてたのが地域では割と大きな公営の病院(今は閉鎖)だったんだけれど、採算が合わなくて閉鎖が決まってからは入院患者とか救急は受け付けなくなり、診療所みたいになっていた。
 昔は入院患者が自殺したこともあったり、診療所になってからも霊安室とかもそのまま残ってたから、夜遅くまで残ってた人が変なモノを見たり聞いたりってのが珍しくなかった。
 俺はそういう経験無かったんだが、3年前の3月の雨の日、春に異動が決まったせいで、週末に一人で休日出勤していろいろ片付けをしようと思って13時から職場行ったんだけれど、 いつも通り鍵開けて機械警備を解除して事務所で仕事してたら、15分くらいして事務所に人が入ってきた。
 来たのは警備会社の人で、話を聞くと以下のような感じだった。

「 12時50分に3階の機械警備が異常を察知(センサーが反応)し、13時に建物全体の警備が解除された。」

つまり、俺が13時に職場に到着して機械警備を解除する10分前に、3階に人が侵入してたことになる。
 3階ってのは昔は入院患者用の部屋として使われてて、そのときには書庫や物置になってて、めったに人が行かないフロアになっていた。
警備員の兄ちゃんと一緒に3階に行ったんだけど、人はいないし窓も開いてない。
 唯一なぜか施錠されてなかったのが、屋上に続く外階段のドアだった。
そのときすでに若干嫌な予感がしたんだけれど、成り行き上仕方なく、雨が降りしきる中、ドアから屋上へ出た。
 当然屋上にも人はいなくて、2mぐらいの高さがある金網のフェンスから下を覗くと、駐車場の俺の車の脇に髪が長い女が傘も差さずに立ってのが見えた。
 遠くて表情までは見えなかったけれど、明らかに俺達を見てた。
まだ3月で寒くて雨も降ってるのに、半袖のワンピースに裾の長いスカートだった。
何か得体の知れない気味悪さを覚えてそのまましばらく見合っていたんだけれど、よく見ると俺の車の下の方を指差してるようにも見えた。
 警備員と1階まで降りると、外にはもう誰もいなかった。
そこで警備員の兄ちゃんが、ぼそっと、

「 さっきの人、裸足でしたよね・・・。」

と言い出す。
俺は気が付かなかったけれど、靴を履いてなかったらしい。
 それでさらに聞くと、最近は会社や他の公共施設も機械警備化が進んでて、同じように警備が異常を察知して駆けつけたのに誰もいないっていうことがまれにあるらしい。
 そして、そこで妙な体験をすることもあると聞いた。
とても仕事なんか続ける気にならずにさっさと仕事を方付け、警備員も原付に乗って帰っていった。
 帰り道、峠の道を雨の中走行中、安全運転してたつもりなんだけれど、車のタイヤが突然1個バーストして、そのままスピンしてガードレールにぶつかった。
車は廃車になったけど、他に車はいなかったし、何より一歩間違えてればガードレールを突き破って崖下に落下してたかもしれないのに奇跡的に無傷だった。
その車は中古で買ったんだけど、バーストしたそのタイヤ1個がたまたま劣化してたらしい。
 安全運転してつくづく良かったと思いつつ、あのとき屋上から見えた女の人が、あの汚くてオンボロな診療所で8年間も毎日朝一で掃除して綺麗にしてた俺のために、あの事故を警告してくれたのかなと思ったんです。











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